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| July 2005 |
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白物家電の分野で、新たなパフォーマンスレベルに到達
DSPベースのモーター制御は、家電製品の設計者だけでなく、ユーザーにとっても大きな利便性をもたらす。
Jean-Claude Soroka, 米Texas Instruments社Stefano Frattesi, 伊Indesit社
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消費者からのニーズとますます複雑になっている規制機関からの要請に駆られて、家電メーカーは、よりインテリジェンスで、より高い機能性を備えた製品の提供を余儀なくされている。欧州の大手白物家電メーカー、伊Indesit社は、この市場に存在する問題を認識し、その経験からエレクトロニクス技術を活用してこうした問題の解決に臨んでいる。
Indesit社は、最近、新しい洗濯機「Ariston Super Silent」ファミリを開発した。これらの製品群には、米Texas Instruments社のDSPベースのモーター制御技術が採用され、より静かで、より高いエネルギー効率を実現した。
洗濯機の構成要素として、モーターは最大の電力消費部品であり、また最も大きな騒音を発生する部分でもある。そのため、設計チームは、超静音設計を実現するため、主にモーターを細かく制御することに照準を合わせた。従来のスカラー制御で設計された多くの白物家電のエネルギー効率は、最大理論値である約90%にはほど遠いが、大体40〜50%の範囲に収まっている。
しかし、ベクトル制御を採用した結果、開発者は同等の出力が得られ、トータル・システムコストの削減達成へとつながる、より小型なモーターを使用できる機会が開かれた。ベクトル制御されたアプリケーションは、リアルタイム制御ループとDSPの数値処理能力を必要とするため、アプリケーションには、両タイプのプロセッサの組み合せが必要になる。しかし、これは、設計側が2チップアプローチの費用を吸収する必要があるという意味ではない。
ベクトル制御の一般的な方法は、FOC (field-oriented control)と呼ばれている。FOCを適用する際、モーターの固定子電流を調節して、すべての動作条件下で、ローターと固定子磁束間の位相角をできる限り90°に近づけ、保持する。また、3つの固定子の位相をそれぞれ個別に制御する代わりに、これらの位相を1つの空間ベクトルとして位置づけ、いくつかの数学的変換関数を使って、この空間ベクトル上でFOCを実行する。この種の機能の多くは、かなりの数学的演算を必要とする。代表的なのは、Clarke氏 とPark氏による変換式によるもので、固定子電流をローター領域へ変換する。この技術によって、負荷が急速に変化する状況下でも、モータートルクを最大に維持することができるため、制御システムが固定子に直接印加しなければならない電圧を計算することが可能になった。また、このアプローチは、モーターのパフォーマンスを最大限に維持できるだけでなく、同時にトルクリップルやほかのパラサイト・モーターのロスを取り除くことができるのである。
高性能DSPベースのコントローラは、必要なローターを検出し、ルックアップ・テーブルなしに、速度を計算することができる。さらに、正確な単一サイクルMAC(multiply and accumulate)オペレーションを実行するDSPの性能は、それをFOC のアプリケーションに確実にマッチさせることを可能にする。
Indesit社はDSPの技術によって、新たにシステムコストをかけずに高い処理能力を手に入れた。さらに、DSPの性能を十分引き出すことによって、同社は、開発上必要な特定レベルでの柔軟性を得ることができ、その結果、今日の家電製品に見られる技術面での絶え間なく変化するニーズにも対応可能となった。例えば、同社はカスタマイズされた洗濯プログラムを提供することができ、騒音レベルを低減させ、さらに共通のハードウエア・プラットホームをベースにした複数の製品を導入できることとなった。
デジタル信号コントローラと交流誘導電動機の利便性を利用することには、同社の設計チームにとって、幾つかの問題があった。交流誘導電動機は、設計チームが以前に取り組んでいたユニバーサル・モーターとは全く違った加速力とトルクレベルをもたらしたからだ。この新しい電気機械の特徴を洗濯機のさまざまな洗濯サイクルに応用することは、すなわち新しい制御アルゴリズムを評価し、実行することを意味した。
しかし、モーター制御が最適化されたことで、全体的なエネルギー効率や洗濯効率が改善された。最終的には、払われた努力に見合うだけの価値は十分にあったのだ。その設計の効果として、低消費電力を実現し、さらに、制御アルゴリズムは、洗濯物の動きで磁束レベルを変化させることにより、モーターが最高の効率ポイントで動作することを保証した。
磁束を弱化させるアルゴリズムを使用することによって、交流電動機が、回転脱水のために必要な高速回転を達成することが可能になった。FOCアルゴリズムとIndesit社が新たに開発した新サスペンション・システムの組み合せによって、より小型で、より効率の高いモーターを採用できただけではなく、一部防音性の低い材料の使用も可能となった。こうした要因が積み重なった結果、全体的な騒音レベルは10dBほど低減した。このことは、欧州の消費者の関心を引きつける重要な要素となった。というのも、多くの消費者は電気料金が最も安い夜間に洗濯するからである。さらに、この新しい洗濯機は、洗濯時間の短縮と30%ほど電気代の節約を約束してくれる。
結局、Indesit社の設計者は、モーター制御プラットホームのプログラム化し、将来の洗濯機に新しい機能を搭載させる結果になった。 |
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