RF/マイクロ波スペアナの1dB利得圧縮点を測る
ヨープ・クラーセン*
米アジレント・テクノロジー社
Joop Klaassen Agilent Technologies Inc.
利得圧縮はミキサーとアンプに関する現象として知られている。単音(シングル・トーン)、単側波帯(SSB:single side band)、FM側波帯、およびAM側波帯という4つの場合がある。
SSB利得圧縮は、RF/マイクロ波スペクトラム・アナライザーで見られる。表示周波数範囲の外側にある大きな干渉信号が、表示している小さなテスト信号を圧縮する。このテスト信号は極めて小さく、アプリケーションの雑音フロア中あるいはその近辺に存在していることもある。アナライザーの入力減衰値を0dBに設定し、信号を雑音レベルよりも上に持ち上げなければならない。
アナライザーのユーザーは計測機器の挙動を理解する必要がある。どのようなときに圧縮が起こりそうかを推定するためだ。また大きな信号が回路のどの部分に影響するか、ディスプレイの警告表示をどのように解釈するかを知る必要がある。米アジレント・テクノロジー社のスペクトラム・アナライザー「E4440A」は2個の検出器を搭載しており、アナライザーが過負荷状態になって適切な信号を表示できないときに警告を出す(図A-1)。一連の警告を理解するためには、圧縮の測定について理解しなければならない。
1dB SSB利得圧縮点の測定には、テスト信号と干渉信号を用いる。2つの信号源からこの2つの信号を生成し、RF方向性結合器を用いて相互干渉しないように組み合わせる。結合させた信号の形がSSB信号と似ているので、この測定法をSSB法と呼ぶ。テスト信号は−25dBmの搬送波とする。干渉信号のパワー・レベルは−20dBm〜+10dBmまで変えていく。パワー・メーターを用いることによって全領域で両方の信号を校正しなければならない。
信号を分離する
アナライザーの最終IF(中間周波数)フィルターが信号周波数の分離量を決定し、アナライザーが適切な結果を出力できるようにする。周波数があまり接近していると、最終IF段に過負荷の恐れが出てくる。アナライザーのディスプレイに表示される信号がひずんでしまう。
目安としては、2つの信号周波数はRBW(分解能帯域幅)の少なくとも15倍は離すことだ。そうすれば、強い信号が最終IF段の経路に影響しない。10kHzのRBWを用いるときは、150kHz以上離す。多くのアナライザーは、過負荷検出器を備えていないか、あるいは1個だけ内蔵している。この場合はテスト信号を観測し、テスト信号が圧縮曲線に従うように、飽和しないようにしなければならない。
両方の信号源の出力をパワー・メーターで測定するところから圧縮点の測定が始まる。テスト信号の周波数を「F」、干渉信号の周波数を「F-offset」とする。次にパワー・メーターを切り離し、両信号をアナライザーに印加し、アナライザーをテスト信号の周波数に設定する。ここで周波数幅は100kHz、RBWは10kHz、減衰量は0dBとする。テスト信号の入力パワーを−25dBmに保持し、干渉信号を−20dBmから0dBmまで5dBステップで上げていき、次いで10dBmまで1dBステップで上げる。各ステップでテスト信号が元の−25dBmの値になっているか否かを調べ、変化量をデシベル単位で記録する。変化量が−1dBになるまで記録を続ける。その後、別のRF周波数でも同じ測定を実行する。この測定では、RF周波数は50MHz、200MHz、1000MHz、1400MHz、および2500MHzとした。
表Aと図A-2は、周波数1GHzにおけるスペクトラム・アナライザーE4440Aの測定例である。この周波数だと、1dBの差はスペクトラム・アナライザーへの入力レベルが8.28dBmのときに発生した。入力信号のレベル(表Aの左側の列)が干渉信号のレベル(表Aの左側から2列目)よりも低くなっているのは、結合回路網の結合損失のためである。
| 表A スペクトラム・アナライザー「E4440A」における利得圧縮 |
| スペクトラム・アナライザーへの入力(dBm) |
干渉信号(dBm) |
テスト信号(dBm) |
圧縮(dB) |
圧縮点 |
| -20 |
-18.04 |
-25 |
0 |
|
| -10 |
-7.92 |
-25 |
0 |
|
| -5 |
-2.92 |
-25 |
-0.04 |
|
| 0 |
2.08 |
-25 |
-0.11 |
|
| 1 |
3.08 |
-25 |
-0.12 |
|
| 2 |
4.1 |
-25 |
-0.14 |
|
| 3 |
5.1 |
-25 |
-0.16 |
|
| 4 |
6.1 |
-25 |
-0.2 |
|
| 5 |
7.1 |
-25 |
-0.26 |
|
| 6 |
8.1 |
-25 |
-0.36 |
|
| 7 |
9.1 |
-25 |
-0.54 |
初段のIFが過負荷 |
| 8 |
10.1 |
-25 |
-0.87 |
初段のIFが過負荷 |
| 8.28 |
10.38 |
-25 |
-1 |
初段のIFが過負荷 |
| 9 |
11.1 |
-25 |
-1.49 |
初段のIFが過負荷 |
| 10 |
12.1 |
-25 |
-2.79 |
初段のIFが過負荷 |
| 1. 結合回路網の出力に−25
dBmのテスト信号を得るには、結合回路網の入力に−8.64 dBmの信号を印加しなければならない。 |
| 2. テスト信号の周波数=1000MHz |
| 3. 干渉信号の周波数=997MHz |
| 4. 周波数幅=100kHz、RBW=10kHz |
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