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2003年7月号
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ブロードサイド結合構造における非対称問題
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図1に、ブロードサイド結合構造*1)による差動信号の配線レイアウトを示す。この構造は、プリント基板の表面層を始点とする2つの配線AとBからなる。それぞれプリント基板の2層目を通過し、3層目と4層目の配線からなるブロードサイド結合ストリップ線路に達する。
ビアXは、ビアYから4mm離れている。このため配線Aを流れる信号のリターン電流(点線で示した)は、実際の経路よりも4mm離れてしまい、さらに戻りの際も4mm離れた経路を通る。したがって、追加される総遅延時間は4mm×2×7ps/mm=56psと見積もることができる。もし同様の非対称性がブロードサイド結合配線の両端に存在していれば、配線Aの信号に追加される総遅延時間は112psになる。
この計算値は、実際の動作を完全にモデル化しているわけではない。実際には、電流経路となるビアの静電容量とインダクタンスが影響を与えるからである。しかし、もし2つの電流間のスキューが100ps程度であることが問題になるのであれば、2つのビアを近づけるか、もしくはブロードサイド結合構造を使わないかのいずれかを選択する必要がある。
基板の製造誤差も影響を与える
ブロードサイド結合構造における非対称問題の原因は、リターン電流経路の不平衡だけではない。2つの配線層間の交流電圧の差も影響を与える。すなわち3層目の配線は表面層と、4層目の配線は裏面層と強く結合するため、表面層と裏面層の電圧差が2つの配線の差動信号に影響を与えてしまうのだ。従って、ブロードサイド結合構造を使うときは、この2つの面の電源電圧を同じ値にし、複数のビアで2つの面をしっかりと接続する必要がある。表面層と裏面層において異なる電源電圧を使う場合は、2つの電源電圧間で発生するすべての電源電圧雑音をブロードサイド結合配線に直接結合させる必要がある。エッジ(サイド・バイ・サイド)結合構造では、2つの信号ラインは近くの同じ配線層に同じように結合するため、電源電圧雑音の差動ピックアップは起こらない。
このほか誘電体層の厚さの許容誤差も、ブロードサイド結合配線に大きな影響を与える。例えば、表面層/裏面層と各信号ラインを5ミル*2)離して配置すると仮定する。この際に、誘電体層の厚さの許容誤差が±1ミルであれば、一方の信号配線は基準面から4ミル、一方の信号配線は6ミル離れる可能性がある。この結果、2つの信号配線の対称性は失われてしまう。エッジ結合配線は、2つの信号配線を同じ配線層に設けるため、基準面との間の誘電体層は同じ厚さになる。このためブロードサイド結合配線に比べると対称性は高い。
これに加えて、2つの配線層の機械的な位置合わせの誤差があれば、ブロードサイド結合配線のインピーダンスに影響を与えることになる。
できたら避けた方がよい
ブロードサイド結合配線がエッジ結合配線よりも優れている点の1つに、配線密度を高められることがある。例えば、大型バックプレーン上のコネクター端子が多数並んだ場所を介して、バス幅が広い信号配線をレイアウトする場合を考える。ブロードサイド結合配線を使えば、1つの信号配線を端子間に通すだけでよい。しかしエッジ結合配線を使って同じ配線密度を実現するには、2つの信号配線を端子間に通す必要がある。さらにブロードサイド結合構造の場合は、2つの信号配線を一緒に引き回すことができるため、手動によるレイアウトが簡単に行える可能性がある。
このようにブロードサイド結合構造は、信号ラインの配置配線に関してメリットがある。しかし一般的には、対称性を確保しづらいため、ブロードサイド結合構造は避けた方がよい。
(ハワード・ジョンソン*3) |
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| 用語解説 / 会社情報 |
*1)
差動信号配線の構成方法の1つ。多層プリント基板の上下2つの層を使って構成する方法である。差動信号配線の構成方法にはもう1つあり、エッジ結合構造と呼ぶ。2本の信号配線を同じ配線層上に横に並べて配置する構成方法である。
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*2) 1ミルは1/1000インチ。0.0254mmである。
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*3)ハワード・ジョンソン(Howard Johnson)氏 同氏は、「High Speed Digital Design: A Handbook of Black Magic」
(Prentice-Hall, 1993)の著者。オックスフォード大学などで、デジタル・エンジニアを対象にしたテクニカル・ワークショップを頻繁に開催している。ご意見は、次の電子メール・アドレスまで。www.sigcon.comまたはhowie@sigcon.com。 |
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