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designideas
2004年6月号
10nAで動作する太陽電池駆動モーター

ステパン・ノボティル カナダ在住
Stepan Novotill  
 動作頻度の低い電子機器を太陽光で動作させる場合、太陽エネルギーを蓄積するためにコンデンサーを利用できることがある。2次電池を使うのに比べて、信頼性を高められる。具体的な応用例には、太陽光追跡システムや遠隔計測システムの送信機、データ・ロガー、太陽光駆動の玩具などが挙げられよう。
 図1は、小型電卓用の太陽電池の出力だけで、薄暗がりでもポケベル用小型モーターを駆動できる回路である。トランジスタQ1とQ2で、サイリスターに似たエネルギー回生回路を構成した。4700μFのコンデンサーC1を1.75Vまで充電する動作と、蓄積した電荷をモーターに放出する動作を繰り返すことでモーターを駆動する。ダイオードD1〜D3はプルアップ抵抗およびプルダウン抵抗と同様に機能する。すなわちトランジスタと緑色LED*のリーク電流を太陽電池の端子電位にバイパスする役割を果たす。
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 モーターの駆動に必要な入射光量は、太陽電池セルの自己リーク電流だけで決まる。図1の回路では回路自体のリーク電流が小さいことに加えて、必要なトリガー電流の値も非常に小さい。このため、エネルギー蓄積用にリーク電流の小さいコンデンサーを選択すれば、10nAと微小な電流でモーターを動かせる。
 実際の回路動作を説明しよう。エネルギー蓄積用コンデンサーC1の充電電圧が1.75Vに近づくと、緑色LEDが導通し始める。その結果Q1が導通状態になり、Q2のベースに電流を供給する。この電流が増幅され、Q2のコレクタにナノアンペア(nA)・オーダーの外乱となって現れる。ただしQ2のコレクタは、出力トランジスタQ4のベース・エミッタ電圧降下によって出力トランジスタから分離されているとともに、Q3のベース・エミッタ電圧降下と10nFのコンデンサー(C2)によってQ2のベースに印加される直流バイアス電圧からも分離されている。
 ところが、Q2のコレクタに生じたこの小さな外乱はC2を介してQ1のベースに結合し、激しい回生動作を発生させることができる。プルアップ抵抗の代わりにダイオードを使ったことに加えて、回生動作の開始時に負荷を分離することと、回生動作の開始時にQ1の直流バイアス電圧をQ2のコレクタから分離することによって、トリガー電流をナノアンペア(nA)のオーダーに抑えつつC1を充電できるようにした。
 トランジスタQ1が回生動作を続けると、Q1のベースとQ2のコレクタの間に、トランジスタQ3経由の直流ラッチ経路が構成される。この時点で出力トランジスタQ4は飽和状態に達し、モーターを動かす。
 モーターはC1から見て大きな負荷である。このためC1は急速に放電し、充電電圧が低下する。C1の電圧が1.1Vまで下がると、Q1とQ3のベース・エミッタ電圧降下により、Q1は回生動作を持続できなくなる。続いて100Ωの抵抗とC2の放電によってQ1がオフ状態に設定され、再度C1への充電が開始される。
 C1が放電を始める電圧を1.75Vより高く設定するには、緑色LEDの代わりに青色LEDを用いるか、緑色LEDに直列にLEDを追加すればよい。このほか、動作時の消費電流が1μAを超えても構わない場合には、ダイオードの代わりに10MΩの抵抗を用いることで雑音耐性を改善できる。
 コンデンサーを長期間保存しておくと、リーク電流が増大してしまうことがある。このようなコンデンサーを使用する場合には、9V出力の電池を接続したまま数日間放置して、あらかじめコンデンサーの状態を整える必要がある。また、この回路を光量が非常に少ない場所で動作させるためには、2個の太陽電池セルを直列に接続すればよい。モーターを駆動するために必要な電圧を十分に取り出せる。

用語解説 / 会社情報
【LED】
light emitting diode
発光ダイオード
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