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EDN GLOBAL REPORT
世界的標準化の推進
妥協と対立で複雑化する標準化
 
 
Bill Schweber, Executive Editor, and Maury Wright, Editor in Chief, EDN Worldwide
 
 今見ているテレビが一つのテレビ局だけしか受信できなかったり、携帯電話があなたの住む町でしか使えないとしたらどうだろう。例えば、テレビ局がテレビ信号をどのように放送するかを規定する業界標準がなければ、それぞれのテレビ局が、特定のテレビだけでしか機能しない独自のフォーマットで放送することになる。このため、業界標準を規定することは「相互運用性」という観点からも重要である。
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 しかし、標準規格を制定することは、本来、機能や性能について妥協の多いプロセスと言える。標準規格の策定は、常に企業間、コンソーシアム間、あるいは国家間で争いを伴うものである。このため、設計チームがどこででも世界中の消費者ベースのための製品を開発できるように、世界的な標準規格の策定を進めなければならない。
 これにはどのような問題があるのか。それを理解するために、テレビや携帯電話を例に考えてみる。まず、北米向けのテレビは、ヨーロッパのPAL方式の放送を受信できない。また、携帯電話の標準規格が3つから2つに減ったとしても、世界中どこでも使える携帯電話とはならない。現在、我々は、それぞれの地域における限定された標準規格から、世界的規模の標準規格に移行する重大な時期にさしかかっている。
 実際、標準規格はわれわれの業界では、ありがたいものでもあり、また厄介なものでもある。その善悪は別にして、標準規格は移動体ネットワーク技術からデジタル・ビデオまで、すべての領域のロードマップを規定している。設計者はしばしば、これらの標準規格によって自分たちの創造性が制限されていると感じている。
 さらに、標準規格の規定は、魅力ある技術が開発されたとしても使えなかったり、また、技術者やベンダーが欲求不満を起こすほど時間のかかるものだ。もちろん、いくつかのベンダーは必然的に標準規格の内容などを見越して、その市場において独自のアプローチで成功しようとする。彼らは大成功する場合もあるが、ただ市場を混乱に陥れるだけのこともある。
 標準規格の問題が、いかに複雑かを説明するために、実際のテクノロジーの例と、標準がどのように制定されるかについて考えてみる。標準と標準化団体のリストがEDNのウェブ・サイトにある。アドレスは、(URL:www.edn.com/global)である。
 
標準化は誰の役割なのか
 
 まず、誰が標準規格を制定するのかを考えてみよう。標準規格の策定では、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers:米国電気電子技術者協会)、ITU(International Telecommunications Union:国際電気通信連合)、およびISO(International Standards Organization:国際標準化機構)を含む、いくつかの業界団体が長い歴史を持つ。
 一般に、このような団体組織は、業界の参加者からなるワーキング・グループを形成し、公式化されたプロセスで新しい標準規格を打ち出している。しかし、彼らは幅広い参加者に門戸を開いているため、標準規格の制定にいたるまでには、非常に長い時間がかかる。驚異的な半導体の進歩によって、さまざまな技術革新のペースが加速されるにつれて、この策定時間の遅さは大きな問題となってきている。
 最近では多くの場合、同じ目的の計画を持つ企業が、公式な団体組織の外部で緊密に結びついたグループを形成し、標準規格の策定を早めようとしている。IEEEやそのほかの団体組織は、これらのデファクト・スタンダードを後追いで処理することになる。
 
継続する戦い
 
 最新技術を調べれば、標準規格制定にいたるプロセスの変遷のパターンが見えてくる。次世代DVD技術は、競合するいくつかの業界グループを生み出した。そして今では中国政府は、半ばロイヤリティの支払いを避けるために中国独自の標準を制定している(記事全文は、「立ち往生する高品位DVD」を参照)。
 また、これまで争いが続き、しかもこれからも続きそうな技術の一つの例として、IEEE802.11 WLAN(無線LAN)の標準規格がある。IEEE802.11のワーキング・グループは、標準規格を規定したが、その技術はほんのわずかな時期しか業界に受け入れられなかった。
 この標準規格の最初のバージョンは、赤外線の物理レイヤーと、二つのRF(無線周波数)の物理レイヤーを規定していた。おそらく、ワーキング・グループは一つの物理レイヤーだけを選択することができず、それですべてを含むことになったのだろう。
 数年前は2.4GHz周波数帯でのWLAN(無線LAN)を規定するのは、唯一IEEE802.11b標準だけという、つかの間の安定した時代があった。しかしすぐに、いくつかのメーカーはより高速のデータ転送速度を実現した独自の拡張技術を開発した。それらのグループは、5GHz周波数帯でのWLANに乗り出し、IEEE802.11aとなっている。
 その後2.4GHzを支持するグループはIEEE802.11gに移った。そして、この記事の掲載までには2.4GHz、および5GHz周波数帯における100Mbps以上の高速WLANのための次世代標準802.11nに関する何らかの合意ができるだろう(詳しくは "The greed for speed" at www.edn.comを参照)。しかし、WWiSE(World Wide Spectrum Efficiency) グループとTGn Sync グループという二つのグループ間の戦いは未だに続いている。
 DVDと同様に中国では一時、IEEE 802.11に介入していた。SAC(standardisation Administration of China:中国の国家標準化管理委員会)は、中国国内で販売されるすべての802.11製品にデータセキュリティ・レイヤーを内蔵することを義務付けようとした。その背景には、中国の半導体メーカーが最新のIEEE802.11の市場に確実に参入できるようにしたいという思惑があったのかもしれない。しかし、インテル社をはじめIEEE802.11の市場をリードする各メーカーは、中国の提案したセキュリティの方式が有効ではないと決定し、その後は中国当局の動きを注意深く見守っている。
 監督官庁は、無線LANの分野においても標準規格に影響を及ぼしている。例えば日本では、20MHz幅のチャネルを要求しており、また、ある802.11nの標準規格案では40MHz幅のチャネルになりつつある。このため、業界が802.11nにどの技術を採用したとしても、最低限20MHzモードを持たなければならなくなった。しかし、これらの違いはあるものの無線LANに関しては、少なくとも世界的には一本化の道を進みつつあるように思える。
 携帯電話の第3世代のサービスについては、世界中のほとんどが、GSM (Global System for Mobile Communications)の後継であるWCDMA(Wideband CDMA)か、クアルコム社の次世代標準CDMA 2000のいずれかと連合するだろう。
 我々は世界中の当社の編集部に、第3世代への移行についての詳細な調査を依頼した。第3世代の採用におけるリーダーである韓国の将来展望については、24ページをご覧いただきたい。携帯電話機の巨大消費国であるインドからのレポートは、ウェブ・サイト(URL:www.edn.com/global)をご覧いただきたい。
 最後に、中国は、世界の他のどの地域より、もっとも成長の可能性を秘めた携帯電話機の主要マーケットである。中国のベンダーは、携帯電話の最新市場でさまざまに活動しいたいと思っており、中国政府もまた、その支援に前向きである。中国独自の第3世代標準を開発しようとする試みに関する中国からのレポートは「移動体通信第3世代の第3の標準規格」に掲載している。

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