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2003年4月号
電気2重層コンデンサーが
電源回路設計を支援


「スーパーキャパシター」、「ウルトラキャパシター」、「電気化学キャパシター」などさまざまな名前で呼ばれる電気2重層コンデンサー。いまこの素子が応用範囲を広げている。特に大電流パルスを供給する必要がある用途での採用が活発だ。例えば携帯電話機。2次電池と組み合わせて使うことで、電池駆動時間を大幅に延ばせる。さらに自動車の駆動システムや発電システムなどの大電力用途でも採用が進んでいる。

グラハム・プロフェット
Graham Prophe
 電気2重層コンデンサーの機能は、通常のコンデンサーと2次電池の中間に位置付けられる。主に電源、あるいは補助電源として採用され、エネルギーを貯蔵する役目を果たす。電気2重層コンデンサーの電気的な特性は、2次電池とは根本的に異なる。ただし都合が良いことに、2次電池や電源の欠点を補える特性を有している。このため電源回路設計に非常に有用である。
 電気2重層コンデンサーは、「スーパーキャパシター」とも呼ばれている。この「スーパー」という接頭詞は、静電容量の大きさを表現するものだ。外形寸法が同程度の電解コンデンサーと比較すると、静電容量はほぼ3けた大きい。しかしながらスーパーキャパシターと言えども、単純なコンデンサーである。通常は無極性の2端子部品である。小さいものでは表面実装対応のコイン型品から、大きいものでは角型あるいは円筒型のねじ端子品まで、さまざまな形状の素子を入手できる。

2次電池に組み合わせて使う

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  電気2重層コンデンサーは、すでに多くのアプリケーションで使われ始めている。特に2次電池を補完する素子として活躍中だ。
 2次電池には、多くのエネルギーを蓄えることができる。すなわち「エネルギー密度*」が高い。しかしこのエネルギーを取り出す速度が限られている。言い換えれば「パワー密度*」が低い。これに対して電気2重層コンデンサーは、2次電池とは特性が全く逆である。すなわち蓄えられるエネルギーはかなり少ない(エネルギー密度は低い)が、そのエネルギーを素早く取り出せる(パワー密度が高い)(図1)
 従って、2次電池と電気2重層コンデンサーを単純に並列接続すると、電気2重層コンデンサーは、電池と同じ端子電圧において「フロート状態」になる。内部抵抗は、電気2重層コンデンサーは非常に低く、2次電池は非常に高い。このため負荷が突然大きなピーク電流を要求すると、電気2重層コンデンサーに蓄えた電荷でピーク電流を供給することになる。そして電池は、負荷の要求電流が少ない期間に電気2重層コンデンサーを充電する。
 実際のところ、電気2重層コンデンサーは、ほとんどの用途で主電源の欠点を補うという使い方をされている。よく知られた用途の1つは、プロセッサー・ボード上のメモリー保持用電源である。電気2重層コンデンサーは電源ライン上でフロート状態になるため、メインのシステム電源が断たれたときにSRAMやそのほかの揮発性メモリーのデータを保持する電力を供給できる。こうした用途で問題になるのは、重要なときに電源が機能しなくなることだ。2次電池は寿命の制約がある。しかし電気2重層コンデンサーの寿命は非常に長い。このため、ほかの電子部品と同様に扱うことができる。

携帯電話機から発電システムまで

 GSM*方式の携帯電話機は、2次電池を使ってパルス電流を供給するシステムの代表例である。GSM信号の「バースト性」により、2次電池に要求される電力は数A(アンペア)の短いパルス期間とそれ以外の低電流期間からなる。電気2重層コンデンサーを使えば、2次電池だけですべての電流を供給するのではなく、ピーク電流の供給だけを任すことができる。ただし電気2重層コンデンサーの物理的な寸法が大きい。このため現状では携帯電話機では選択肢になり得ない。しかし実装可能な空間ではなく電力に制約がある用途、例えば遠隔計測では両者を組み合わせることで電力効率を高められる。
 電気2重層コンデンサーに蓄えられる電力が大きくなれば、自動車分野にも応用の対象が広がる。従来、自動車では電気2重層コンデンサーを、エンジンの始動を補助しメインの2次電池の「始動負荷特性」を軽減する用途に使っていた。今後は、自動車の電装機器の近くに設置することで、それらの機器に対する電力供給をサポートできるようになる。例えば、「パワー・ウインドウ」に使う直流モーターは、ピーク時に数10Aもの電流を必要とする(窓が何かに引っ掛かったとき)。もちろん自動車のメイン電源システムにもこのピーク電流を供給する能力がある。しかし直流モーターの近くに電気2重層コンデンサーを配置すれば、パワー・ウインドウ用電源(サブシステム用電源)の定格電力や重量を削減できるようになるだろう。
 電気2重層コンデンサーに蓄えられる電力がさらに大きくなれば、「ハイブリッド」というキーワードが見えてくる。ハイブリッド自動車とは、1つ、あるいは複数の電気モーターと、発電機を駆動するエンジン(内燃機関)を組み合わせて車両を動かすものだ。電気2重層コンデンサーを使ってハイブリッド・システムを構築すれば、始動時と加速時の過渡的な負荷を賄えるようになり、さらに回生制動で得たエネルギーを充電できる。制動エネルギーの再生効率はともかく、ほぼ一定のスピードやパワー出力でエンジンを運転できるメリットは非常に大きい。こうした運転をすれば内燃機関の効率を最も高く保てるからだ。エンジンは、加速時のようなダイナミックな負荷条件下では排出ガスの汚染レベルが最も高くなってしまう。
 自動車と同様に、列車や地下鉄のけん引システムでも、電気2重層コンデンサーの活躍の場はたくさんある。個々の車両におけるエネルギー貯蔵はもちろんのこと、「システム全体」に適用できる可能性もある。
 「ハイブリッド」という単語は、発電システムにも当てはめられる。環境にやさしい将来の発電システムとして、燃料電池や風力発電などの利用が提案されている。しかし、いずれの技術にも弱点がある。燃料電池はピーク時の電力を供給できない。風力発電は発電量が不均一である。電気2重層コンデンサーのエネルギー貯蔵機能を使えば、この弱点を克服できるだろう。
 今後おそらく、電力供給システムや電力利用システムのどこかで、電気2重層コンデンサーの新たな応用事例が登場する。待機時の電力供給や、負荷平準化(パルス性負荷やピーク負荷の吸収)などの用途に使われるようになるだろう。

さまざまな素子を選択できる

 米AVX社*は、「BestCap」と呼ぶ電気2重層コンデンサーの製品ラインアップを用意している。同社は、電気2重層コンデンサーの小電力応用として、GSM端末を挙げる電子部品メーカーの1社である。同社の技術開発プロジェクト・ディレクターのスコット・トリップ氏は、「BestCapをGSM端末に使えば、電池駆動時間を効果的に延ばせる」と主張している。
 GSM信号は、500μs間に2Aというパルス電流を必要とする(繰り返し周期は4ms)。2次電池は、大きなパルス電流を出力すると、瞬間的に端子電圧が低下する。この端子電圧が回路動作に必要な最小レベルの電圧値を下回った時点で、電池の寿命は終わったと判断される。電気2重層コンデンサーを2次電池に組み合わせて使えば、電池にこうしたパルスを意識させずに済む。この結果、電池の最小電圧に達するまで使い切ること、すなわち電池の全エネルギー容量を使い切ることが可能になる(図2)
 電気2重層コンデンサーと2次電池を組み合わせるもう1つのメリットは、実際の2次電池のエネルギー容量をわずかながら増やすことができることである。一般に、パルス放電は電池にとって放電効率が悪いからだ。
 同社は、「BestCapは、プラスに帯電した水素イオンを発生する電解質を採用しているため、等価直列抵抗(ESR*)は数10m〜数100mΩと非常に低い」と主張している(図3)

 電気2重層コンデンサーを使った回路の一般的な設計プロセスは、放電サイクルごとに電気2重層コンデンサーに求められるエネルギーを算出し、同時に回路が正常に動作できる終止電圧を調べることから始まる。その後、dV/dtの指数関数曲線と負荷の状態を調査し、加えて選択した電気2重層コンデンサーの静電容量対パルス幅の関係を示すグラフ(部品メーカーが公表している)を確認する。この作業を行うことで、使用する電気2重層コンデンサーに必要な特性が求まる。
 しかしスコット・トリップ氏によれば、「多くの小電力応用では、こうしたプロセスは手間を掛けるほどの価値はない。最も一般的な静電容量の素子を入手し、放電電圧曲線をモニターする方がずっと素早くプロセスが完了する」という。ただし一般的な応用では、放電電圧曲線を確認する必要もないだろう。これよりも、パルス性負荷を供給し始めたときにESRによって生じる電圧降下の方が重要だからだ。この電圧降下は、静電容量値とは関連性が乏しい。
 AVX社の製品で最も出荷量が多い静電容量は30mFと60mFである。これらの素子は、70℃という動作温度範囲の上限値があるため、リフローはんだ付けには対応できない。さらに−20℃以下になるとESRが上昇するという制約がある。パッケージは、実装面積が28mm×17mm、もしくは48mm×30mmで、厚さが2.9mm〜6.1mmの密閉型金属ケースを採用している。
 米クーパー・バスマン社*の電気2重層コンデンサー「PowerStor」は、競合他社製品とは異なる構造を採用している。この素子は、発泡性アエロゲル*状の炭素電極を採用しているため、ESRが非常に低い。さらに同社は、セル電圧を2.5Vに高められたのはこの新しい電極材料を採用したためとしている。
 同社でフィールド・アプリケーション・エンジニアを務めるクリス・ライクリー氏は、「この素子を使えば、PCMCIAコネクターに求められる1Aという電流値に対応できる。それどころか、今まで経験したことがないピーク負荷まで対応可能」という。さらに同氏は「定格電圧における充放電サイクル回数は106だが、104に下げることを許容できるならば定格電圧を4.5Vに高められる」としている。
 PowerStorは、ミニカー「HotWheel(ホットウィール)*」の急速充電用電源に使われている。こうした小電力用から、大電力用まで多くの製品がある。
 日本国内の電子部品メーカーであるエルナー*は、民生機器のデータ保持に向けた表面実装対応のコイン型素子を製品化している。このほか静電容量が4000F(電圧は2.3V、ESRは3mΩ、外形寸法は直径89mm×長さ130 mm)と大きいねじ端子型も製造中である。同社のセールス・マネージャーであるヒロ・イマイ氏は、「これらの素子の寿命は自動車業界の要求に近づきつつある。しかし動作温度範囲に関しては問題が残っている。特に低温側の制約が大きい。現状の動作温度範囲の下限値は−25℃である。それにもかかわらず、4000Fの素子にはかなりの関心が寄せられている。100Aでの充電が可能だからだ」。さらに同氏によると「寿命は温度が上昇すると対数関数的に減少し、20℃では3万2000時間を確保できるが、70℃では1000時間になる」という。

大電力向けが続々登場

 次に大電力用途に向けた電気2重層コンデンサーに注目してみる。その代表例として、独エプコス社*の「UltraCaps」がある。同社は最近、第2世代の製品群を市場に投入した(図4)。コンデンサー単体のほか、高電圧・大電力向けのアレイ品も用意した。アレイ品には、各素子のばらつきを吸収するため、パッシブあるいはアクティブの電圧バランシング機能を設けた。このアレイ品は独シーメンス社に採用され、シーメンス社が開発した駆動システム「ElfaDrive(エルファドライブ)」に組み込まれた。この駆動システムはハイブリッド・バスに向けたもので、すでにドイツのニュルンベルグ市街で活躍している。
 このハイブリッド・バスで電気2重層コンデンサーは、回生制動時のエネルギーを回収し、蓄える役目を果たす。ハイブリッド・バスが停止状態から加速するときに、このエネルギーを駆動系に戻す。エプコス社では、2.3Vで2700Fの素子を325個組み合わせて、650Vで動作する8.3Fのアレイ品としてシーメンス社に提供した。
 アレイを構成する基本素子(セル)は、新しい電極とケースをベースにした第2世代品である。第2世代品の定格電圧は2.5V(ピーク時は2.8V)。動作温度範囲は−30〜70℃である。最も静電容量が大きい素子は5000Fで、重量は850g、パワー密度は7.4kW/kg、重量エネルギー密度は5.1Wh/kg、ESRは250mΩである。この素子は500Aでの充放電が可能だ。パワー密度が最も高い素子は200F品で、16kW/kgに達する。ESRは2mΩで、最大電流は50Aである。エプコス社でプロダクト・マーケティング・マネジャーを務めるトーマス・ディートリッヒ氏によると「今後、駆動システム向け大型アレイ品には、自動車メーカーが要求する動作温度範囲に対応するため冷却が必要になる。これはアレイの内部で大量の熱が発生するからではなく、自動車メーカーが要求する環境仕様を満たしつつ、正常な動作状態を保つためである」という。
 同社は、素子全体を記述したスパイス(Spice)・モデルを用意しており、総合的なシミュレーションを実行できる。さらにこの素子を搭載する機器の設計プロセスを詳細にわたって記述したワークシートも提供している。これらは素子単体だけでなく、アレイ品や、それに付属する電圧バランシング機能も対象にしている。
 アクティブ・バランシング機能では、基準電圧源を利用して、過電圧になりやすい素子(セル)だけを放電させる(p.54-55の「電気2重層コンデンサーの基礎」参照)。このプロセスは、アレイの端子から見ると自己放電率がわずかに増加したように見える。
 米マクスウェル・テクノロジーズ社*の「Boostcaps」は、電圧が2.5Vで、静電容量が4F〜2700Fの素子をそろえている。最近同社は、Boostcapsの応用に関するセミナーを開催し、自動車やバス、ハイブリッド自動車、42Vアーキテクチャーなどの用途と共に、鉄道や路面電車、無停電電源装置、通信装置用バックアップ、発電などへの適用例に関する資料を配付した。同社のウエブ・サイトで、同社の素子を選択する際に使えるワークシートを提供中だ。このワークシートでは、5秒間放電(定格電圧の50%まで)という条件を使って素子の仕様を規定している。
 一般に、電気2重層コンデンサーの製品を比較することは難しい。製品の仕様が同一の条件で規定されていないからだ。場合によっては、同じ条件における値をグラフから補間して求める必要に迫られることがある。
 同社でビジネス・マネジャーを務めるボビー・マーハー氏によると、「電気2重層コンデンサーを高い周波数で動作させると、利用できる容量が減少してしまう。しかし同時にESRが低下する」という。なお大電力応用では100Hzでも高周波の領域に入る。さらにボビー・マーハー氏は続けて、「42V対応の自動車エレクトロニクスに向けた電気2重層コンデンサー市場は減少しているように見えるが、ステアリングやブレーキなどのシステムに電源供給をサポートするハイブリッド・アーキテクチャー分野からは、かなりの関心が寄せられている」と指摘する。こうした分野の中で、大電力を必要とする用途には150〜300F品、ソレノイドやドア・ロックには5〜10F品が必要になる。
 Boostcapsは−40℃ではESRが大きくなるものの、十分に機能する。自己放電に関しては、30日で電圧が当初の50%まで低下すると見積もっている。ボビー・マーハー氏は、「UPS*システムに搭載すれば5秒のグリッチにも対応可能だ。さらに急激に市場規模を伸ばしているのは、風力発電システム向けだ」という。電気2重層コンデンサーを使って、ブレード・フェザリング・モーターを駆動する際の高いピーク負荷時に対応できるようにする。
 NECトーキン*では、出力電流が1Aに達するようなバックアップ用途に特化している。具体的には、SRAMやタイマーをサポートする高インピーダンス用途、アクチュエーターやバルブなどの低インピーダンス用途である。静電容量は10mF〜100Fの広範囲に渡り、最大定格電圧は構造を工夫することで12Vを実現した。
 同社が最近投入した製品には、小型モーターの駆動や太陽光発電システムのエネルギー貯蔵用に向けた「HVシリーズ」がある。定格電圧は2.7Vで、静電容量は10〜100Fである。このほか同社が大容量品と位置付けている「FG1Cシリーズ」もある。定格電圧は15Vで、静電容量は100Fである。1kHzにおけるESRが20mΩと低いことが特徴だ。自動車などに向ける。
 松下電子部品*の「GoldCaps」は、プリント基板に実装できる電気2重層コンデンサーである。定格電圧は2.3Vあるいは5.5Vで、静電容量は0.1〜2Fである。データ保持やバックアップといった用途に使える。
 最近同社は、自動車用を狙った「UP-Cap」を追加投入した。これらの素子は円筒型品で、定格電圧は2.3Vである。静電容量が500〜2500Fの品種を用意している。寿命は、60℃、2.3Vの条件で2000時間であるとしている。同社で自動車向けデバイスのマーケティング・スペシャリストを務めるマティアス・フレイ氏は、「1台の自動車に40〜50個の素子(セル)からなるアレイを搭載すると想定すると、2005〜2006年には自動車業界が望む75℃動作を技術的には実現できるだろう」と予測している。現在、同社は特別のカスタム・プロジェクトとして、自動車分野への応用を開拓するために、電気2重層コンデンサー・アレイ・モジュールを製造している。
 韓国の電子部品メーカーであるネス・キャパシター社*も、自動車向けに注力している。コイン型の小型品から、さらに大きい素子も用意している。同社の「EDLCシリーズ」は、静電容量が3〜5000Fと広範囲で、定格電圧が2.7Vと高い素子も入手可能である。
 このほか複数の素子(セル)からなるモジュールも生産している。アクティブ、もしくはパッシブの電圧バランシング機能を搭載する。実際に電気自動車(ハイブリッドではない)の開発において、メインのエネルギー貯蔵場所である電池をサポートするために、このモジュールが使われたという。
 このほか同社は「EnergyCache」と呼ぶ製品も製造している。この素子の構造は、電気2重層コンデンサーとは違う。感応酸化/電荷還元を使うエネルギー蓄積メカニズムを実現する電解質を採用している。概念的には、競合他社の電気2重層コンデンサーと一般的な電池との中間に位置していると言えるだろう。同社によると、パワー密度は電気2重層コンデンサーよりも高い。2.3Vで動作する50F品と120F品、2500F品が現在入手できる。

構造が異なる素子の製品化も進む

 このほか、内部構造や製造技術を工夫することで、従来のコンデンサーと電気2重層コンデンサーの中間的な特性を得られる素子の開発・製造に取り組む電子部品メーカーもある。
 例えば、米エバンス・キャパシター社*の「Hybrid」は、タンタル電解コンデンサーの湿式陽極(アノード)と、電気化学的な電気2重層コンデンサーの陰極(カソード)を備える。有極性のコンデンサーである。体積エネルギー密度は最大2J/cm3、重量エネルギー密度は最大0.5J/gと高い。同社は、「HybridはESRが低く、漏えい電流が小さく、周波数応答性に優れる」と主張している。さらに多くの電気2重層コンデンサーとは異なり、125Vと高い電圧でも動作する。静電容量値は0.22F(6.3Vのとき)である。航空宇宙用の電子機器に向ける。
 このほか同社は、静電容量が5.5Vのときに1.5F、11Vのときに0.75Fに達する「Capattery」と呼ぶ電気2重層コンデンサーも製品化している。動作温度範囲は−55〜85℃と広い。

電気2重層コンデンサーの基礎

 電気2重層コンデンサーの基本原理は、ほかのコンデンサーと何ら変わりはない。高校生や大学生のときに学んだ関係も同じだ。すなわちコンデンサーの静電容量は平行な極板の面積に正比例し、極板間の距離に反比例する。電気2重層コンデンサーでは、極板の有効面積を最大にし、極板間の実効距離を分子レベルまで低減することで大容量化を実現している。市販されているほとんどの製品は、電極材に炭素を採用している。微細な粒状、あるいは粉末状にすると表面積が非常に大きくなるという炭素のよく知られた特性を利用するためである。

 電気的な接点には、2つの炭素電極(布もしくは粉末)を使う。この電極の間にセパレーター材を置き、さらに高濃度のイオンが簡単に移動できるように電解質で満たす。こうした構成した「サンドイッチ」の両端に電位を与えると、反対の極性を有する炭素電極に向かってイオンが移動する(図A-1)。電極と電解質の間の相境界はコンデンサーの誘電体層に相当し、その厚さは数nmと薄い。この相境界を挟んで、互いに極性が異なる過剰電荷が2つの層を構成している。この層を電気2重層と呼ぶ。これがコンデンサーを構成する。なおこれと同じ構造の層が、セパレーターの反対側にも逆極性で構成される。この2つの電気2重層は、導電性電解質を介して直列に接続した2つのコンデンサーとして機能する。
 電気2重層コンデンサーは、直流における等価直列抵抗(ESR)が大きい。このパラメーターは非常に重要だ。このため各電子部品メーカーはESRを減らそうと努力している。こうしたメーカーは、1kHzにおけるESRを公表する場合が多い。この周波数でESRが最も小さくなるからだ。しかし、この周波数では使用できる静電容量が非常に小さくなってしまう。このためデータ・シートを注意深く読み取り、その素子を動作させるポイントでの静電容量とESRを導き出さなければならない。電気2重層コンデンサーを使った回路を設計する際には、環境条件や回路条件で主要なパラメーターが変化するという、電気的なコンデンサーでは起こり得ない現象に注意することが重要である。

素子バランスに注意

 多くの電気2重層コンデンサーはその構造から、動作電圧は約2.3Vに制限される。回路設計上、もっと高い電圧で動作させたい場合は、ほかのコンデンサーと同様に素子(セル)を直列に接続する。しかし、これにより実効的な静電容量は減少する。従って、より高い電圧で同じ静電容量を確保するには、より大きな静電容量の素子を使ってアレイを組むか、直列と並列を組み合わせたアレイを組む必要がある。高い定格電圧を実現するために、複数の素子を組み合わせたアレイを1つのハウジング(ケース)に収めて供給するメーカーもある。
 しかし、電気2重層コンデンサーの中には、定格電圧が3Vや4Vの製品がある。これには単純なトレード・オフがあり、高電圧化と引き換えに寿命が短くなっている。寿命の短縮が、あまり問題にならないがん具のような用途に向く。
 電気2重層コンデンサーを直列に接続するときに、個々の素子間にばらつきがあると、各素子の電圧が不均一になる(当然ながら、それぞれの電荷量は同じだ)。従って、アレイ中のどれかが定格電圧を超えてしまう危険性がある。多くの場合、メーカーのデータ・シートには、定格電圧を超えた場合に生じる破滅的な故障のメカニズムについて記載されていない。破滅的な故障をより正確に表現すると、寿命が短くなることである。
 この問題を解決するには、パッシブ、あるいはアクティブの技術を使った電圧バランシング機能を利用すればよい。パッシブ・バランシングは、電気2重層コンデンサーに対して並列に接続する抵抗ネットワークを使う。この抵抗ネットワークは抵抗分圧器として働き、各素子の電圧を適切な値に設定する。アクティブ・バランシングは半導体素子のスイッチング動作を使って、個々の素子の端子電圧をあらかじめ設定した範囲内に制御する(図A-2)

ポリマー材利用の研究も始まる

 電気2重層コンデンサーの研究とは全く別の流れとして、電荷蓄積媒体として導電性ポリマーを使う素子の研究も進んでいる。この素子の研究者によると、「イオンを表面ではなく、大量のポリマーに蓄積することで、さらに容量が大きいコンデンサーが実現できる」と見ている。
 半導体材料の内部に不純物を添加(ドーピング)できるように、ポリマーも有機分子内にイオンを取り込めるサイトがある。導電のメカニズムは、半導体の電子と正孔が動くことによって導電性を示すこととほぼ同じだ。
 現在、研究者はさまざまなメカニズムや材料について調査を進めている。その中には、既存の電気2重層コンデンサー技術とポリマー材料をミックスさせたものも含まれている。具体的には、カーボン・ナノチューブにポリマー・ポリピロールを混ぜた材料である。この技術が直面している課題の1つに、商業用として十分な寿命を達成することが挙げられる。ただし、今までに報告された電気2重層コンデンサーの最大静電容量は、ポリマー材料を活用した素子である。

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用語解説 / 会社情報
【エネルギー密度】
energy density
体積当たりのエネルギー密度と重量当たりのエネルギー密度がある。2次電池では前者をWh/l(リットル)、後者をWh/kgの単位で表現する。
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【パワー密度】
power density
単位時間内で放出できる電力を、体積当たり、もしくは重量当たりで表現したパラメーター。単位は、体積当たりのパワー密度がW/l(リットル)、重量当たりがW/kg。

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【GSM】
Global System for Mobile Communication
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【米AVX社】
AVX Corp.
米国の電子部品メーカー。1990年に京セラの子会社になった。ホームページは、http://www.avxcorp.com/。 国内連絡先は京セラ、電話075-604-3424。
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【ESR】
equivalent series resistance
等価直列抵抗
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【米クーパー・バスマン社】
Cooper Bussmann, Inc.
電気2重層コンデンサーのほか、過電圧/過電流保護素子を製造販売する米国の電子部品メーカー。電気2重層コンデンサーは、同社の1部門である米Cooper Electronic Technologies社が担当している。ホームページはhttp://www.cooperet.com/
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【アエロゲル】
aerogel
無数の細かい孔が開いたゲル状の材料のこと。
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【HotWheel】
ホットウィールと発音する。米国のがん具メーカーであるマテル社(Mattel, Inc.)が販売しているミニカーである。国内では京商が輸入販売を行っている。ホームページはhttp://www.mattel-kyosho.com/
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【エルナー】
コンデンサーやプリント基板の製造販売を行う国内の電子部品メーカー。ホームページはhttp://www.elna.co.jp/
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【独エプコス社】
EPCOS AG
ドイツの電子部品メーカー。独シーメンス社と松下電器産業の電子部品合弁会社「シーメンス・マツシタ・コンポーネンツ」が1999年に名称を変更してエプコス社になった。ホームページはhttp://www.epcos.com/。国内連絡先はエプコス、電話03-5449-6750。
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【米マクスウェル・テクノロジーズ社】
Maxwell Technologies, Inc.
電子部品、電源、テスト装置などを扱う米国メーカー。ホームページはhttp://www.maxwell.com/
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【UPS】
uninterruptable power supply
無停電電源装置
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【NECトーキン】
2002年4月1日にトーキンとNECの電子部品事業部門が合併し、NECトーキンという社名になった。ホームページはhttp://www.nec-tokin.com/
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【松下電子部品】
ホームページはhttp://panasonic.co.jp/ped/
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【韓国ネス・キャパシター社】
Ness Capacitor Co., Ltd.
韓国のコンデンサー・メーカー。ホームページはhttp://www.nesscap.com/
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【米エバンス・キャパシター社】
Evans Capacitor Co.
米国のコンデンサー・メーカー。ホームページはhttp://www.evanscap.com/
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