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| July 2005 |
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消費者の信頼を勝ち得るには
設計者は、ASICやストラクチャードASIC、ASSP、DSP、マイクロプロセッサ技術など、大量生産品やデジタル・メディア製品向けに、どの技術や製品を用いるかの決断を迫られている。
N.S. Manjunath, EDN, Correspondent, Hong Kong
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民生用途向け電子機器業界は、信号処理をアナログからデジタル技術へのシフトしたことにより、かつてない革新を経験している。同時に、民生分野は、デジタル・メディアが多くの有力製品を生み出し、市場の潜在能力を高め、グローバル化を実現することによって、技術による経済の推進力となってきた。今日、民生用電子機器の製品開発で生き残るには、市場で必要とされるIP(知的財産)と、それを展開可能な市場に対する洞察力を持つことが要求される。
これは、設計者にとって、対等な立場で勝負できるようになったということである。また、一部の大手メーカーだけが、民生製品の販売を独占できなくなったということでもある。しかし企業にとっては、次の民生用製品をヒットさせるため、ASICからASSP、さらにDSPへと、数多くの選択肢の中から最良のアイテムを探し当てる必要性が出てきた。
さらに、設計チームは民生用電子機器の設計を成功させるために、最良のシステム技術の手法を取り入れなければならない。これらの製品は、膨大な量の出荷数が見込まれるが、完全なる機能・性能と、確実な信頼性が求められる。設計チームは機能性や性能、製造コストを事前に検討しておく必要がある。
「マイクロプロセッサを選択する場合でも、チップのコストと特徴を思い描く必要がある」と、米Microchip Technology社のプロダクトマーケティング・マネジャーを務めるFanie Duvenhage氏は述べている。「すべての開発サイクルを通して設計をサポートするサプライヤの能力評価に加え、システム・トータルコストやマイクロコントローラのシステムへの適合性を考えておかなければならない」と、同氏は付け加えた。
実際に、設計者が、製品設計の基本となる半導体技術の選択という重要な段階になるときには、システムレベルからの目で見なければならない。プログラマブル・ロジックについて考えてみれば、確かに、FPGAは大きなプロトタイプ用キャンバスであり、低集積度のFPGAとPLDは、大量生産向け製品にますます使われるようになってきている。
プログラマブル化で、柔軟性を得る
FPGAは柔軟性と開発期間が短かいことから、プロトタイプ作業に向いている。この場合、設計チームは、プロトタイプの製品コンセプトをすみやかに検証する必要がある。FPGAあるいはCPLDを用いてハードウエアを作成することは、その開発を市場投入まで順調に進めるのを確実にするためである。その間、プログラマブル・ロジックにより、設計者は短期間で仕様を強化したり、縮小したりすることができるのだ。機能が確認されれば、量産用のASICの設計にとりかかれる。
量産するときに、製品化までの時間が厳しかったり、製品を現地で仕様更新する必要性があったり、あるいはNRE(non-recurring engineering)コストを最小限にする必要性などが発生する場合は、FPGAを用いた設計アプローチを検討すべきである。FPGAもスケーラブルな設計が可能である。例えば、セットトップ・ボックスのメーカーは、1つの設計でローエンドとハイエンドの両方のアプリケーションに対応するFPGAを使用できる。さらに、FPGAを採用すれば、セット・トップ・ボックスの仕様更新を現場ですることも可能である。
いくつかのケースでは、非線形的な製品の性質により、柔軟性の高い設計手法を必要とすることがある。例えば、制御回路にFPGAを使用することによって、フラットパネル・ディスプレイのバリエーションへの対応がうまくいくことが実証されている。フラットパネル・ディスプレイでは、単一のコントローラが異なるメーカーのパネルを動作させることを可能にしている。このようなアプリケーションおいて、FPGAは、映像のスケーリング、色補正、輝度とコントラストなど、ビデオストリームの復元とカラー空間変換に対応している。
FPGAの場合、設計チームは大きく分けて2つの中から選択できる。1つは、「Actel ProASIC3ファミリ」などのフラッシュベースのFPGA。もう1つは、米Xilinx社、米Altera社および米Lattice Semiconductor社から供給される揮発性のSRAMベースのFPGAである。
設計者は、静的な消費電力が小さいという理由で、Actel社の「ProASIC3/E」を携帯型の民生電子機器に利用している。また、これらはフラッシュベースの素子のため、セキュリティも強化されることになる。こうした付加的なメリットは、ProASIC3/EがブートROMを必要としないことによるものであり、このことは、部品材料費の削減につながる。
「民生電子機器の平均製品寿命は縮まっている」と、Altera社のアジア太平洋地域マーケティング・ダイレクターを務めるLouie Leung氏は言う。「例えば、アジアでは、携帯電話は8カ月サイクルで入れ替わっている。このため、携帯電話機器メーカーは、異常な程の生産スピードを要求される。携帯電話機を市場に投入するまでの、メーカーに許されている製造スケジュールは短い。従って設計サイクルも短く、販売寿命も短期である。携帯電話機では数千万台を必要とするため、ASICが適している。ところが、フラットパネル・ディスプレイのような一部の製品では、開発サイクルだけは短期だが、微調整にかなりの時間がかかる。この場合はCPLDが適切である。
Xilinx社のワールドワイド・バイスプレジデントを務めるSandeep Vij氏によれば、本質的に異なるメディアタイプの処理が可能な共通のプラットフォームが要求されることにより、プログラマブル・ロジックが組み込み領域を強力に後押しできるようになった。「広範囲にわたる電子機器の設計にプログラマブル・ロジックが使われている」と、Vij氏は言う。「民生電子機器にはさまざまなボリュームポイントがあるので、FPGAを民生電子機器に使用することには意味がある」とも言う。
Altera社のLeung氏も同じ意見で、「エンターテインメントと通信の国際規格はまだ細分化される」と、同氏は言う。「実際、(規格の)細分化により、製品設計をより柔軟に行う必要性が増している。これを扱えるのはPLDだけである」。
その一方で、プログラマブル素子の能力と性能は着実に改善されている。Altera社は、同社の「Cycloneシリーズ」では、従来品の低コストFPGAよりも、最大で4倍の規模のものを供給し、その処理速度は75%速く、高品位ビデオ処理の要件を上回っていると断言している。
最新のXilinx社の「Spartan-3E」を“民生用FPGA”とみなすことができると、Vij氏は言う。この主張の根拠は、この素子がマイクロコントローラとDSPの機能を標準の製品価格で実装できるということにある。
両社の素子は、PCI 64/66、PCI-X 100、LVDS-FPDリンク、RSDS(reduced swing differential signaling)などの共通なI/O規格とDRAMインターフェースのサポートなど、民生電子機器の持つ使いやすさが特徴である。例えば、「Spartan E」がmin-LVDSとRSDSの規格をサポートしているため、ビデオ設計でディスクリートのドライバーを無くすことが可能となる。
DSP機能は既製品か組み込みか
DSPの機能がASSPやASICの組み込みコアとなってきている一方で、商品としてのDSPは、別の潜在的な民生電子機器の設計に代表される。既製品としてのDSPは、非常に多くの機能を実行できる。米Analog Devices社のDSPシステム・ビジネス開発マネジャーを務めるNoam Levine氏によれば、コスト、パワーおよび大きさの制限のため、1つのプロセッサに、信号処理から制御処理、そして通信を含む多くの最終アプリケーションの全機能を実行させることがよくある、という。
この選択は、通常、アプリケーションのニーズに依存する。「各製品は、それが民生電子機器となると話が変わる」と、米Texas Instruments(TI)社のワールドワイド戦略マーケティング担当バイスプレジデントを務めるDoug Rasor氏は言う。「例えば、ビデオカメラの場合、高品質ビデオには通常より高い性能が要求されるが、コストもさらに高くなることで、最終製品価格も高くなる。一方、フラッシュベースのMP3プレーヤは、非常に低消費電力、低価格である必要がある」。同氏はSoCを、民生用電子機器の最も有力な設計トレンドと考えている。「90年代後半、初期のデジタル・スチルカメラとMP3プレーヤは、市販のDSPと多数の外付け周辺個別部品を用いていた」と、同氏は言う。「現在、これらの製品については対応するSoCが存在し、ほんどの周辺回路がチップ上でDSPに集積されている」。
例えば、デジタルカメラの場合には、TI社は、同社のDSP「TMS320C54x」をベースとしたリファレンス設計を提供している。100MHz DSPは、1MピクセルのCCD映像を1.5秒で処理可能である。言い換えれば、ショット間の遅延は、データの移動を含めて2秒となる。DSPのプログラマブルな性質によって、それぞれ異なった映像処理技術の選択が可能になるとともに、低消費電力化により電池寿命を最大にすることもできる。
SoCの選択はASSPとは異なる。設計チームは、システム仕様に正確に一致しているフルカスタムASICにASSPの仕様を一致させる必要があり、長いリードタイムと高いNREコストを必要とする。一方、ベンダーは、ASIC設計プロセスを合理化する技術を提供しながら、設計目標に正確に適合するアーキテクチャもいぜんとして供給している。
例えば、米Tensilica社では、RTL配置・配線を行わないASICのコンフィギュラブル・プロセッサの設計をしている。同社のビジネス開発マネジャーであるSteve Liebson氏によれば、コンフィギュラブル・プロセッサを理解するために、設計者は、プロセッサの新しい考え方について耳を傾ける必要がある。「マイクロプロセッサが、固定のデータパスと命令セットを装備しているということを改めて教えられた」と、同氏は言う。「現在、異なる命令セットとデータ幅を持つマイクロプロセッサを高度な技術を駆使して製造し、われわれはその障害を取り除いた」。
大部分の設計者はC言語でアルゴリズムを記述するので、Tensilica社はプロセッサのコアをスピードアップすることに集中している、とLiebson氏は言う。例えば、同氏は、韓国の大手電子機器メーカーであるLG Electronics社を引き合いに出す。この会社の技術者は、韓国のT-DMB(地上波デジタル・マルチメディア放送)システムの放送用デジタルTV信号を受信可能な世界最初の携帯電話機にTensilica社の「Xtensa」コンフィギュラブル・プロセッサを使用した。
ただし、ASSPはいぜんとして、ほとんどの民生電子機器の要求に対処する最良の方法であると、米LSI Logic社コンシューマ・プロダクト・ディビジョン・シニアマーケティング・ダイレクターのTim Vehling氏は断言する。半導体ベンダーは、設計の柔軟性を維持しながら、部品材料費を削減するため、いつ、どこで統合するのが理に適っているかを考える必要がある、と同氏は語り、LSI Logic社の「DiMeNsion-3」の例を引き合いに説明を加えた。この例には、DVDレコーダシステム・プロセッサ「DMN-8603」やアナログ・フロントエンドと一体化した光学サーボ/DSP、NTSC/PALビデオデコーダ・ファミリが含まれる。これらの提供品には、民生機器メーカーが異なる地域のさまざまなDVDレコーダの要求に対処できるように、個別のビデオデコーダが含まれる。
「DVDレコーダの場合には、DVDプレーヤにはなかった別の設計上の課題が存在する。これは、エンコーディングと各種フォーマットの問題である。つまり、これらをサポートするために、それぞれ異なるチップを使用するか、または強力な1個のチップで済ませるか、そのいずれかが必要になる」と同氏は言う。
一方、LSIのDiMeNsion-3のUMA(unified memory architecture)は、システム全体に対して1つのDRAMとフラッシュだけしか必要としないミニマリスト・メモリー・アーキテクチャが可能である、と同氏はつけ加えている。
国際競争の激化
簡単に使えるビルディング・ブロックの可用性の広がりとデジタル化傾向により、全世界の設計チームが、次のヒット商品を狙って製品開発で競合している。Tensilica社のLiebson氏は、世界が期待していることは、多くのイノベーションが、日本および韓国以外のアジア各国から発生することである、とそれとなく示唆した。特に、中国が民生電子機器分野の製品設計に大胆な手段を講じていると、同氏は語る。
さらに、発展途上地域では、北米およびほかの地域の競合と同じ実現技術を必ずしも選択するとは限らないことを強調。「中国の企業は独自で携帯電話に取り組んでいる」と、同氏は述べている。「中国は、標準的に使われているARMプロセッサおよびOSのSymbianによる設計上の資源を持っていなかったため、制約を受けないのではないかと思う。その代わり、コンフィギュラブル・プロセッサを使用して、すべてのハードウエア機能を組み込むことができる。独自のマイクロプロセッサを工夫して作り出したので、自分たちのOSも十分に作成する余裕がある」。
それにもかかわらず、ハードウエアの選択に影響を与えるソフトウエアは、いぜんとして重要課題のままである。Vehling氏は、半導体メーカーは、それぞれ新しい機能セットが過去のソフトウエアに対する投資に利用できるように、設計者と密接に協調する必要がある、と主張する。また、半導体メーカーは、将来に備えて、ユーザーが要求する機能をたえず調べ、需要の増加に合わせて、それらの機能をコスト効率よく供給できるようにしなければならない。
民生電子機器設計の新時代が始まった。実現技術の選択という大きな役割を担っているのは、製品設計の柔軟性と最新の変更をシステムに加える能力である。さらに、システム設計の基礎となる半導体の選択は、メモリー技術、製品アーキテクチャ、既存コードの再利用、開発ツールに影響を与えることになる。
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