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EDN GLOBAL REPORT
Online限定記事
標準か否か

標準化すべきか否か。 残念ながら標準の答えはない。
 
 
Bill Schweber, Executive Editor, EDN
 
 エレクトロニクス産業はその歴史を通じて標準化と取り組んできた。マイクロプロセッサーやパーソナル・コンピューターの初期において、ベンダー主導でのデファクト・スタンダードが中心的役割を果たした。IBMの初期のパーソナル・コンピューターはデファクト・スタンダードの典型的な例だ。IBM PCで採用されたデファクト・スタンダードは周辺機器や互換機市場を生み出した。それらは「レガシー」インターフェースとして現在も継承されている。
 
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 今日の携帯電話機市場には、独占的な地位やデファクト・スタンダードといったものが存在する余地はほとんどない。第3者と高度な相互運用性と互換性を持って通信しなくてはならないという携帯電話機固有の目的のため、設計は複雑になり、開発コストに見合う大量生産・販売を保証する必要がある。このため、多くのメーカーが関わることになる。
 設計チームおよびエンド・ユーザー市場のグローバル化は、製品ファミリーのアーキテクチャーすべてのバリエーションを包括する共通の基礎を必要とする。
 
 もちろん、最初に受け入れられた標準は、よりよい標準が開発されることで、先駆者が打撃を受けることもしばしばあった。例えば、北アメリカのアナログ携帯電話機の標準であるAMPSは、携帯電話機という概念が技術的に実現可能で、消費者の要望に合致していることを証明した。しかし、携帯電話機の標準であったAMPSは、ヨーロッパのGSM標準にすぐ取って代わった。GSMがデジタル方式というわかりやすい利点があったからだ。アメリカはその間に、TDMAのような競合するデジタル標準に目を向けた。
 皮肉にも、アメリカの主なサービス・プロバイダーは、GSMおよびその後継規格を導入するように思われる。彼らは世界的な標準規格によって、コストを下げることと同様に、GSMおよびその後継規格もより廉価で、より高いパフォーマンスを得るための選択になるだろうと信じている。
 
標準規格は万能薬ではない
 
 標準規格がいいかどうかはわからない。無数の事例研究やビジネス・スクールの分析にもかかわらず、明瞭な法則がないことだけははっきりしている。研究は、成功した標準規格(フィリップスのコンパクト・カセット・テープおよびCD)、ニッチ市場の標準(アップルのマッキントッシュ)、市場およびユーザー意識を開拓したが結局は失敗した、先駆的な例(ソニーのベータマックス)を取り上げる。
 これらの研究は、単一ベンダーによって最初に市場に普及したデファクト・スタンダード同様、IEEEとベンダーのコンソーシアムによる標準規格のように、業界が後押しする標準規格でも成功と失敗があることを示している。
 成功か否かを決定する方程式は、多くのエンジニアにとって研究する価値はほとんどない。多くの不確定な内外の要因とパラメーターを含んでいるからだ。運も大きな役割を果たす。
 
 標準に従うべきかどうかはケース・バイ・ケースだ。携帯電話機のようなアプリケーションは、選択の余地がほとんどない。ポータブルのデータ収集システムのようなものであれば、標準規格を厳守するハードウエアやソフトウエアを使用することができるし、独自の設計要素を加えることもできる。
 選択基準として技術とコストの問題を切り離してはいけない。政策と自尊心も考慮の対象になる。例えば、中国は世界規模の標準化を望まない。ある地域での技術的な決定に影響力を持たないからだ。ライセンス料金を回避したいと思うかもしれない。中国は独自の標準規格を望んでいる。それは誰もが採用する標準規格と似ているが違うものであり、基礎的技術の開発や管理といった役割を果たすものである。
 
 実際、多くの設計者はトレード・オフや制約条件に惑わされずに、どの標準を採用するのか。それは、最適のバランス・ポイントを見つけることに関係している。設計者が考慮すべき要因の中には、次のものがある:
 
* 標準規格をコントロールするのは、学術的な組織か、ベンダー・グループか、単独のベンダーか
* 標準規格のステータスは何か。準備の前段階か、準備段階か、リビジョン1.0か、リビジョン2.0か
* その標準規格はどれくらい確定しているか。それがまだ流動的だと、やり直しや改訂であなたは努力を無駄にするのか
* その標準規格は、どこの程度まで自社製品の機能を定義するのか
* その標準規格は国内向けか、地域向けか、国際的か
* その標準規格は自社の目的にのみ当てはまるか、あるいは他の市場およびアプリケーションにまで及ぶのか
* その標準規格はどの互換性および問題を解決するのか、未決着のままにするのか
* その標準規格に従うことで、競合製品とどのように差別化できるのか
* 競合他社は先駆者のマーケティングおよびユーザー教育努力を利用し、初期の製品を改善した第2世代の製品で追い越すのだろうか
* 機能対価格について市場はどれくらい敏感か
* ICベンダーは、市場へより速く出荷することを助けるコンポーネントおよびツールを提示するだろうか
* その標準規格は、サードパーティー製のツールやソフトウエアを利用することを認めているか
* テスト測定ツールのベンダーは、開発開始時期に製品の機能を確認するためのテスト・ツール類を提供するか
* その標準規格はUSBやFireWire(IEEE1394)のように、ほとんどすべてのケース内やボード上で接続可能なインターフェースを定義しているか
 あるいは、その標準規格は性能と安全面を定義し、内部設計に著しいインパクトを与えるか
 
 いくつかの市場およびアプリケーションでは、標準に従わなければならない。一例だが、携帯電話機、アナログ・テレビおよびCDなどだ。自分の製品が特殊で、少量生産でニッチ向けアプリケーション(参考文献1)であれば、より困難な決定を行わなければならない。一方、標準規格およびそれを実装するコンポーネントは、実際に必要ない機能まで取り込むことで、ICサイズが大きくなる(つまりコスト増)かもしれない。他方では、標準規格を満たすコンポーネントは大量生産でコストを低下させるだろう。また開発ツール、テスト製品およびサードパーティーによる支援といった多くのメリットを享受することもできる。
 
 要因をすべて考慮した場合、材料コストが最重要でないことがわかるだろう。直接および間接の支援やツールは、定量化することが困難ではあるが、より強力でインパクトがある。例えば、独自のテスト・ツールおよびフォーマットを作る必要がなければ、そのための時間や努力およびフラストレーションから逃れることができる。自社のアプリケーションで、リンクの両端に異なる製品が接続され、通信が必要なボードやケースに組み込まれている場合、このことは特に重要となる。そのような場合、通信する相手側が動作していると各々仮定するテスト・システムを開発しなければならないからだ。
 
 このような状況が、電子システムの歴史によく出てきた。そのための挑戦や悲嘆や費やした長い時間について多くの本が書かれた。どこにでもあるアナログ・テレビさえ、開発期間中にこのような問題を抱えていた。エンジニアは動作するディスプレイ装置を使わずに、どうして撮像管「オルシコン」と関連回路やシステムをテストできたのだろうか。動作する撮像管を使わずに、どのようにCRTディスプレイと関連回路やシステムをテストできたのだろうか。あなたは恐らく同じような課題に直面したくないだろう。
 
 参考文献1. Yeates、Harry ”The standard debate,” Electronics Weekly, June 30,2004.
 
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