産業用PCIバス・ボードの規格策定団体であるPICMG(PCI
Industrial Computer Manufacturers Group)はコンパクトPCI規格を当初、低コストのハードウエアとソフトウエアを工業用機器向けに提供する仕様だと考えていた。その後に通信ブームが巻き起こったことから、PICMGは通信機器の共通仕様としてコンパクトPCIの追加規格を策定するようになった。
コンパクトPCIバス規格はすでに、最大データ転送速度や許容消費電力、形状仕様などが限界に来ている。そこでPICMGは、今後の基幹通信用機器に利用できる新たな規格仕様「アドバンスドTCA(AdvancedTCA)」を策定中である。コンパクトPCIバスよりも高い性能を実現すべく、AdvancedTCAでは並列バスではなく、スイッチド・ファブリック技術を採用した。
AdvancedTCAは、PICMG規格3.xシリーズの別称である。基本仕様はPICMG 3.0規格で規定した。すなわちバス・システムの機構、ボードの形状、電力分配、電源コネクター、信号コネクター、システム制御などを定義している。ここではバックプレーンは共有バスではないものの、PICMG
3.0では具体的な実現技術の仕様は定義していない。PICMG 3.1以降の規格が技術仕様を定義する。現在はPICMG
3.1/3.2/3.3が予定されている。PICMG 3.1規格はイーサーネット技術、PICMG
3.2規格は
インフィニバンド*技術、PICMG
3.3規格はスターファブリック技術について規定する。
PICMG 3.x規格のボードは8Uサイズ(高さ322.25mm)である。奥行きは280 mm。きょう体へ格納したときのピッチは1.2インチ(30.48mm)である。欧州の通信標準規格による幅600mmのきょう体には16枚のボードを収容できる。一般的な幅19インチ(幅475mm)のラックだと、収容できるボードは12枚になる。
ボードの面積は約140平方インチ(約903cm
2)ある。6UサイズのコンパクトPCIボードでは約54平方インチ(約348cm
2)だった。スイッチICやネットワーク・プロセッサー、汎用プロセッサー、メモリーICなどを実装できる面積が新たに増えたことになる。
現在、高性能マイクロプロセッサーと周辺LSIは合計で100Wもの電力を消費している。コンパクトPCIバス・ボードをきょう体に格納したときのピッチは、従来の規格では0.8インチ(20.3mm)とあまり広くない。強制空冷を使用しても、ボード当たりの消費電力の許容値は50Wにとどまっている。
そこでPICMG 3.xでは、ボード当たりの許容消費電力を200Wに上げることにした。きょう体全体では3kW前後の消費電力になる。この大きさでは、直流5Vあるいは直流3.3Vといった既存の電源電圧だと、600Aあるいは1000Aという現実的ではない電流量を要求するようになってしまう。そこでPICMG
3.xでは、 −48Vの直流電圧を2系統、ボードに供給する。各ボードが搭載したDC-DCコンバーターを介し、ボード上のデバイスに適切な電源電圧を供給する。
PICMG 3.xは、3.0の規格仕様が公表されたばかりである
*1)。すでにベンダー数社は、2003年1月に米カリフォルニア州ロングビーチで開催された「Bus
and Board Conference」にPICMG 3.x準拠のボードやバックプレーン、きょう体などを参考出展した。