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designideas
2004年5月号
低コストで基板に実装できるEMIシールド

スティーブ・ヘイグマン 米カリフォルニア州在住
Steve Hageman  
 プリント基板に回路を実装する際、電磁干渉(EMI*)に対する耐性を高める手段としてシールドが有効である。典型的な例としてラジオ受信機が挙げられよう。ラジオ受信機では通常、フロント・エンド部とチューニング用のシンセサイザー部を十分に絶縁しておく必要がある。
 ところが、生産数量が少ない機器や低コストで実現しなければならない機器などでは、シールドを採用することが難しい場合が多い。カスタム仕様のシールドを鋳造してもらうことはコストの観点から成り立たない。機械加工でアルミニウム材料からシールドを削り出すのもかなりの費用が掛かる。
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 そこで、アルミニウム・ダイカストで製造された汎用の金属ケースを使う。例えば、米ハモンド・マニュファクチャリング社*が販売している金属ケースを利用すればよい。汎用品であるため入手性が高く、低価格である。わずか数米ドル程度で簡単なシールドをプリント基板に実装できる。
 同社が販売している金属ケースは箱状の金属ボックスとふた状の金属カバーを組み合わせたものである。大きさが2インチ×2インチ(50.8mm×50.8mm)の品種から7インチ×4インチ(177.8mm×101.6mm)の品種、さらに大きい品種を用意した。金属ボックスと金属カバーの間にプリント基板を挟み込んで、電磁干渉への耐性を高めたい回路を完全に包み込んでしまえばよい。こうすれば、汎用の金属ケースがシールドとして十分に機能する。
 まずは、シールドしたい回路の実装面積や部品高さに見合った大きさの金属ケースを選ぶ。次に、金属ボックスと金属カバーの間にプリント基板を挟めるように回路をレイアウトする。さらにプリント基板の表面層と裏面層には、金属ケースの縁に沿って連続した接地パターンを確保しておく(図1)。具体的には、金属ボックスと金属カバーを取り付ける領域の周囲に、幅が1/4インチ(6.4mm)程度の接地パターンを設ければよい。さらに、接地パターンの四隅にねじ穴を開けて、金属ボックスと金属カバーをプリント基板にねじ止めできるようにする。
 シールドの内部に配置した回路から、シールドの外部に信号を引き出す手段は2つある。1つは、多層プリント基板を使用している場合に使える。信号配線に内層を利用し、接地パターンの下を通過させればよい。
 もう1つは両面基板の場合である。接地パターンの一部を切断して信号配線を通せばよい。このほか接地パターンを切断する代わりに、定格が0.25Wのリード線付き抵抗を用いて接地パターンの上を通過させることも可能だ。リード線付き抵抗を用いる利点は2つある。第1に、接地パターンを切断せずにシールドの外部に信号を取り出せることである。第2に、信号配線にインピーダンスを付加することで高周波領域におけるフィルター効果が期待できることだ。シールド内部に雑音が入り込むのを防ぐのに役立つ。
 両面基板の場合には、信号の取り出し方法によらず、切削器具を用いて金属ケースに切り欠きを作っておく必要がある(図2)。ところがこの切り欠きは、高周波信号に対する導波路として機能してしまう。このため次の点に注意すべきである。すなわち金属ケースとプリント基板のすき間は、問題になりそうな高周波信号のうち、周波数が最も高い信号の波長の1/4よりも十分に小さくなるようにする。
 高いシールド性能を必要とする場合は、すき間をさらに小さくし、波長の1/20以下に抑えるべきである。すき間を埋めるためには、米3M社や米W.L.ゴア・アンド・アソシエーツ社が販売している導電性テープや金属ガスケットなどのEMI対策製品を使えばよい*1)。これらのEMI対策製品はどのようなすき間を埋めるのにも利用可能であり、すき間の電気的な大きさを小さくできる。
 切り欠きによるすき間のほか、プリント基板上の接地パターンと金属ケースのコンタクト部に生じるすき間も導波路として作用してしまう。こうしたすき間がシールドの有効性を損ねてしまうかどうかは、シールド内に実装した回路の動作周波数に依存する*2)
 汎用の金属ケースを利用した今回のシールドは、ヒート・シンクとしても効果を発揮する。TO-220パッケージに封止した電圧レギュレーターICを金属ケースの外側に配置して、電圧レギュレーターICのヒート・シンク部を金属ケースにねじ止めすればよい。こうすると、電気的なシールド効果だけでなくヒート・シンクとしての効果も同時に得られる。

用語解説 / 会社情報
【EMI】
electromagnetic interference
電磁干渉
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【米ハモンド・マニュファクチャリング社】
Hammond Manufacturing, Corp.
ホームページはhttp://www.hammondmfg.com/。同社の製品は電子部品カタログ通販大手の米ディジ・キー社(Digi-Key Corp.)から購入できる。ディジ・キー社のホームページはhttp://www.digikey.com/。ディジ・キー社の通販に関する日本国内の連絡先は電話0120-855960。
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*1)
米3M社のEMI対策製品に関する日本国内での連絡先は住友スリーエム、103-3709-8165。米W. L.ゴア・アンド・アソシエーツ社(W. L. Gore & Associates, Inc.)のEMI対策製品に関する日本国内での連絡先は潤工社、電話0120-110913。
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*2)
Ott, Henry, "Noise reduction techniques in electronic systems," Wiley-Interscience, 1988.
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