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2004年2月号
インピーダンス制御が可能な
スルーホール設計手法


多層ボードで高速信号を伝送する場合、層間接続にはスルーホールなどのビアを使う。このとき、スルーホールと信号経路の特性インピーダンスが整合していないと、信号品質が損なわれてしまう。このためインピーダンスの不整合を抑える技術が必要になる。ビア構造そのものを工夫する手法もあるが、ボードの製造コストが跳ね上がる。今回は、スルーホールを使って、その配置を工夫するだけでインピーダンスの不整合を抑える手法を紹介する。 (本誌)

トーマス・ノイ*1) 米テキサス・インスツルメンツ社
Thomas Neu Texas Instruments Inc.
 ボード上の信号伝送において、データ伝送速度が3Gビット/秒を超えると、信号の品質(シグナル・インテグリティー)を確保することが重要な課題になってくる。一般に、信号経路におけるインピーダンス不整合はできるだけ発生させないようにする。インピーダンス不整合があるとジッターが発生し、信号品質を劣化させてしまう。信号のアイ・パターンはつぶれ、結果としてデータを誤りなく伝送できる距離が短くなる。さらに、SONET*XAUI*などが定めたジッター規格に対する余裕度が小さくなってしまう。
 実際のボード設計では、配線密度が高まるにつれて信号配線層数を増やす。そしてビアを使って信号配線層をほかの信号配線層と接続する。このとき最もよく使われるビアが、いわゆるスルーホールである。
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 一般に、スルーホールの特性インピーダンスは25〜35Ω程度になる。ところが信号経路は通常、50Ωに設計してある。このためスルーホールとの接続部で大きなインピーダンス不整合が生じてしまう。つまり、スルーホールを経由することで信号はひずむ。信号のアイ・パターン開口率は最大で3dBも減少してしまう。さらに、データ伝送速度によっては大きなジッター成分が発生する可能性がある。
 これを防ぐためボード設計者は、スルーホールなどのビアを信号経路として使わないようにしたり、使用する場合にはブラインド(blind)・ビアやバックドリル(back-drilled)・ビアを採用したりする必要があった。こうすれば確かに、信号品質をある程度は確保できる。ただし、ボードの製造コストは大幅に上昇してしまう。
 そこで今回は、この問題を解決できるスルーホール技術を提案する。この技術は、同軸ケーブルに似た構造をスルーホールに適用したものである。具体的には、信号を伝送するスルーホールの周囲に、接地電位のスルーホールを配置する。この技術を使えば、ボードの製造コストを上げずにスルーホールによるインピーダンス不整合を抑えられる。
 実際にこのスルーホール技術を適用して多層ボードを試作し、伝送線路特性をTDR*測定法で調べた。その結果、スルーホールの特性インピーダンスは50Ω±2Ωに設定することができた。つまりインピーダンス不整合は、50Ωに設計した伝送線路に対して最大で4%と小さい。さらに、スルーホールを経由した信号の波形を観測したところ、一般的なスルーホールを通過した信号に比べて波形品質が高かった。

接地スルーホールで特性を決める

 今回のスルーホール技術を使うと、スルーホールの特性インピーダンスを制御し、最適な値に設計できるようになる。このことから、この技術を使って製造したスルーホールを「インピーダンス制御型スルーホール」と呼ぶことにする。
 インピーダンス制御型スルーホールの原理は同軸ケーブルと同じである。同軸ケーブルでは、信号線をシールド被膜で覆うことで特性インピーダンスを均一にする。これをスルーホールに応用した。すなわち、信号伝送用スルーホールを中心とした円の上に、接地電位のスルーホールを4つ配置して、これらをシールド被膜の代わりにする(図1)
 接地電位用スルーホールは、ボードの接地層または電源層に接続する。このため、これらのスルーホールと信号伝送用スルーホールの間にはある大きさの静電容量が生じる。この静電容量の大きさは、スルーホールの直径と媒質(ボード材料)の誘電率、信号伝送用スルーホールと接地電位用スルーホール間の距離によって決まる。
 信号伝送用スルーホールの静電容量はボードの厚み方向に対して一様にしなければならない。このため、信号伝送用スルーホールとボードの内層にある接地/電源パターンとの距離は、信号伝送用スルーホールと接地電位用スルーホールとの間隔と同じにする必要がある。そこで、信号伝送用スルーホールを通過させるために接地層の接地パターンに設ける開口部(アンチパッド)の形状に注意する。つまり、開口部の形状は信号伝送用スルーホールの同心円にする。さらに、開口部の外側と接地電位用スルーホールを、スルーホールが開口部の外側にくるように接触させる。
 このような配置にしないと、ボードの厚み方向に対する静電容量は一定にならない。例えば、開口部の半径を接地電位用スルーホールに届かないほど短くしてしまうと、その部分の静電容量だけ大きくなってしまう。
 接地電位用スルーホールは、伝送信号に対する帰還電流経路(リターン・パス)の役割を果たし、信号伝送用スルーホールと接地電位用スルーホールの間にインダクタンス・ループを形成する。信号伝送用スルーホールと接地電位用スルーホール間の静電容量とインダクタンスは簡単な計算式で求められる*2)
 計算式を簡略化するため、両スルーホールの直径は同じであると仮定する。スルーホールの半径をa、信号伝送用スルーホールと接地電位用スルーホールの中心間距離をDとすれば、信号伝送用スルーホール1本と接地電位用スルーホール1本の間のインダクタンスは次式で計算できる。


 また、静電容量は次式で求められる。


 各スルーホールはボードの厚み方向に対して一様である。このため、信号伝送用スルーホールの特性インピーダンスZは次のようになる。


 式@は平行2線間の静電容量を求める基本的な式である。インピーダンス制御型スルーホールでは、信号伝送用スルーホール1本に対して接地電位用スルーホールを4本配置する。従って、信号伝送用スルーホールを流れる正電荷に対応する負電荷は、4本の接地電位用スルーホールに均等に分配される。ただし全体の静電容量の大きさは、平行2線間について求めた値と変わらない。
 一方、インダクタンスは平行2線間について求めた値と異なる。信号伝送用スルーホールと4本の接地電位用スルーホール間に4つのインダクタンス・ループが並列に形成されるからである。この結果、インダクタンス値は平行2線間について求めた値の1/4になる。従ってインピーダンス制御型スルーホールの特性インピーダンスは次式で計算できる。



信号経路をTDR測定法で観測

 インピーダンス制御型スルーホールの有用性を実証するため、評価ボードを試作した。ボードの材料には、米ポリクラッド・ラミネーツ社*米ロジャース社*のFR4を使った。評価ボードは層数と、基板の厚さが異なるものを複数枚用意した。層数は最小で6、このときの基板厚さは1.55mmである。最も層数が多いものは16層、厚さは3.30mmだった。
 これらの評価ボード上にスルーホールを備える信号経路を形成し、特性インピーダンスの計算値とTDR測定法による測定値、3次元電磁界解析によるシミュレーション値を比較した。なお、3次元電磁界解析には独CST社*の3次元電磁界解析ツール「Microwave Studio*」を利用した。
 測定結果は、用意したすべての評価ボードにおいて、計算値の±2Ω以内に収まった。表1は、層数が6で厚さが1.55mmの評価ボード(比誘電率εr=4.1)における計算値と測定値、シミュレーション値である。
 TDR測定法は、信号経路の途中に配置したスルーホールの特性インピーダンスを測定するのに有効である。また、スルーホール以外の要因によって生じるインピーダンス不整合の評価にも使える。評価ボード上に作成した2本の信号経路を、TDR測定法で評価した例を図2に示す。
 2本の信号経路は、採用したスルーホール技術だけが異なる。すなわち、一方は従来型スルーホールである。スルーホールの直径は0.37mm、接地パターンとの間隔(開口部の半径、アンチパッド)は0.25mmである。もう一方はインピーダンス制御型スルーホールを採用した。信号伝送用スルーホールの直径は0.37mm、信号伝送用スルーホールの中心と接地電位用スルーホールの中心との距離は1.04mmである。
 TDR測定の結果から、SMA型コネクターによるインピーダンス不整合はどちらの信号経路でも同程度と分かる。また、インピーダンス制御型スルーホールの特性インピーダンスは約52Ωであり、従来型スルーホールの特性インピーダンスは48〜54Ωの範囲であると読み取れる。インピーダンス制御型スルーホールの方が、高いインピーダンス整合性を実現できる。ただし、従来型スルーホールのインピーダンス整合性はそれほど低くはない。信号のひずみはさほど大きくないと期待できる。

周波数特性をsパラメーターで確認

 TDR測定には弱点がある。それは、測定装置の立ち上がり時間*3)によって測定結果が変化してしまうことである。またTDR測定結果からは、インピーダンス不整合の周波数特性は読み取れない。従って、周波数特性を評価したり比較したりするためには、ネットワーク・アナライザーを使ってsパラメーター(透過特性S21)を測定する必要がある。
 S21特性は、信号の特定周波数成分が、どれだけ信号経路を通過できるかを示す。また、ほかの周波数成分がどれだけ反射されるか、または減衰されるかも表している。図3は、TDR測定で使用したのと同じ評価ボードのS21測定結果である。インピーダンス制御型スルーホールは非常に良好な周波数特性を示している。10GHz付近までは共振点がない。一方で従来型スルーホールは、複数の周波数で反射による共振が生じている。これらの共振はその周波数において信号を大きく減衰させ、信号品質を特に劣化させる要因になってしまう。
 図4が今回使用した評価ボードである。信号入力用のSMA型コネクターから各スルーホールまでの距離は35.6mmである。この距離が、従来型スルーホールのS21プロットにおける2.35GHz付近の共振に対応している(後述の式Aを参照)。
 このほかの共振は、帰還電流経路が主な原因となって生じている。従来型スルーホールは、信号の帰還電流経路を備えていない。このため、帰還電流はスルーホールの最も近くに存在する、インダクタンスが最も小さい経路を流れることになる。評価ボードでは、従来型スルーホールから最も近いSMA型コネクターの接地用スルーホール(17.8mm)と、隣接した信号経路に設けたインピーダンス制御型スルーホールの接地電位用スルーホール(20.3mm)を通ることになる。実際に図3のS21プロットを見ると、共振周波数は4.2GHz(20.3mm)ではなく5GHz(17.8mm)にある。この結果から、帰還電流はSMA型コネクターの接地用スルーホールを流れていると確認できた。
 さらに帰還電流は、前述したSMA型コネクターの接地用スルーホールと、そこからさらに離れた場所にあるSMA型コネクターの接地用スルーホールの間にも流れている。この2つの接地用スルーホールの距離は40.6mmであり、これによって2GHz付近にもう1つの共振が発生している(式Bと式Cを参照)。帰還電流によるこれらの現象は、図3のS21測定結果ではっきりと確認できる。
 従来型スルーホールを備えた信号経路の共振周波数は、次式で求められる。



スルーホールにも帰還経路が必要

 S21の測定結果から次の2つのことが分かる。第1に、共振周波数は信号経路におけるインピーダンス不整合点の位置に大きく依存するということである。それでは、スルーホールを信号送信回路やコネクターなどの直近に配置すれば、インピーダンス不整合を例えば10GHz以下の周波数で発生しないようにできるのだろうか。実際にはそのようにはできない。この方法が有効になるのは、信号受信回路のインピーダンス整合が完全に取れている場合だけである。そうでないと、受信回路で反射が生じてしまう。さらに送信回路に最も近いスルーホールにおいて、別の反射が発生するはずである。これらの反射は、受信回路からスルーホールを経由して受信回路に再び戻ってくる。このため、さらに低い周波数で別の共振を発生させる。
 第2に、信号の帰還電流が共振の大きな原因になるということが指摘できる。図3は、帰還電流経路だけが異なる2つの信号経路のS21特性を示したものと言える。実際に2つの信号経路はほとんど同じ構造で、TDR測定で観測したインピーダンス不整合性はわずかに異なるだけだった。
 これらのことから、帰還電流経路をスルーホールの近くに設置しておかないと、複数の周波数において共振が発生してしまうことが分かる。帰還電流は常に、スルーホールから最も近く、インダクタンスの小さい経路を流れる。この原則は、帰還電流経路がスルーホールから数10mm離れていたとしても変わらない。このため帰還電流は長い距離を流れることになり、共振を引き起こしてしまう。
 帰還電流は、接地層または電源層といった内層との間に生じる静電容量を介して流れることもある。通常この静電容量はとても小さい。このため実際には、非常に高い周波数成分しかこの経路を通過できない。従ってほとんどの場合、帰還電流は接地層に接続したスルーホールのうち、最も近いものを通ることになる。
 一般に帰還電流が流れるスルーホールは、信号伝送用スルーホールからかなり離れていることが多い。電流の帰還経路を確かめるため、3次元電磁界解析ツールで調べてみた(図5)図5(a)はインピーダンス制御型スルーホールの解析モデル、図5(b)は従来型スルーホールの解析モデルである。従来型スルーホールには、スルーホールから約2.5mmの距離に接地電位用スルーホールを配置した。電流密度を解析した結果、従来型スルーホールでは帰還電流のほとんどが、接地電位用スルーホールに流れていることが確認できた。S21測定で観測した共振は、このように電流の帰還経路が長くなった結果として発生したものである。
 広い周波数範囲にわたる共振の影響を調べるには、PRBS*(疑似ランダム・ビット列)信号のように周波数帯域が広い信号を信号経路に入力する。今回はデータ伝送速度が3.125Gビット/秒の疑似ランダム・ビット列(パターン長は27−1ビット)を、従来型スルーホールを備えた信号経路とインピーダンス制御型スルーホールを備えた信号経路の両方に入力し、出力信号を観察した(図6)。信号経路の長さは71mm程度である。
 この程度の長さでも、スルーホールによる信号波形の違いが明確に表れている。従来型スルーホールは、信号品質に影響を与える周波数成分を減衰させてしまう。この結果、従来型スルーホールの出力波形(黄色の波形)は、インピーダンス制御型スルーホールの出力波形(緑色の波形)と比べて、伝送信号のアイ・パターン開口率が悪化し、さらに信号の立ち上がり時間が長くなっている。

特性インピーダンスを低下させるな

 インピーダンス不整合はできるだけ小さくしておく必要がある。TDR測定で小さな不整合しか観測されなくても、S21プロットを確認してみると特定の周波数において反射による共振が生じていることが分かった。この共振が信号品質に影響を与える。インピーダンス制御型スルーホールを使ってこの不整合をできるだけ小さくしておくべきである。
 インピーダンス制御型スルーホールの特性は、アンチパッド(信号伝送用スルーホールと接地パターンとの間隔)の大きさや信号配線の幅、信号配線をスルーホールに接続するパッドの大きさなどによって決まる。特にアンチパッドは重要である。アンチパッドは、信号伝送用スルーホールと接地電位用スルーホールの中心間距離(D)と、各スルーホールの直径(2a)の差分(D-2a)よりも大きくしておく。これは接地パターン(あるいは電源パターン)が信号伝送用スルーホールに近づき過ぎるのを防ぐためである。接地パターンを信号伝送用スルーホールに近づけ過ぎると、信号伝送用スルーホールとの間の静電容量が増大し、スルーホールの特性インピーダンスが50Ωよりも小さくなってしまう。
 ほかにも注意すべきことがある。表面層または裏面層に形成した信号配線(マイクロストリップ・ライン)を内層の信号配線(ストリップ・ライン)に接続するためにスルーホールを使うと、このスルーホールがオープン・スタブを形成してしまう*4)。オープン・スタブの長さによっては、信号品質を悪化させてしまう可能性がある。
 オープン・スタブの長さが、信号の立ち上がり時間に対して十分に短ければ問題はない。ところが、オープン・スタブが長いと信号にひずみが生じる。例えば、1mmのオープン・スタブはデータ伝送速度が3.125Gビット/秒、立ち上がり時間が約50psの信号から見ると、約14psの遅延時間に相当する。オープン・スタブの長さが、信号波形に影響する周波数の1/4波長に相当する場合が最も深刻である。オープン・スタブはその周波数において信号経路上に電気的な短絡状態を作り出し、その周波数成分を打ち消してしまう。
 また、スルーホールの直径は、スルーホールに接続する信号の配線幅に応じて選択するべきである。例えば、信号配線幅がスルーホールの直径よりもかなり狭い場合は、信号配線をスルーホールに接続するパッド部分がインピーダンスの不整合点となってしまう。今回の議論では、信号伝送用スルーホールと接地電位用スルーホールの直径は等しいと仮定していた。従って、異なった直径のスルーホールを使う場合は、静電容量を求める計算式を変更する必要がある。
 このほか信号配線層(表面層など)においては、接地電位用スルーホールのパッドと、その近くに配置した信号配線との距離を、信号配線と接地層の距離(層間厚さ)よりも長くしておく。接地層よりも近い位置に、接地電位に接続したほかの導体が存在すると信号配線の静電容量が増加してしまうからだ。この結果、特性インピーダンスは50Ωよりも小さくなる。これを防ぐため評価ボードでは、信号配線と接地電位用スルーホールのパッドの距離を約0.28mmとし、信号配線層と接地層の距離(層間厚さ)を約0.25mmとした。
 もう1つ重要な点はスルーホールのパッドの大きさである。このパッドはできるだけ小さくする必要がある。つまり、信号伝送用スルーホールと接地電位用スルーホールに設けたパッドの間隔を、スルーホール同士の間隔にできる限り近づける。パッドを大きくするとパッド間隔が狭くなり、スルーホールの静電容量が大きくなる。その結果、特性インピーダンスは50Ωよりも小さくなってしまう。

少ないボード・スペースに収める

 実際のボード設計では、信号配線用スルーホール1本に対して接地電位用スルーホールを4つ配置できるとは限らない。接地電位用スルーホールの代わりに、電源配線用スルーホールを使ってもよい。ただしこの際には、電源から接地への帰還電流経路を確保するためにバイパス・コンデンサーを近くに配置しておく必要がある。
 例えば、端子グリッド間隔が1mmのBGA*パッケージ内にインピーダンス制御型スルーホールを適用した基板を収めたとする。信号伝送用スルーホールの外側に配置するスルーホールのうち、接地電位に接続できるスルーホールは2つだけで、ほかの2つは電源電位に接続する必要が生じる可能性がある。この場合には、BGAパッケージ内部の接地パターンと電源パターン間に表面実装型のバイパス・コンデンサーを配置すればよい。
 インピーダンス制御型スルーホールは差動信号に対しても応用が可能である。このときは、差動信号に対応した2本の信号伝送用スルーホール間の接地電位用スルーホールは共有できる。つまり、差動信号伝送用スルーホール2本に対して接地電位用スルーホール6本を配置すればよい。こうすればボード上のスペースを節約できる。米テキサス・インスツルメンツ社では、実際にこの方法をXAUIトランシーバー用評価ボードで採用した。
 BGAパッケージの内部スペースを有効に活用できた。
 インピーダンス制御型スルーホールを使うと、多層ボードの層構成を変更したり、信号伝送用スルーホールの配置をボード上で変更したりしても信号品質が変わらないという利点がある。従来型スルーホールでは、層構成を変更するとスルーホールの静電容量が変化し、特性インピーダンスが変わるという問題があった。また帰還電流経路を明確に定めていないため、スルーホールの配置を動かすと帰還電流経路が変化し、異なる周波数に共振を生じる可能性があった。
 インピーダンス制御型スルーホールでは、信号伝送用スルーホールの静電容量を接地電位用スルーホールで制御できる。さらに、この接地電位用スルーホールが帰還電流経路として機能するため、不要な共振を抑えられる。

用語解説 / 会社情報
*1)
トーマス・ノイ氏は現在、米テキサス・インスツルメンツ社のアプリケーション・エンジニアを務めている。高速シリアル・リンクの開発を担当しているほか、SERDES用LSIや高周波設計に関するるユーザー・サポートを行っている。独ランツフートの応用科学大学で工学士号を取得した。
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【SONET】
Synchronous Optical Network
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【XAUI】
10Gigabit Attachment-Unit Interface
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【TDR】
time domain reflectometry
まず、立ち上がり時間が短い高速パルス信号を被測定物に入力する。その後、印加したパルス信号の反射信号を観測する測定技術。
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*2)参考文献
Pozar, David M, "Microwave Engineering, Second Edition", John Wiley & Sons Inc., 1998, p.62.
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【米ポリクラッド・ラミネーツ社】
Polyclad Laminates, Inc.
銅張積層板などのプリント基板材料を手がける米国メーカー。ホームページ・アドレスは以下の通り。
http://www.polyclad.com/
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【米ロジャース社】
Rogers Corp.
高周波を扱うプリント基板材料などを得意とする米国の基板材料メーカー。ホームページ・アドレスは以下の通り。
http://www.rogers-corp.com/
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【独CST社】
Computer Simulation Technology(CST)GmbH
電磁界解析ツールや回路シミュレーターなどを手がけるEDAツール・ベンダー。ホームページ・アドレスは以下の通り。
http://www.cst.com/
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【Microwave Studio】
日本国内では「MW-Studio」の名称で販売されている。国内連絡先はエー・イー・ティー ジャパン。同社のホームページ・アドレスは下記の通り。
http://www.aetjapan.com/
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*3)
TDR測定装置の立ち上がり時間は2つの要素で構成される。1つは、測定装置が被測定物に対して出力するパルス信号の立ち上がり時間。もう1つは、測定装置が被測定物からの反射波を受け取る際の、測定装置の応答時間である。
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【PRBS】
pseudo random bit stream
疑似ランダム・ビット列
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*4)
スルーホールによるオープン・スタブについてはEDN Japan、2003年9月号、no. 31、「10Gボード設計、スルーホールの最適化がカギ」を参照されたい。同記事はEDN Japanのホームページでも閲覧できる。アドレスはhttp://www.ednjapan.com/content/issue/2003/09/designf20309.html
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【BGA】
ball grid array
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