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designideas
2003年4月号
I2Cバスの振幅を変換する回路

ピーター・ルー 米オプトロン・エックス社
Peter Liu Optron X, Inc.
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 このアイデアでは、I2Cバスを5〜0Vの振幅(正ドメイン)から0〜−5Vの振幅(負ドメイン)に変換する方法を紹介する。
 複数の電源電圧を有するシステムでは、振幅が0〜5Vのデジタル論理信号を負電源で動作するアナログ信号に変換することがある。実現手段としては、正ドメインでD-A変換を実行してから、電圧変換する方法がある。しかし、この方法では誤差が生じる。さらに部品点数も多くなってしまう。この方法よりもデジタル信号の電圧変換を行ってから、負ドメインでD-A変換を実行した方がよい。ただしこの場合は、負の基準電圧源を用意する必要がある。
 I2Cバスは2線式の双方向バスだ。1線はクロック線で、もう1線はデータ線である。プルアップ抵抗とオープン・コレクターによって、負論理の信号を出力できるようになる。

 (図1)にはI2Cバスを使った典型的な回路構成を示す。マイコンがマスターで、ほかの周辺素子がスレーブである。それぞれの素子は個別にI2Cアドレスを有する。マスターが常にクロック信号を生成する。マスターとスレーブの両方がデータ線を使ってデータを送信できる構成となっている。
 電圧変換の動作を(図2)に示した簡単な回路を使って説明する。この回路はクロック信号を正から負の電圧に変換する。IC Q1はpnpトランジスタとnpnトランジスタ、4個の抵抗を内蔵し、パッケージはSOT-363である。抵抗R1は、正ドメインに必要なプルアップ機能を提供する。負ドメインでは抵抗R2がこの機能を担う。

 (図2)の回路動作は簡単だ。入力電圧VINをVDDに設定すると、Q1はオフ状態になる。従って出力電圧VOUT=0Vである(論理は高レベル)。VINを0Vに設定すると、Q1はオン状態に変わるのでVOUT=VEEになる(論理は低レベル)。この回路は、正から負の方向にだけ電圧を変換する。このためマスターはスレーブがクロック信号を低レベルに保持していることを確認できない。従って、I2Cバスのクロック線における拡張機能(待ち状態)を利用したい場合は、双方向(正から負と負から正の方向)に電圧変換できる回路が必要になる。
 データ線にも双方向に電圧変換できる回路が必要である。マスターがデータを送信するとき、マスターは負ドメインにあるスレーブがデータの9ビット目を低レベルにプルダウンしたかどうかを確認する。この動作を送信データの1バイトごとに実行する必要がある。スレーブがマスターの指示を受けて、データを送信する場合も同様である。スレーブがデータ送信モードのとき、スレーブはマスターがデータの9ビット目を低レベルにプルダウンしたかどうかを送信データの1バイトごとに確認しなければならない。
 こうした動作も5個のICと5個の抵抗だけで実現できる(図3)(図3)の回路は、(図2)の回路と回路トポロジーが同じである。アナログ・スイッチIC1とアナログ・スイッチIC2をオン状態にすると共に、(図3)に示した回路の下半分を無視して考えればよい。

 SDA_POSピンをVDDに設定すると、IC Q1はオフ状態になる。従って抵抗R3と抵抗R4が出力を0Vにプルアップする。このためSDA_NEG=0Vとなる(論理は高レベル)。SDA_POSピンを0Vに設定すると、Q1はオン状態に変わるのでSDA_NEG≒VEEに変化する(論理は低レベル)。
 ここでスレーブからマスターへのデータ送信経路を説明する。SDA_NEGピンを0Vに設定すると(論理は高レベル)、IC Q2はオフ状態になると共に、抵抗R1はSDA_POSピンをVDDまでプルアップする。SDA_NEGピンをVEEに設定すると(論理は低レベル)、Q2はオン状態になる。この結果、抵抗R1と抵抗R2、抵抗R5によって出力電圧が決定する。ここではSDA_POS≒0Vである。R1とR2、R5のそれぞれの抵抗値は、VDD=5VとVEE=−5.2Vの2条件で決まる。帰還経路にトランジスタを追加すれば、論理を表す電圧値をR1とR2、R5の抵抗値から独立して設定することも可能だ。
 マスター/スレーブがSDA_POSピン/ SDA_NEGピンをプルダウン(論理は低レベル)するとき、アナログ・スイッチIC1とアナログ・スイッチIC2、ショットキー・バリアー・ダイオードD1A、ショットキー・バリアー・ダイオードD1Bは正帰還の経路を遮断する役割を果たす。これらの素子がないと、Q1やQ2はラッチ動作をしてしまう。
 (図3)の回路は、クロック周波数が50kHzであるI2Cバスのタイミングに関する仕様を満たす。クロック周波数を100kHzに高めたいのであれば、内部抵抗が10kΩの「MUN5311」をQ1とQ2に用いればよい。「MUN5312」の内部抵抗は22kΩだ。クロック線にも(図3)の回路を採用すれば、すべてのI2Cバス・モードの動作が実現できるようになる。
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