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EDN GLOBAL REPORT
July 2005

医療におけるモーター制御
精度の向上により、ロボット・システムは、研究所や病院のみならず、患者の体内にまで入り込んでいる。
 
 
Robert Cravotta, EDN North America, Technical Editor
 
 ロボット応用製品にモーター制御が組み込まれたことにより、薬品開発研究から放射線医学の分野、さらには手術に至るまで、医学に関する研究および手法が変化しつつある。
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 高い処理能力を備える液体処理システム、検出読み出し装置(detection reader)、インキュベータ(incubator)、試験管・ガラス瓶の配列または回転装置などについて一貫性と信頼性を与え、再現可能な制御を行うことができるため、ロボット工学は新薬の研究における効率向上に大きな影響を与えている。リニアモーターは、平板状のステータを備える平面モーターである。このリニアモーターが生み出す運動は直線的であって、回転ではない。そのため、正確な量の液体を管理する上で好都合となるこのようなシステムでは、サブマイクロリットル単位の液体を正確に振り分ける管理のみならず、同時に数多くの試験管やガラス瓶の管理および配置も正確に行うことができる。また、サーボモーターは、試験管のカルーセルを回転、駆動、位置決めする上で十分に正確性を発揮する。
 患者の体やその身の回りで実施される医療行為を補助するためにロボット工学を適用する場合は、位置決めと動作に一段と正確さが求められる。例えば、MRI(magnetic resonance imaging)検査では、MRIガントリ内における患者の体の位置によって検査結果に違いが出る。位置決めが正確でない場合、最終的な画像にひずみが生じ、データの分析が困難になる可能性がある。動作制御システムには、例えばモーターの電流引き込みの解析や位置測定装置の採用など、さまざまな技術が使用されている。このため、機械と患者の体との接触を感知し、患者の体に傷がつくことを未然に防止している。 
 レーザー眼科手術は、極めて精密な機械の助けを借りずには成し得ない医学的手法の代表例である。この医学的手法は、正確な動作制御並びに潜在的に強度が異なる断続的なレーザーパルスに依存する。レーザー眼科手術を行っている間、レーザーシステムは、患者の絶え間なく動く眼の動きを追跡しなければならない。このとき目の動く回数は、多いときには1秒当たり100回にも上る。この追跡システムは、無意識に起こるサッカード眼球運動をも追跡できなければならない。これは、切削形成を必要とする角膜上において、レーザー光線を適切な位置に確実に照射するためである。 
 ロボット工学を応用した外科手術用の補助装置は、この数年で大きく進歩した。現在では、患者の体に開けられた直径1cmの穴を通じて行われる低侵襲心臓手術(MICS)にさえもロボット工学を応用した外科手術用の補助装置が使用されている。米Intuitive Surgical社が提供しているような腹腔鏡手術支援ロボットでは手術を自動化してしない。むしろ、それらは人間の外科医が持つ「患者の細胞組織を正確に取り扱い、切開し、縫合する能力」を発揮させる機会を増やす。それと同時に、この手術支援ロボットは極めてスペースの限られた環境において動作する。同社の「Endowrist」器具各種を例に見ると、いずれの器具も、人間の手や腕の器用な動きを再現する7段階の動作により、クランプや縫合など特定の外科手術行為を支援している。
米Intuitive Surgical社の腹腔鏡ロボット・システムは、人間の手や腕の器用な動きを再現する。
 標準的な腹腔鏡手術における器具の動きは、一般の人の手に負えるものではない。鏡に映った像を見ながら手術するようなものである。外科医の手や腕の動きと外科器具との間では、ロボット工学に基づく動作コントローラにより、対応する手指・視覚器具の位置が保たれる。これにより、失敗を通して器具の使用法を習得することが少なくなり、外科医にかかる労力が最小限で済む。また、両手の正確な動作が楽に行える。外科医がコントロールを時計回りにひねれば、ロボットの器具もそれと同じ動きをする。その一方、動作コントローラは、外科医の手の震えを取り除く役目も果たしている。 
 圧電アクチュエータは微小変位を制御可能とする。ただし、Intuitive Surgical社プロダクト・オペレーション担当シニアバイスプレジデントGary Guthart氏は、次のように語っている。「直流サーボ・モーターは十分にシンプルで、コスト効率も良く、細胞組織の切除に必要とされるだけの力、つまりメスの先端に数ポンドの力を加えることができる」。 
 今や外科手術にはサブミリメートル単位の位置分解能が要求され、ロボット・システムにより、直流サーボ・モーターの位置分解能の限界も押し上げられている。Intuitive社の動作制御システムには、1200Hzの制御ループが採用されている。このため、器具の動作には、外科医の期待に応えて余りある速さと自然さを実現する上で十分なスピードと正確性がもたらされる。  
  ロボット外科手術支援装置に用いられるもう1つの制御ループにより、外科医は簡単な触覚フィードバックを得ることができる。Intuitive Surgical社のロボット・フィードバック・システムは、患者の体に触れる感覚を外科医にもたらすものであり、これは低摩擦直流サーボ・モーターでもその能力を十分に発揮することができる。動作コントローラは、触覚の違いを作り出して著しく困難な相互作用を外科医に伝達する。このような同じ触覚を共有する仲間感覚に加え、動作制御システムには、ハードウエア・キープアライブ監視機能、ソフトウエア演算チェックサム機能、安全性を確保するためのロジック一貫性チェック機能が備わっている。このシステムでは、エラー・チェックに備えて冗長性を持つセンシング機能を用意する必要性が極めて高い。この機能により、不具合が発生した場合は、システムがフェイルセーフ状態になるとともに、外科医師およびオペレータに通知が伝達される。 このようなモーター制御搭載システムの成功が刺激となって、システム設計者は、埋め込み型のモーター制御を医療の研究および手法に適用するための新たな手段を模索し続けている。
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