雑誌無償購読申込み 最新号 バックナンバー 広告資料請求 EDN Japanについて お問合せ
雑誌無償購読申し込み
メールニュースレター登録
登録内容変更
アナログ IC/ディスクリート
電源/電池/コントローラー
PLD / メモリー
組み込みシステム
コンピュータ&ボード
EDA/IP/CAE/ソフトウェア
電子部品
計測器
ディスプレイ
デジタル家電
通信・ネットワーク
カーエレクトロニクス/産業機器
EDN Japan 記事検索
検索方法の詳細
雑誌無償購読申込み ニュースレター登録 この記事に対する感想/ご意見
designfeature
2004年4月号
輝きを増すLED、
照明の表舞台に踊り出る


LED(発光ダイオード)は、電子機器に組み込むディスプレイの光源として確固たる地位を築いた。光出力は向上を続け、白熱電球よりも強い光を放射できるようになった。自動車のブレーキ・ランプや交通信号灯などに使われている。照明用光源としても普及し始めた。

ダン・ストラスバーグ
Dan Strassberg
 現在、照明技術にもたらされる革新は、ほとんどがLED*(発光ダイオード)をはじめとした固体発光素子の進化によるものである。白熱電球はすでに「前世紀の技術」と呼ぶにふさわしいほど完成されてしまった。比較的新しい照明技術であるCFL*(小型蛍光灯)技術やHID*(高輝度放電)ランプ技術などは、今でもある程度のペースで進歩を続けている。ただし、これらも最先端の技術とは呼べなくなった。
 LEDは、電子機器に組み込むディスプレイの光源の大半を占めている。ところがこれまで、照明用の光源として使われるのは特殊な用途に限られていた。LEDが従来の照明技術に取って代わるくらいに成熟するためには、2〜3年以上かかりそうである。
Advertisement
 照明業界関係者は、照明分野でLEDの採用が進まない原因の一端は照明産業の垂直統合型構造にあると指摘する。例えば、白熱電球メーカーや蛍光灯メーカーは自社製品を構成するための主要部品をすべて自社で製造している。サード・パーティー企業から主要部品を購入するような事業形態をとってこなかった。そしてどのメーカーも、LEDチップを製造していない。
 照明産業の事業構造に相反しながらも、照明技術者はLEDに強く関心を示す。電気エネルギーを利用した光源の中で、LEDなどの固体発光素子だけに技術革新の余地が残されているからである。技術革新によって照明のコストを大幅に下げられる可能性がある。従来技術を使った照明のコストはほぼ下げ止まり、今後大幅に下がる可能性は低い。
 ある予測によれば、LEDランプの照明コスト(COL*)は2003年にハロゲン・ランプよりも低くなった。現在LEDランプのCOLは、27米ドル/Mlmh(100万ルーメン時)よりやや低いところまで下がっている。これが2007年ころまでには、さらに約75%も下がるとみられる。このコスト低下によってLEDランプのCOLは蛍光灯と同じ程度、すなわち7米ドル/Mlmh程度になる。このCOL低減は、そのほとんどがLEDの光出力が向上することによって達成されることになる。ただし光出力の向上を考えずとも、照明用LEDランプの価格は下がっていくだろう。

照明のコスト構造を理解する

 ここで、照明コスト(COL)がどのような要素で構成されるのかについて確認しておきたい。COLは照明器具を据え付ける際に発生する初期コストだけにとどまらない。照明器具が消費するエネルギーのコスト、交換や修理に伴う人件費なども含めるべきである。さらに、照明器具を構成する主要部品の平均交換間隔をコストに換算し、計上しておく必要もある。
 照明コストについて、白熱電球とLEDランプを比較してみる。白熱電球は初期コストが低い。ところが、電気エネルギーを光に変換する際の効率が比較的低い。加えて、交換間隔は短めである。フィラメントが焼き切れてしまえば交換が必要になる。一方、LEDランプは白熱電球のように「切れて」しまうことはほとんどない。その代わり、光出力がごくわずかな割合で時間とともに減衰していく。このためLEDランプのCOLを求める場合は、LEDランプの光出力が初期の半分に減少するまでの時間を実用寿命と仮定する。
 照明技術者は通常、白熱電球の寿命を1000時間、LEDランプの寿命を7万5000時間程度とみている。前述のCOLを計算するためには、このほかエネルギー・コストとして10米セント/kWhと、LEDランプの交換コストとして15米ドル程度の人件費を見積もっておく必要がある。ただし計算ではTVM*(貨幣の時間的価値)は考慮していない。すなわち米ドルの購買力が時間経過に関わらず一定であると仮定している。TVMを含めると、LEDランプの照明コストが蛍光灯と同等になる時期はさらに早まるだろう*1)
 照明技術の優劣を決めるのはCOLだけではない。審美的な観点からも議論する必要がある。美的観点からすると、例えば現在の白色LEDの発光色は万人に受け入れられるものではない。今のところ、白色LEDで得られるのは「冷たい」明かりである。「暖かみ」のある明かりではない。
 現在、「白色LED」として市販されているLEDの多くは、実際には青色LEDを使っている。つまり、青色LEDで白色蛍光体を励起して光出力のスペクトラムを広げ、白色光に変換したものだ。このほか、紫外LEDを利用したものもある。光出力が白色に見えるように、いくつかの蛍光体を組み合わせて使う。
 こうした白色LEDで暖かみのある色を作り出すのは難しい。現状では、白熱電球はもちろん、蛍光灯の明かりと比べても、あまり好まれない色みである。さらに、こうした白色LEDでは白熱電球に比べると特性の変動が大きい。個体ごとに出力光のスペクトラムが大きくばらつくほか、動作条件によるスペクトラム変動が大きい。
 この問題を解決する方法はすでに考案されている。青色LEDあるいは紫外LEDだけを使う代わりに、赤色と緑色、青色の3種類のLEDを組み合わせて使う。各LEDをデューティーを変えられるパルス信号で駆動する。こうすると、出力色を可視スペクトラム全体にわたって任意に変えられる。ところがこの方法は、一般の照明用として採用するにはコストが掛かり過ぎる。このため現在のところ、劇場照明のような特殊な用途に限って採用されている。
 3色のLEDを組み合わせたLEDランプは劇的な視覚効果を生み出す。今後コストが十分に下がれば、白色LEDの「暖かみ」の課題を解決できる可能性がある。ただし、もっと早くにこの問題を低いコストで解決する手法が完成しそうだ。青色LEDまたは紫外LEDのどちらかに、発光強度の低い黄色LEDを組み合わせる手法が現在のところ有力視されている。

マイコンを組み込む

 照明器具の市場はコストに対して非常に敏感である。低コスト化の要求が強い。ところが現在、LEDを光源とした照明器具には、驚くほどの技術が投入されている。3個のLEDと1個の8ビット・マイコンを組み込んだLEDランプは、今やごく普通の製品である(図1)。マイコンを使って照明の制御機能を実装した装置は、一般の製品に比べて高い価格が許容されるニッチ(すき間)市場に向けたものである。それでも、劇場用照明装置のようにある種のプログラマビリティーを必要とする用途では、マイコンを組み込んだ照明装置が採用されることがある。
 プログラマビリティーを実現するためには、照明装置を照明制御装置(調光操作卓)から制御できるように、通信機能を用意しておく必要がある。このため照明業界は、照明機器の通信規格DMX512*を策定した。マイコンやASIC*などを使って、各照明装置にDMX512規格準拠の通信コントローラー機能を実装する。
 DMX512の通信プロトコルはイーサーネットの物理層を使ってやりとりできる。イーサーネットは企業のオフィスや工場に広く普及しているネットワークである。このため照明機器メーカーは、DMX512準拠の照明制御信号をイーサーネット経由でやりとりする照明装置を用意した。現在では、照明制御機能とそのほかのビル管理機能がイーサーネットの物理層を共有している事例がある。
 照明市場は十分に成熟した市場である。このため、市場は数多くのセグメントに細分化されている(表1図2)。メーカーは、細分化された各セグメントに対して、最適な仕様の製品を提供する必要がある。ところが照明業界を外から眺めると、1つの製品が複数のセグメントに対応できるのではないかとの印象を受ける。しかしこれは間違いである。各セグメントのニーズは微妙に異なっているからだ。
 これらの市場セグメントのうち、LEDランプにとって現在最も有望なのは交通用照明の分野である。LEDランプはすでに自動車のブレーキ・ランプとして採用例が豊富にある。LEDランプを採用したブレーキ・ランプは、運転者が自動車を急停車させようとしたときの安全マージンを増やせる。LEDランプの応答時間が白熱電球に比べて短いからである。LEDブレーキ・ランプが最高輝度に達するまでの時間は、白熱電球を用いた従来のブレーキ・ランプに比べて100ms程度も短い。
 LEDランプを使うメリットはほかにもある。LEDブレーキ・ランプは付属のレンズを含めても、白熱電球のブレーキ・ランプに比べて小型である。従って、LEDブレーキ・ランプを採用することで自動車のトランクに利用できる空間を若干増やせる。さらにLEDランプはほかの種類のランプに比べて、機械的衝撃に対する耐性が高い。また、白熱電球品よりも低いコストで洗練された外観デザインを実現できることが多い。
 車載用の照明としてLEDが使われているのはブレーキ・ランプだけではない。ほかにも、ダッシュボードに組み込んだ計器やスイッチの照明、車室内照明などに採用されている(図3)
 交通用照明の分野では、交通信号灯として普及が始まっている。LEDを使った交通信号灯は、白熱電球を利用した従来の交通信号灯をかなりの勢いで置き換えている。LEDは固体発光素子であるため、白熱電球に比べてエネルギー・コストが低く、寿命が長い。寿命が長いことから、人件費を考慮した場合の交換コストが低く抑えられる。1個のランプが数多くのLEDを内蔵することによって信頼性を高めれば、交換間隔をさらに延長可能である。ただしそういった工夫を施すまでもなく、交通信号灯をLED品に置き換えることで交換コストは劇的に下がる。
 現在のところ、LEDを利用した交通信号灯には複数のLEDが搭載されている。LEDの光出力が現在の値から1/3程度も向上すれば、1個のLEDと、LEDの光出力が広い面光源から発しているように見せるディフューザー(拡散板)だけで交通信号灯を実現できるはずである。この光出力向上にはそれほど時間を要しないであろう。LEDを使った交通信号灯が登場してから5年が経つ。この5年間で、LEDの光出力は約20倍に高まっているからだ。

発展途上国に明かりをともす

 照明業界のアナリストは、LEDを利用した照明の需要は発展途上国において特に高いとみている。工業化が進んでいるにもかかわらず、電力供給のインフラストラクチャー(インフラ)が十分に整備されていない地域が数多く残されているからである。アナリストによると、LED照明は有線通信の基盤整備が不十分な地域における無線通信と同じくらい重要だという。発展途上国では、生産的な作業を昼間にしか行えないことが多い。夜間の作業や読書は灯油ランプのような照明器具を使えば理論的には可能だ。ただし実際には、ランプの燃料を供給するためのインフラが適切に機能していないことが多い。
 LEDを利用した照明装置は、太陽電池を使って電力を確保できる。燃料供給のためのインフラは不要である。昼間に太陽から受けたエネルギーを電池に蓄積しておけば、夜間の作業が可能になる。この結果、生産的な作業に利用できる時間を従来に比べて3割程度延ばせる。
 LED照明を利用してかつての暗闇に明かりをともす、もう少し身近な例を挙げよう。ノート・パソコンのキーボード用照明である。明かりと電源コンセントがない場所でノート・パソコンを使用しているとしよう。日が暮れてくると、パソコンのモニターからの明かりだけではキーボードに刻印された文字が見づらくなってくる。ブラインド・タッチを使わないユーザーは特に不自由を感じるだろう。
 こういった状況では、パソコンのUSBポートに接続するだけで使えるLEDランプが非常に便利である。LEDランプはパソコンのUSBポートから電力を得るだけである。パソコンとデータのやりとりはしない。米レベンジャー社*が実際にUSB接続のLEDランプを販売している。5個の白色LEDを搭載した発光ユニットを備えた。支柱の長さは47cm程度。支柱は自在に折り曲げられるようになっている。USB1.1とUSB2.0に対応したUSBポートを備えた。価格は19.95米ドルである。

熱管理と電源回路が課題に

 LEDランプを利用した照明器具を設計する際には、2つの点に注意する必要がある。1つは熱管理で、もう1つは電源回路である。この2点は、白熱電球や蛍光灯を使って同等のハードウエアを設計する場合には問題にならない。
 まず熱管理について確認してみよう。白熱電球の場合、発熱によって電球自体が損傷を受けることはない。白熱電球のフィラメントは白熱して発光する必要があるため、かなりの高温に耐えられるようになっているからだ。従って必要なのは、発熱に関してユーザーに注意を呼び掛けることである。発熱した照明器具に触ってやけどしたり、照明器具の発熱によって火災が発生したりする可能性があるからだ。蛍光灯では通常、こういった問題は生じない。消費電力が小さく、発熱量が少ないからである。
 LEDランプは、蛍光灯と同様に効率が高い。効率は発光色によって変わるが、蛍光灯より少し高いか、若干低い程度である。ところがLEDランプでは蛍光灯と異なり、熱管理が非常に重要になる。これは、LEDが半導体素子であるからだ。温度が高くなり過ぎると素子の寿命が短くなったり、場合によっては寿命が尽きてしまったりする。
 LEDランプの光出力とLEDランプへの供給電力は増え続けている。このため熱管理の必要性はますます高まっている。ただし、強制空冷機構は一般的な照明器具のユーザーが受け入れない可能性が高い。従って、ヒート・シンクなどの自然空冷機構を使ってLEDの温度上昇を抑える設計が不可欠になる。
 次に電源回路について考えてみる。白熱電球はほとんどの場合、電源供給回路が不要である。交流電源で直接動作できるからだ。蛍光灯の場合にはバラスト・モジュールが電源回路とほぼ同じ働きをする。バラスト・モジュール技術はすでに確立されている。照明器具の設計者は適切なバラスト・モジュールを選択すればよい。
 これに対し、LEDランプに向けた電源回路技術はまだ完成されていない。現在も進化を続けている。このため照明器具の設計者は、設計ごとに最適な電源IC(LED駆動IC)を選択する必要がある。半導体ICの動作電圧が低くなるにつれて、半導体ICに向けて開発した電源ICの出力電力は、LEDの駆動に適当なところまで下がってきた。出力の大きなLEDランプの駆動にも利用できる。
 さらに、LED駆動ICのコストは今後、大きく下がると期待できる。半導体ICメーカーが低電圧動作ICの生産量を増やすことで、LED駆動ICのコストにも量産効果が波及するからである。

用語解説 / 会社情報
【LED】
light emitting diode
発光ダイオード
▲本文へ戻る
【CFL】
compact fluorescent lamp
小型蛍光灯
▲本文へ戻る
【HID】
high intensity discharge
高輝度放電
▲本文へ戻る
【COL】
cost of light
照明コスト
▲本文へ戻る
【TVM】
time-value of money
貨幣の時間的価値
▲本文へ戻る
*1)
LEDを利用した照明に関する情報は、北米照明学会(IESNA:Illuminating Engineering Society of North America)のウエブ・サイトからも入手できる。アドレスはhttp://www.iesna.org/
▲本文へ戻る
【米カラーキネティクス社】
Color Kinetics Inc.
LEDを利用した照明装置を製造、販売する米国企業。ホームページはhttp://www.colorkinetics.com/。日本法人はカラーキネティクス・ジャパン。ホームページはhttp://www.colorkinetics.co.jp/
▲本文へ戻る
【独オスラム社】
Osram GmbH
照明器具および電球の大手メーカー。ホームページはhttp://www.osram.com/
▲本文へ戻る
【DMX512】
劇場などの演出用照明装置と制御装置間の通信規格。米国劇場技術協会(USITT:United States Institute for Theatre Technology, Inc.)が規格を策定した。規格の詳細については、同協会のホームページで閲覧できる。アドレスは下記の通り。
http://www.usitt.org/DMX/DMX512.htm
▲本文へ戻る
【ASIC】
application specific integrated circuit
特定用途向けIC。
▲本文へ戻る
【米フェアチャイルドセミコンダクター社】
Fairchild Semiconductor International, Inc.
パワーICを主力製品とする米国の半導体メーカー。LEDランプなどの光部品も手がけている。ホームページは、http://www.fairchildsemi.com/。日本法人はフェアチャイルドセミコンダクタージャパン。ホームページはhttp://www.fairchildsemi.com/jp/
▲本文へ戻る
【米レベンジャー社】
Levenger Co.
読書用照明器具などを扱う米国の小売業者。ホームページは下記の通り。
http://www.levenger.com/
▲本文へ戻る
雑誌無償購読申込み ニュースレター登録 この記事に対する感想/ご意見
Reed Electronics Group
Electronic BUSINESS Japan | Design News Japan | Semiconductor INTERNATIONAL | DETAIL JAPAN
EDN Japanについて | 広告掲載について | サイトマップ | お問合せ
 Copyright (C) 2000-2007 Reed Business Information Japan K.K. 
個人情報に関する方針 | 著作権・リンクについて | 会社情報