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EDN GLOBAL REPORT
July 2005

今後ますます必要になるDSP技術者

 
Maury Wright, EDN Worldwide, Editor at Large
 
 今日、技術系の学校に進学を希望している若者に助言をするとしたら、これから決める専門分野についてどのような助言が必要か。このEDNグローバル・レポート第2号でも述べている通り、近い将来、多様なアプリケーション分野の中核的な存在になるのはデジタル信号処理の専門家であると断言できる。事実、信号処理技術は、特集の中で扱われている4つの産業分野、すなわち民生機器、通信、自動車、制御機器においても、その枠組みを越えて幅広く利用されている。
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 私は、これまで頭文字の表記、「DSP」を使うことを避けてきた。その理由は、「DSP」という表記が、デジタル信号処理(Digital Signal Processing)のエンジニアリング分野について言及するよりも、むしろ信号処理のために設計されたプロセッサのチップについて言及するときに使用されているからだ。しかし、これから私は、エンジニアリング分野を指す用語として、「DSP」という表現を用いることにする。

 1970年代後半に大学院の授業で初めてDSPに遭遇したとき、その応用性を理解できるまで大変苦労した記憶がある。当時は、大型汎用コンピュータ本体(メインフレーム)のバッジ処理を通してその技術を学んでいた。初期のマイクロプロセッサについて、腕利きのユーザーであるという自負を持っていたが、さすがに安価で組み込み可能なDSPを予測することまではできなかった。さらに、A-Dコンバータは信じられないほど高価なものだった。その当時、自分の仕事で、ポテンショメータの設定値をそのままカウントできるパルス列に変え、さらにマイクロプロセッサによって計数化するために、電圧周波数変換器を使用していた。その時代は、低精度のコンバータであっても、私が使用するにはあまりにも高価だった。

  幸いにも、米AT&Tベル研究所、米Texas Instruments社、米Motorola社、それに米Analog Devices社の設計者には、先見の明があった。特にTexas Instruments社は、長年DSPに傾注し改良を進めて多様な種類のDSPチップを作り、科学者たちにわずかな個数を販売していた。これは、同社がモデムビジネスで成功し、大量生産を開始する以前のことであった。今日では数え切れないほどのDSPアプリケーションが実現しているのである。

  しかし、このグローバル・レポートで驚嘆する点は、DSPがこれらすべてのアプリケーション領域にわたり使用されているわけではなく、むしろ、DSPを、それらのアプリケーション用に応用させている。例えば、FPGAはDSPを応用するための卓越した方法であることは明白である。FPGAの場合、チップの中に多くの積和演算ユニットを分散することができ、並列にまた効率良くDSP技術を利用することができる。一方、DSP専用チップの場合、通常通りの逐次処理が行われる。FPGAとDSP専用チップは、ときに競合し、ときに並行して動作する。携帯電話基地局のような、両者が組み込まれたアプリケーションを確認するには、このレポートの「Communication」についての記事を参照して頂きたい。

  特定の専用DSPチップを見つけることは、ますます難しくなってきている。Texas Instruments社は、デジタルカメラや音楽プレーヤとして機能するSoC(systems on chip)にDSPプロセッサを組み込んでいる。一方、Analog Devices社は、DSPとRISCの機能を、携帯電話機をターゲットにする「Blackfin」のようなプロセッサ上で統合させた。それらのチップは同時に、メディアを再生するようなアプリケーションを動作させて、DSPを中心にした携帯電話機のベースバンド処理を実行することができる。

  この特集号の「Industrial Automation AND Control」をご覧になれば、DSPはまた、産業用の制御機器の領域にも進出してきていることが分かるだろう。Texas Instruments社やAnalog Devices社は自社のDSPチップを搭載したモータ制御のアプリケーションに照準を合わせている。しかし、制御分野の設計者にとって、専用プロセッサだけが唯一のオプションであるというわけではない。例えば、米International Rectifier社は、ハードワイヤード・ロジックに実装されたDSPルーチンを持ったモータ制御装置を提供している。そのアプローチは、柔軟性を制限する恐れもあるが、高い性能を提供している。

  DSPを応用するために、多様なオプションがあることは、設計者たちにとって嬉しいニュースである。昨今のハイエンド・マイクロコントローラには、積和演算機能が搭載されているため、単純なDSPアルゴリズムを実行することができる。米National Instruments社のような企業の製品は、視覚的にDSP機能を開発でき、パソコン上でそれらをシミュレートさせ、DSPチップあるいはFPGAにそれらを搭載するようにしている。 従って、意欲的な設計者には、DSPを専門にするように勧めると良いだろう。そして業界として、「DSP」という用語を、チップだけに限定せず、本来の意味に戻ってDSPの専門分野全体について言及するときに使うようにするのはどうだろうか。
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