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designideas
2004年1月号
周波数・電圧変換器の線形性を改善する回路

佐藤尚一 新日本無線 汎用IC事業部
Hisakazu Sato New Japan Radio Co.,Ltd.
 周波数・電圧変換器の線形性(リニアリティー)を改善する手法を提案する。周波数・電圧変換器とは、ある周波数のパルス信号を入力すると、その周波数に比例した直流電圧が得られる回路だ。一般には、単安定マルチバイブレーターを使って実現する(図1(a))。これを使えば周波数・電圧変換器を簡単に構成できる。しかし欠点がある。周波数範囲を広く取ると線形性が劣化するという問題だ。
 線形性が劣化する理由を図1を使って説明しよう。まずA点に負のパルス信号を入力すると、NANDゲートU1があるためB点には正のパルス信号が出力される(図1(b))。同時に、このパルス信号はコンデンサーCTの充電を開始する。一方、C点の電圧はCTとRTで決まる時定数にしたがって、電源電圧VDDから徐々に減少して行く。U2はインバーターである。このためC点の電圧としきい値電圧VTHを比較して、C点の電圧がVTHを超えている期間だけ信号を出力する。これがD点の電圧波形になる。
 B点の電圧がゼロになると、コンデンサーCTは放電を開始する。放電を開始した当初は、ダイオードD1がオン状態であるためコンデンサーの放電は一気に進む。しかしCTの端子電圧が0.7V程度になると、D1がオフして電流が流れなくなる。すなわち放電電流の経路が変わる。次の経路はRTである。ただしRTの抵抗値は、3.6kΩと比較的大きい。放電の速度が大幅に遅くなる。この結果、A点に入力されるパルス信号の周波数が高い場合は、CTに蓄えられた電荷の放電が完了しないうちに新たなパルス信号が入力されるという現象が発生する(図2)。これが線形性を劣化させる原因になる。
 そこでコンデンサーCTに蓄えられた電荷すべてを短時間で放電させるために、新たな放電経路を追加する(図3)。追加する回路(線形性改善回路)は、2つのダイオード(D2とD3)と抵抗RBからなる簡単なものだ。ただしD3には、バイアス電流IBを常時流しておき、順方向電圧降下VFを発生させておく。
 線形性改善回路を追加した後の放電電流経路は以下のようになる。まず、放電当初は主にダイオードD1を介して流れる。CTの端子電圧が下がりD1がオフしても、ダイオードD2を経由して放電が続く。D2はダイオードD3の順方向電圧降下VFでバイアスされているため、CTの端子電圧が0V付近に達してもオン状態を保持できるからだ。この結果、CTの電荷は一気に放電される。
 入力パルス信号の周波数と出力電圧の関係を測定した結果が図4である。従来の回路では、200k〜300kHz辺りから線形性が悪化していた。しかし線形性改善回路を導入したところ、2MHzまで高い線形性を確保できるようになった。なお別の実験では回路定数を見直すことで、15MHz程度まで高い線形性が得られることを確認している。
 実際に、図3の回路を使用する場合は、以下の2点に注意されたい。第1に、CTの放電電流である。放電電流は、NANDゲートを介して流れる。従って、この電流値がNANDゲートと放電経路にあるダイオードを破壊しないように、CTの容量値を決定する。図3では100pFに設定した。
 第2にインバーターの入力保護用抵抗Riである。インバーターの入力保護ダイオードの最大電流Iiを超えないように設定しなければならない。しかしRiを大きくしすぎると、インバーターの入力容量とRiによる時間遅れが発生してしまう。図3ではRiを1kΩに設定した。

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