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EDN GLOBAL REPORT
July 2005

仮想計測がHILシミュレーションを牽引
既製のコンピューティング性能とデータ収集用ハードウエアを利用して、複雑な現実世界のシステムを正確にシミュレーションすることができる。
 
 
Eckart Brackenhammer, Eberhard Schmidt、独Siemens社
Rahul Kulkarni, 米National Instruments社
 
 今日のコンピュータが備える能力と柔軟性を利用して、仮想計測手法をHIL(hardware-in-loop)シミュレーションに適用する設計者や科学者が次第に増えている。仮想計測手法において重要となる要素の一つは、COTS(commercial off-the-shelf:標準汎用品)技術の利用である。例えば、パソコン用プロセッサ、プラグイン形式のデータ収集用ハードウエア、システム・シミュレーション用応用ソフトウエアなどが、このCOTS技術に含まれている。HILシミュレーションの準備を行う際に、設計者が直面する主な課題は、高速時における多数のI/Oチャネルの同期、現実世界の入出力を擬似的に再現するI/Oの信号状態、リアルタイム性能などである。
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 独Siemens社が開発したタービン・リアルタイム・シミュレータは、自社の全ての自動蒸気タービン・コントローラを出荷前にさまざまな動作条件下で試験を実施するもので、HILシステムの典型的な例である。 
 Siemens社の場合、試験を実施する上で、既にシミュレーションされて、なおかつ制御されたシステムを利用して、タービン・コントローラの自動制御ループを閉じる必要があった。このシミュレータは、適切なプロセス変数をタービン・コントローラから取得かつ演算し、フィードバックを目的に信号を調整する。同社は演算処理を行う上で動的処理モデルを用意している。このモデルは、蒸気発生機およびタービン、経路再配置ステーション、液化装置(コンデンサ)、発電機、送電網で構成されている。
 このモデルを使用することにより、設計者はさまざまな動作モードで試験を実施することができる。例えば、指定回転速度以下でのタービン起動、負荷/圧力制御下におけるタービンの動作状況、アイドリング動作時/負荷の除去時/タービン停止時における回転速度の減少傾向などを試験できる。タービン・シミュレータは、実際の操作に先立って、現場における事前のパラメータ調整や最適化に役に立つ。その結果、タービン・コントローラモデルがシンプルなものとなり、顧客は試験タービンを利用できない場合にこのタービン・シミュレータを動かすことができるようになる。
 このシミュレータでは、さまざまなタイプの蒸気タービン・コントローラ試験を想定して、アナログ入力16個、アナログ出力16個、デジタル入力24個、デジタル出力24個が装備されている。また、2msのループ速度、十分なリアルタイム性能、可搬性、実用面への連動性、モジュラー式のプログラマビリティも持ち合わせている。 
 ハードウエア/ソフトウエア開発向けの多種多様なリアルタイム・システムの評価に際し、Siemens社は、性能、シンプルなプログラマビリティ、視覚表示、ハードウエアのI/Oインターフェース(ドライバ機能)、可搬性などを必要とした。同社はまた、米MathWorks社のMATLABおよびSimulinkツールで記述したタービンモデルの移植も必要とした。 
 設計者は、これらの要求を満たすべくPXI(PCI eXtensions for Instrumentation)搭載システムを使用することに決定した。PXIは急成長中の試験/計測/オートメーション・プラットフォームであり、米National Instruments社、米Chroma社、米LeCroy社、JTAG(Joint Test Action Group)など、多数のベンダーから支持を受けている。これらの企業では、アナログI/O、デジタルI/O、映像、モーション、高精度データ収集など、1000を越す独自のPXI I/Oモジュールを提供している。Siemens社のPXIシステムには、Pentium VプロセッサとPXIモジュールが搭載されており、高電圧デジタルI/O、16ビット・アナログ出力、多機能なデータ収集を可能とする。ソフトウエアには、「LabVIEW Real-Time」や「LabVIEW Simulation Interface Toolkit」が用意されている。 
 HILシステムの主たる目的は、現実世界の擬似的再現をできるだけ忠実に行うことにある。しかし、蒸気タービンの自動コントローラとシミュレータとでは、アナログ信号のレベルに格差が生じる。一例を挙げると、蒸気タービンの自動コントローラによる出力信号は±20mA、入力としては4mA〜20mAの信号が必要とされる。速度を計測する場合、この自動コントローラでは3種類の周波数信号(0〜3.6kHz)が必要とされる。信号処理に関してSiemens社は、加工済みのPXIケーブルを迅速かつ簡単に接続できるように独ATR Industrial Electronics社製の19インチラックを改良した。 
 PXIハードウエア・モジュールのクロックにより、シミュレータのリアルタイム性能が保証される。多機能データ収集モジュールは、RTSI(Real-Time System Integration)バス経由でクロックパルスを絶え間なく供給することにより、ほかのモジュールを同時に始動させる。同一のクロックパルスを用いた演算シミュレーションモデルのループを実行後、このモデルループはプログラムで特定され(例えば、500チック/秒=2ms)、さらにリアルタイム試験でエラーが発見された場合はそのエラーを修正することができる。 
 LabVIEW Real-Timeの制御シミュレーションおよびI/Oループは、タイムクリティカルな優先順位に設定される。その結果、シミュレーションの実行中、ほかのループに中断および妨害されることがなくなる。これにより、リアルタイムかつ確定的なシミュレーションループの動作が保証される。オペレータは多様な動作条件を設定することができ、なおかつ設定された動作条件はユーザ・インターフェースに表示される。このとき、タービンの回転数、タービン始動前の蒸気圧、タービン制御バルブの開放度などの重要なプロセス変数も併せて表示される。さらにこのシステムでは、このような重要なプロセス変数を示すダイヤグラムのほか、時間軸に対するタービン・コントローラの出力変数の図表も制御サーフェイス上に呼び出すことができる。
 モデル構造およびホスト機能の明瞭性を維持すると共に、さまざまなタイプのタービンへの適合を容易にするため、システム技術者は厳格にモジュラー式の構造に取り組んだ。このことは、LabVIEWの最新知識を持たないユーザでも簡単な変更と調整を行えるようにする上で、とりわけ重要である。
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