雑誌無償購読申込み 最新号 バックナンバー 広告資料請求 EDN Japanについて お問合せ
雑誌無償購読申し込み
メールニュースレター登録
登録内容変更
アナログ IC/ディスクリート
電源/電池/コントローラー
PLD / メモリー
組み込みシステム
コンピュータ&ボード
EDA/IP/CAE/ソフトウェア
電子部品
計測器
ディスプレイ
デジタル家電
通信・ネットワーク
カーエレクトロニクス/産業機器
EDN Japan 記事検索
検索方法の詳細

EDN GLOBAL REPORT
エンジニアリングの適応性
グローバル時代の製品設計
 
 
Maury Wright, Editor in Chief, EDN Worldwide
 
 何もかもが変わっていき、そして何もかもが変わることなくそのままである。現代においては、明らかに相反するこの二つの流れを理解することなしに、またこの二つの流れに従わずして、デザイン工学のプロとして評価を得ることは難しい。相変わらず製品の開発期間は重要な要素である。ただし、製品仕様をどうするのか、その製品をどう開発するのかという段階になると、設計チームは全く新たな舞台に立つこととなる。
 つまり、製品によっては品質を優先する場合とそうでない場合がある。環境を考慮して鉛を一切使わない技術を導入したり、国や地域によって違ってくる規格を考慮することがある。さらに、デジタル、アナログを問わず専門家であれば、少なくとも三方向連携というものに柔軟に対処しなければならない。それこそ、チップ供給者あるいはチップ設計者、基本設計の所有者(おそらくはモジュール供給者、各種のソフトウエア供給者、システム設計者)、そしてサービスプロバイダとの連携である。とにもかくにも、道具箱の中から持てる技術をかき集め、各種国際規格を乗り越えた世界規模の民生製品を設計することが任務であるといえる。
 しかし、この世界規模で民生製品が成長しているおかげで、実際は設計チームの活躍の場が増えているのである。ネットワークに接続できるデジタルメディア機器は、常時用にせよ一時用にせよ、世界中で増え続けているが、そのため、ネットワークの伝送容量を増やせという需要がまた大きくなる、といった具合だ。
 設計者が、どこにいるかは関係ない。世界中いたるところで設計ができるようになっていることに疑問の余地はない(関連記事「市場があれば職もある」を参照)。北米では、海外への仕事の流出を懸念する声もあるが、長期的観点から言えば、グローバライゼーションとは、その時々でもっとも費用対効果の高いやり方で生産するという、これまでもそうだったトレンドの一形態と考えられる。結局は、「グローバル」という言葉は「チャンス」と同義なのである。つまりは世界中に民生機器が拡大していることを示しているのである。

設計の移転

 仕事がどこかの国に移ってしまうといった問題以上に特筆すべき事態が、設計分野で起こっていることに注目したい。つまり、システム設計者ではない者が、システム設計の問題を次々に引き受けることがますます多くなっている。この傾向は、大量生産される民生機器向けICの開発に特に顕著であり、そこでは、ASSP(特定用途向け標準品)のメーカーが基準設計一式(必要なソフトウエア・スタックを含む)を提供している。ただし、ASIC(特定用途向けIC)およびFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレー)のベンダーでさえ、特定の用途ごとに蓄積した技術を提供することが増えている。
 例えば、サブシステムレベルの基準設計をアナログチップのベンダーが提供しているため、アナログ技術者は部品をいちいち規定せずに基準設計を購入できる。さらに進んで、部品のベンダーはモジュールに組み込む製品を売り、モジュールをシステムに組み入れることが増えているのである。
Advertisement
 また、デジタルおよびアナログ両方の視点から、複雑なシステム設計の状況について、ちょっとした事例を見てみよう。なお、このトレンドは、チップ、部品、モジュールあるいはシステムのいずれであるにせよそのすべての設計者に大いなる影響を(それぞれ違いはあるにしろ)与えるものだということに注意して欲しい。
 最初はアナログの事例である。DVD市場におけるNational Semiconductor社の動向について検討してみよう。National Semiconductor社は、アナログ部品に必要なアレーを提供する一方で、オーディオ再生(D級アンプ)、携帯通信、DVDプレーヤーといった市場に対応した特定用途向け部品および部品セットも保有している。ところが、DVDドライブのメーカーは、こうした部品を直接購入しない。その代わりに、別の企業(例えば三洋電機)から、OPU(光ピックアップ・ユニット)を買っている。
 部品設計者と最終製品との間に介在するものが多いほど、この状態はもっと入り組んだものになる。DVDの場合、さらに、地理的条件というものが加わることになる。つまり、部品ベンダーの所在地は北米で、OPUベンダーは日本に、そしてシステム設計者は中国かどこか、といった具合に。
 デジタルの場合、この流れは違った形で現れる。なにより大事なデジタルチップが、市販のDSPかマイクロプロセッサーか、それともASICか、ASSPか、あるいはFPGAなのかによって左右されることが多いからだ。ひどいときには、ASSPが複数という場合もある。
 もう一度DVD市場に話を戻そう。例えば、LSI Logic社は、各種DVDプレーヤー用のASSPを提供しているが、そのASSPはWind River社のVxWorksベースのソフトウエア・スタック一式を搭載しているため、このASSPを買うとき、顧客は必要とするVxWorksのライセンスをLSI Logic社経由で手に入れることになる。
 ASSPにまつわるこうした事例はいくらでも見つけることができる。www.edn.comに行き、「Helping hands-free: Platform advances kit development」を探してみればいい。Texas Instruments社のおかげで、誰もがすぐに、ブルートゥースを搭載した携帯電話用のハンズフリー車載キットの商売を始められるのが分かる。
 ASICおよびFPGAベンダーは、最終アプリケーションを取りそろえるほどの世話はできないが、依頼すれば、制限はあるが、特定製品の設計の手助けをしてくれる。
 システム設計者にしてみても、設計の機軸としてどのテクノロジーを採用するのかということが、ますます難しい問題になっている。PCの時代にあっては、汎用プロセッサーが主役であった。初期のデジタル式携帯電話を支えたDSPもどちらかといえば総合的なタイプだった。こうした汎用プロセッサーやDSPは、小容量〜中容量の用途であれば、今でも使うことができる。しかし、大容量の場合、目の前の用途にピッタリ特化された機能セットが必要になる。FPGAが頻繁に使われるようになったのはこのためである。FPGAは周辺チップを必要とするが、同様に周辺チップを必要とするプロセッサーよりも優れていることが多い。FPGAを使えば、プロセッサーと周辺機器とが完璧に融合した設計を実現できる。それに、単一のチップに作り上げれば、既製のプロセッサーよりも価格が高いとか消費電力が多いといったFPGAの不利な点も解決できる。
 Actel社やAltera社、それに Xilinx社といったFPGAの大手ベンダーは、これまでネットワーク機器などで成功してきたように民生製品の分野でも成果を上げていると、みな一様に主張している。Altera社は、フラットパネル・ディスプレイおよびテレビでの成果を報告している。プログラムの書き込みができるというFPGAの特性のおかげで、コントローラーの個別設計が可能になり、ベンダー各社のパネルをサポートできる。
 Actel社もまた、民生製品分野での勝利を宣言している。例としては、Aviom社のオーディオ製品に採用されているProASICシリーズである。SRAMの代わりにProASICシリーズをフラッシュメモリーに採用してFPGA設定を格納することの利点を、Actel社は主張する。つまり、外部機器から設定データをロードする必要がないので、電源を入れると同時にProASIC機器はすぐに作動することや、フラッシュメモリーへの保存であれば、外部からの侵入に対しても設計の知的財産を保護することができる、といった利点である。ただし、今のところ、Altera社などが提供するSRAMベースのFPGAにも、設定用に別のROMを必要とするという難点はあるにしろ、それなりの利点がある。

ASICは衰退するのか?

 FPGAが世界中で使われているというこの成功により、コスト面を考慮したとしても、FPGAがASICに取って代わるという話を常に聞く。さて、FPGAとASICのベンダーは競合しているのだろうか。「セルベースのASICとFPGAとの連携は今後も変わることはない」とLSI Logic社のテクノロジー・マーケティング担当副社長Ronnie Vasishta氏は言う。個人的にはこの意見に同調したい。というのも、FPGAベンダー各社とも、自社の最上位製品の量販市場への売り込みには成功していないのが実状だからだ。例えば、Altera社の成功例であるCycloneシリーズは、同社の上位シリーズStratixに比較して集積度は低い。ことはいたって単純で、StratixクラスのFPGAは、民生機器向けとしては価格が高すぎるし、消費電力も多すぎるからである。
 実際には、ASICの競争相手はASSPなのである。けれど、どちらがどの分野で優れているかをいうのは難しい。ASICの場合、量が増えればコストが適正化されるが、では、量産品とは一体何なのか。アナリスト企業のD-Side Advisors社の社長Charles DiLisio氏は、成功したと言われる量産品の販売数はたいていの場合30万〜40万ユニットである、と言っている。その程度の量では、1000万ドル以上と言われるASICのコストをカバーできないだろう(p.54の「世界言語、現地資源」の記事を参照)。市場に出回るのは、五つの民生製品のうちわずか一つだけで、市場で成功を収めるのは十のうちたった一つである、とDiLisio氏は指摘する。
 では、ASICはもう終わりなのか。しかし、たいていのアナリストはけっこう明るい見通しを持っている。この楽観的な見通しを支えているのが「プラットフォームASIC」あるいは「構造化ASIC」と呼ばれるもので、ASICとしての集積度や性能は多少下回るものの、これにより先行開発コストは50万ドル以下に低減できるのである。
 では、国や地域によって、ASICやFPGAまたはASSPのどれかが特によく使われるということがあるのだろうか。結論はひとつ。世界中の設計者はどの技術でも使うことはできるが、市場での成功がどの技術を選ぶかを左右する、ということである。例えば、中国はDVDプレーヤー市場において、きわめて大きな存在であるが、それ故にASSPの一大消費国である。また日本では、民生電子機器メーカー各社が自社製品に付加価値を組み込んでいるおかげで、ASICが息を吹き返している。

五つのポイント

 経済にかかわる話はここまでにして、話をテクノロジーにいったん戻すことにする。その上で、設計チームのみんなに是非見ておいてほしい技術を簡単に紹介してこの稿を終えることにする。すべて役立つ技術やツールばかりで、近い将来にはきっと脚光を浴びるようになると思うからである。

 ■比較的低速の短距離ワイヤレス技術が、照明器具から台所用品、産業用制御モジュールに至るまでをつなげる無線通信手段として計り知れないほど貴重なものになるだろう。現在の勝者はセルラーと802.11であるが、例えばZig Beeなどが採用される数は何十億ノードにも達するかもしれない。この他にもWireless USBなどがある。Cypress 社が発表した製品には1〜2年の間この名前が付いていたが、現在ではAtmel社も同じ製品を出荷している。Intel社がこの名称を法的に手に入れようとするというのもありそうなことだ。このチップ界の巨人は、UWB(ultrawideband)技術の特徴を表現するために、同じ名前を使いたいと考えている。Freescale Semiconductorは、もっぱら高速な用途(ビデオなど)をターゲットにしているが、UWBの出荷という面で大成功をおさめている。
 ■POE(power over Ethernet)は、VoIP(voice over Internet Protocol)電話をはじめとして、ラベルリーダーなどの特殊装置にいたるまで、別電源が必要という制約からあらゆるものを解放してくれる。特にLinear Technology社が、このPOE対応のICを出している。詳しくはwww.edn.comで「The self-powered LAN」を参照のこと。
 ■DFM(design-for-manufacturing)技術がEDA各社から出されている。ASIC開発者が100nm以下のプロセス技術を組み込むための唯一の方法と思われる。Synopsys社およびCadenc社は、自社製品ラインへのDFMの取り込みを急いでいる。両社ともASIC開発を軌道に乗せ、経営のてこ入れをはかろうとしている。
 ■モデリング言語およびグラフィック設計ツールが埋め込みシステムのデザインに使えるようになろうとしている。Mentor Graphics社のAccelerated Technology事業部門は、Nucleus BridgePointシリーズで、Unified Modeling Languageをサポートするようになった。それと同名の企業が、先頃開催されたNational Instruments Weekで、一般的によく使われているテスト用ツールを使って、設計者がどれほど短時間で各種システムのプロトタイプを作り上げることができるかを紹介していた。また、どうすればそのプロトタイプをターゲット(FPGA、DSP、マイクロコントローラ)に直接取り込むことができるようになるかのデモもあった。まだ買うことはできないが、その準備は必要だ。
 ■パワーマネジメントや電力を効率的に供給することが、これまでになく大切な課題になりつつある。地球規模でエネルギー危機に直面しているからだ。International Rectifier社の連続モーション制御(モータで駆動する製品の効率を高める)など、そうした技術に注目しておくべきである。Vicor社では、高周波スイッチング製品、Factorized Power製品の供給効率を向上させている。Linear Technology社やOn Semiconductor社も効率重視のIC商品を揃えている。
>>> EDN GLOBAL REPORT 目次
Reed Electronics Group
Electronic BUSINESS Japan | Design News Japan | Semiconductor INTERNATIONAL | DETAIL JAPAN
EDN Japanについて | 広告掲載について | サイトマップ | お問合せ
 Copyright (C) 2000-2007 Reed Business Information Japan K.K. 
個人情報に関する方針 | 著作権・リンクについて | 会社情報