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EDN GLOBAL REPORT
July 2005

見えないところで活躍する自動車制御センサー
最近の自動車は、エンジン制御から乗員の安全に至る車両のあらゆるところにセンサーが装備されている。センサーの技術発展は、車両のデザイン性、信頼性、さらには機能性の向上に多大な貢献をしている。
 
 
Bill Schweber, EDN North America, Executive Editor
 
 センサーとプロセッサは、まさにSF映画に登場するエイリアンのように、車両全体にその触手を張り巡らしている。これらは車内の見えるところだけに装備されているだけではなく、パワートレインやシャーシを含む自動車のあらゆる個所すべてに組み込まれていて、性能や安全性、基本操作のモニタリングなどの制御を行っている。
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 センサーを自動車に装備する原動力は、何よりも燃費効率の向上、排ガス削減、事故の減少、衝突時の安全性といった要求に大きく支えられている点である。新しいセンサー技術により、既存のセンサーを改良するだけに止まらず、これまで実用的でなかった大量生産型の民生用製品にもセンサー技術の転用を可能にしている。センサーはエンジンから排ガス装置まで広がり、燃料タンクにまでも使用されている。例えば、米Freescale Semiconductor社は、ガソリンタンクの漏れを検出する低圧差動(low-pressure differential)センサーを販売している。

圧力を検出する

 パワートレインは電装系と機械系、そして化学の複合システムで、その性能を向上するには多くのコンポーネントの圧力検出が必要となる。ガソリン・エンジンの場合、ガソリンに触れることが避けられない位置にセンサーを設置して、マニホールドの絶対圧力(MAP)を検出する必要がある。今では、これらの燃料システムはエアフローも測定するようになりつつある。エアフローは可動部分のない頑丈な安定したホットワイヤー技術で検出可能である。対照的に、ディーゼル・エンジンの場合は、気圧絶対圧(BAP)を使用し、センサーをあまりオイルに触れないで済む位置にある制御モジュール内に設置可能である。
 MEMSプロセス技術は、センサーとセンサー・シグナル・チェーンの主要部品である信号処理ICへのアプローチを変えた。Freescale社は、圧力センサーをバルクマイクロマシン素子から表面マイクロマシン・ユニットへと移行させている。これは同社のセンサーおよびアナログ事業部自動車製品マーケティング・マネジャーであるSteve Hendry氏が言及したものである。「潜在的には、容量の変化を用いる技術によって、占有面積は減り、コストが下がり、許容誤差は1〜2%となる」。さらに同氏は、次世代の素子は、センサーに別個のCMOS信号処理ICを組み合わせた2チップ構成の素子となることを付け加えている。この場合、センサーはワイヤーボンディングパッドよりも小さくなる。全体的に見れば、この組み合せは、コストと性能の最良の組み合わせを実現させている。

非接触センサーの利用

 ユビキタス・ホール効果センサーは、車両内の回転位置関係、直線位置関係およびオン/オフ位置関係の検出のために使用されることが多くなった(囲み記事「ホール効果とは何か」参照)。ホール効果素子は本来、耐久性、パッケージへの収納性および耐経時劣化性を備えているので、オン/オフ・センサーや線形位置センサーとして、自動車のパワートレインのさまざまな場所で利用されている。例えば、リニアホール効果素子は、重要なバルブ位置の検出に現在使用されている。
 米Melexis社のエンジン・マネジメント/ホール素子部門の応用・マーケティング担当を務めるVincent Hiligsmann氏によれば、「将来、多くの自動車メーカーは、可能な限り非接触型センサーを採用する」。今後は、ホール効果、光、圧力の技術を基盤にしたセンサーの設計に拍車がかかる。非接触検出にすれば、コンポーネント設計において、検出素子をパッケージに収めて保護することで、信頼性を高め、よごれ、腐食、オイルの付着などの長期間に発生する諸問題の削減が可能となる。同氏は、このセンサーのメリットが劇的であるため、前の世代との互換性を維持しなければならないという自動車ビジネスでの古典手法を無視できるということと、さらには「非接触タイプが利用可能な場合、連続的出力の昔のポテンションメーターとの互換性を考える必要がなくなる」と指摘した。
 米Allegro Microsystems社の戦略マーケティング・マネジャーであるKirsten Doogue氏によれば、一部のユニットに、速度ゼロの状態であっても位置、位相シフト、信号の相関関係を測定できる3個の素子を内蔵したセンサーを使用している。また、実際の動きと振動を識別し、方向を検出するセンサーは、安定した一貫性のある信号を得るためにマグネットとセンサー間の位置合わせが重要である。そのため、マグネットアセンブリと一体化させている。順方向には45μsのパルスを、逆方向には90μsのパルスを発生するデジタルPWM出力が、プロセッサまたはマイクロコントローラに接続されてさらなる処理が行われる。
 製造上の検討事項は、コンポーネントの問題にも及んでいる。プリント基板の設計者が部品の配置を決める電子回路だけのものと異なり、センサーは当然のことながら外界を相手にしなければならない。ほかの部分に変更があった場合、これが問題を引き起こすことになる。Allegro社のDoogue氏は、通常、トランスミッション内の歯車がホール効果センサーの起動に使用され、センサーと歯車の同調が行われることを指摘した。さらに同氏は、「鋳物の部分はプレス部分よりも2分の1ほどの弱い信号を発生する。鋳物からプレスへ部品の変更を行うとき(外見的な形状の変更や、部品などのかみ合い、およびその機能を変更)、センサーの電子回路部分に悪影響をもたらすことがある。
 低価格の無接触センサーは、安全性と制御面で、以前ではできないと思われた領域に到達する好機をもたらした。慣性センサーであるジャイロスコープと加速度センサーの両方は、実際に安定性と転覆防止の制御に用いられている(ウェブ限定記事「ロックするがロールはしない」参照)。


信頼性の確保が必要

 どの市場でもコスト圧力があるが、特に自動車市場はコストと信頼性の複合的な圧力を受けている。つまり、重大故障(Walk home failures)やリコール、迷惑な“エンジン点検”表示などは、評判や売り上げ、収益に悪影響を及ぼすからである。性能が第一のセンサーにとって、こうした増大していく信頼性に対する圧力は、センサーそのものからパッケージング、そしてアルゴリズムに至るまで、すべてのレベルにおいて高い信頼性を考慮した設計が必要となる。もちろん、ほとんどのセンサーの場合、対象となるパラメータを調べるためにセンサー・ユニットを何らかの方法で外部と接触させることになる。しかも、測定すべき対象のオイル、燃料、蒸気、よごれ、カーボンダストなどだけでなく、接点や端子、センサー素子自身に支障をきたすような厳しい自動車の環境に、ユニットをさらすことになるというジレンマがあるのだ。
 電子部品のレベルでは、ICセンサーは特殊なオーバーモールド技法によって特別なパッケージ保護を行い、内部に空洞を保っている。次の段階として、第2階層(Tier2)のサプライヤは、センサーそのものと電子回路とを合わせてパッケージ化し、第1階層のサプライヤが作る総合システムに組み入れるためのモジュールを作る。第1階層(Tier1)のサプライヤは、モジュールを特別な密閉ハウジングに納めるだけでなく、配線や接続部分も絶縁保護コーティングやシリコンゲルなどを利用して保護している。米Visteon社、独Bosch社および米TRWなどの主要な第1階層のサプライヤはそれぞれ、これらのモジュールの設計に独自の手法を用いている。
 複数の冗長センサーを用いることにより、冗長性を高めるシステムレベルでの容易なソリューションがあると思うかもしれないが、かならずしもそうとは限らない。明らかにコストが高くなるだけでなく、センサー増加に伴う故障も増えることになる。弱いリンクをなくすために、信号チェーン内にあるいずれかのセンサーを冗長する必要が生じるなど、古典的なシステム・ジレンマにぶつかる。

 また、2個の冗長センサーの測定値が異なる場合、1つの測定値が完全にレンジ外でない限り、どちらのセンサーが故障しているかが分からない。
 それでもなお、いくつかのセンサーは二重系構造になっている。ベルギーのMelexis社は、1つのパッケージ内に2つの同じダイスを組み込んだホール効果センサーを作成している。ダイスは完全に独立していて、電気的に絶縁され、電源、グラウンドおよび出力の接続は分離されている。シングルパッケージを採用してコスト削減を行うと同時に、システムの信頼性を高めている。
 別の方法は、コンポーネントに、より多くの自己診断機能を組み込むことである。より精度の高いセンサーは、測定値の読み取り、入力対出力、変化率、およびそのほかの要素を検討した上で、不具合個所を自己診断して出力を公称値まで調整し、セーフモードに入る。
 最終的に、ソフトウエアとアルゴリズムの開発者は、センサーからの論理的な、または非論理的な測定値とセンサーの組み合せから最適な評価をしなければならない。Allegro社のDoogue氏は、トランスミッションの場合、入力シャフトの速度と方向に対応したセンサー1つ、出力シャフト用に1つを装備し、「入力/出力ペアは相互に関連しなければならない。そうでなければ問題が起き、リンプ・ホーム(縮退運転)モードに入る」と指摘している。Melexis社のPeter Riendeau氏によれば、「センサー部品のサプライヤは、プロセッサ、ドライバー、電気的保護、バスインターフェースのほかに、シングルチップ内のファームウエアさえも供給するボードレベルのソリューションをICに組み込むことが増えている」と語っている。
ホール効果とは何か

 ホール効果は1879年にE.H. Hall氏よって発見された現象である。それは磁場と誘起電圧に関する現象を定義したもので、従来の誘起効果とは異なっている。電流が磁場内に置かれた導体の中を流れるとき、この磁場から導体内の電子に横方向の力が作用する。その結果、導体の両端間に電位差が発生する。
 この効果の知識と理解は以前よりあったが、強度の高い磁石材料と小さい電圧出力に対応できる信号処理回路が出てくるまで、ホール効果をベースとしたセンサーは実用化されなかった。ホール効果センサーは、その設計と構成に基づいて、オン/オフセンサーまたは線形位置センサー(リニアセンサー)となる。
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