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designideas
2003年11月号
VCSELにも使える半導体レーザー駆動回路

アンジェイ・ボルチコ ポーランドのAGH科学技術大学
Andrzej Wolczko AGH University of Science and Technology
 VCSEL*は、共振器長が短く、高性能のブラッグ・ミラーを用いた半導体レーザーである。発振波長は、赤外光の850nmなどが得られる。このため、従来のファブリペロー・レーザーとは違った特性が得られる。図1は、VCSELの発光特性をダイオード電流と光出力Pλの関係で表したものだ。例えば米レーザーメイト・グループ社*のVCSEL「TSC-M85A416」は、しきい値電流が約3mA、動作電流が約13mAである。いずれもVCSELでは典型的な値である。これらの電流値は温度にほとんど依存しない。
 このほかVCSELには次のような特徴もある。すなわち、動作電流が小さいこと、マルチモード光ファイバーとの結合効率が高いこと、スイッチング速度が高いこと、価格がファブリペロー・レーザーの1/3程度と低いこと、などである。このため、短距離の光ファイバー接続における光源としてLEDの代わりに使うこともできるだろう。
 図2は、同軸ケーブル用のライン・ドライバー「MC10EP89」(IC1)を用いたVCSEL駆動回路である。1ns未満の立ち上がり/降下時ECL*間で電流の向きを切り換えられる。IC1は75Ωの負荷を最小でも1.6Vの電圧振幅で駆動する能力を備える(図3)。IC1は差動信号入力で動作する。このため、OR/NORゲートの「MC10EP01」(IC2)を使ってシングル・エンドのECL入力信号を差動信号に変換する。120Ωの抵抗RMはパルス電流の振幅を制限し、RPはVCSELの分極電流の初期値を設定する。RPを無限大に設定すると、ドライバーの出力論理が低レベルのときにVCSELが実効的にオフされる。負荷抵抗RL はIC1を適切に動作させるために必要だ。選定したVCSELの品種や、発光特性に応じてRMおよびRPの値を最適化する。順方向電圧はVCSELの動的抵抗によって、全電流範囲内で約1.9Vから2.2Vまでばらつく。従って、RMとRPの抵抗値を設定する際にはこのばらつきを考慮する必要がある。
 VCSELの光出力をオフする際に、光パルス応答に若干の残光(テール)が観測される(図4)。電流をゼロに下げると(RP=∞)、残光の観測時間は短くなり大きさも小さくなるが、光出力の振幅も減少してしまう。図4に示した応答特性は、155Mビット/秒に対応するVCSELのものだ。レーザーメイト・グループ社は622Mビット/秒および1250Mビット/秒に対応するVCSELも供給している。
 この回路はVCSEL駆動信号を直流結合で取り扱う。駆動信号のデジタル値に対して光出力の振幅を常に一定に保つ。このためビット・パターン依存性は生じない。VCSELは温度特性が良いので、光出力を安定化するための複雑な回路が不要だ。スロー・スタート回路も不要である。ただし回路の動作速度が高いので、プリント基板の設計には注意が必要だ。高周波を扱う際の注意事項を守って設計する。例えば、配線はできるだけ短くすること、周波数特性が良い表面実装部品をなるべく使うこと、デカプリングを注意深く行うこと、などだ。もちろんVCSELの金属ケースは確実に接地し、チップとの間はきちんと絶縁する必要がある。

用語解説 / 会社情報
【VCSEL】
vertical cavity surface emi-tting laser
面発光型半導体レーザー
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【米レーザーメイト・グループ社】
Lasermate Group, Inc.
半導体レーザーや光トランシーバーなどを手がける米国メーカー。ホームページはhttp://www.lasermate.com/
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【ECL】
emitter coupled logic
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