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signalintegrity
2003年4月号
表皮効果と誘電体損による影響

 高速ボードの配線パターンが長いと、表皮効果*1)と誘電体損の両方の影響を受ける。どちらも信号の高周波成分を減衰させるのだが、その影響の与え方には若干の違いがある。(図1)は、表皮効果と誘電体効果を少しずつ変えた36通りの組み合わせに対するステップ応答を示したものだ。
 (図1)の最上段は、表皮効果は考慮しないで、誘電体損だけを増加(図1の左から右に向かって増えている)させた場合のステップ応答波形の変化である。誘電体損の大きさは、任意の周波数ω0における減衰量として、ネーパー*で示した。(図1)の左側は、誘電体損は考慮しないで、表皮効果による損失量だけを増加(図1の上から下に向かって増えている)させた場合のステップ応答波形である。(図1)の中央部は、表皮効果による損失と誘電体損の両方を与えた場合の波形である。
 (図1)の横軸は、1目盛り当たり2π/ω0秒である。例えば、表皮効果と誘電体効果による損失を規定する周波数を1GHz(ω0=2π・109ラジアン/秒)とした場合は、横軸の1目盛りを1nsと読めばよい。損失を計算した結果がこの図の外部にはみ出してしまうようであれば、ω0の値を変えて再び損失係数を計算し直して欲しい。ω0をスケーリングすることで、損失の値は常に図中のどこかに位置するはずである。
 縦軸は1目盛り当たり1単位(フルスケール応答)を示す。複数個の波形を水平方向に1単位時間分だけずらして表示しているが、これは波形を見やすくするためだ。これらの波形は周波数ドメインのモデリング手法を使って計算したものである。
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若干の違いがある

 表皮効果と誘電体損のいずれも、立ち上がりと降下のエッジを鈍らせるという形でデジタル信号を劣化させる。一言でいうと同じ効果だが、詳細を調べてみると若干の違いが存在することに気付く。ステップ応答波形をよく見て欲しい。ω0における同程度の損失に対するステップ応答を見ると、表皮効果による波形は誘電体効果による波形に比べて、初期の立ち上がりエッジは急だがその後の増加は緩やかで長く尾を引くようになっている。
 こうした違いは、周波数ドメインで見れば説明できる。すなわち誘電体効果は表皮効果に比べて、高周波領域ではロールオフ特性が急であることを示しているのだ。すなわち、誘電体効果による減衰は周波数の影響を直接受け、表皮効果による減衰は周波数の平方根に比例して変化するという一般的な原理と一致している。
(ハワード・ジョンソン*2)

用語解説 / 会社情報
*1)参考文献
ハワード・ジョンソン、「表皮効果が起こる訳」、EDN Japan、2001年12月号、no.10、p.104
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【ネーパー】
Neper
電圧比の自然対数。1ネーパー=8.69dBである。
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*2)
ハワード・ジョンソン(Howard Johnson)氏。同氏は、「High Speed Digital Design:A Handbook of Black Magic」(Prentice-Hall、1993)の著者。英オックスフォード大学などでデジタル・エンジニアを対象にテクニカル・ワークショップを頻繁に開催している。ご意見は、次の電子メール・アドレスまで。www.sigcon.comまたはhowiej@sigcon.com
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