車内機器が運転に悪影響を及ぼす
米NHTSA(米高速道路交通安全局)*によれば、自動車事故の発生原因の多くは、運転者による不注意やわき見運転である。不注意の中で最も注目すべき原因に、運転中に携帯電話機を使用する行為がある。このため、携帯電話機などの機器を運転中に使用させないような法規制化が試みられている。
米国の「雇用者のための交通安全ネットワーク*」は注意力低下の原因として最も多いのは、運転中にコーヒーをこぼしたり、あるいは床に何かを落したりといった行為だと指摘する。次に多いのは、ラジオやエアコンなどの操作だという。
テレマティックス・システムのベンダーは、運転者の注意力が低下しないように、ハンズフリーや音声認識などによるユーザー・インターフェースを提供しようとしている。しかし全米自動車協会交通安全財団(American
Automobile Association Foundation for Traffic Safety)*によると、ハンズフリー電話機も、運転者の注意力を低下させる原因になっているという。新型のカー・ナビゲーション・システムも同様である。このシステムは車線変更を合成音声で指示する。ただし運転者がナビゲーション・システムのディスプレイを見てしまうと、自動車の周囲に対する注意がそれてしまう。このため、走行中には地図表示ディスプレイに運転者がアクセスできないようにした機種もある。
テレマティックス・システムのベンダーは、電子メール機能やウエブ閲覧機能といった、運転とは無関係な機能の追加を検討している。しかし、運転者の注意力を低下させる新たな原因とならないように、これらの機能を提供できるのだろうか。
NHTSAのテストによると、音声出力の電子メール・システムが動いている場合、先行車両の周期的なブレーキに対する後続車両の応答時間が30%、あるいは310ms増加する。主観的作業負荷評価でも、音声によるやり取りは運転者の認知能力にとって大きな負荷となるという結果が出ている。
使用が制限されたり、安全性に不安を生じたりする不要な製品の設計に大きなリソースを投入することは、製造物責任は別としても、テレマティックス・ベンダーにとって大きなリスクとなるだろう。
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