どの市場でもコスト圧力があるが、特に自動車市場はコストと信頼性の複合的な圧力を受けている。つまり、重大故障(Walk home failures)やリコール、迷惑な“エンジン点検”表示などは、評判や売り上げ、収益に悪影響を及ぼすからである。性能が第一のセンサーにとって、こうした増大していく信頼性に対する圧力は、センサーそのものからパッケージング、そしてアルゴリズムに至るまで、すべてのレベルにおいて高い信頼性を考慮した設計が必要となる。もちろん、ほとんどのセンサーの場合、対象となるパラメータを調べるためにセンサー・ユニットを何らかの方法で外部と接触させることになる。しかも、測定すべき対象のオイル、燃料、蒸気、よごれ、カーボンダストなどだけでなく、接点や端子、センサー素子自身に支障をきたすような厳しい自動車の環境に、ユニットをさらすことになるというジレンマがあるのだ。
電子部品のレベルでは、ICセンサーは特殊なオーバーモールド技法によって特別なパッケージ保護を行い、内部に空洞を保っている。次の段階として、第2階層(Tier2)のサプライヤは、センサーそのものと電子回路とを合わせてパッケージ化し、第1階層のサプライヤが作る総合システムに組み入れるためのモジュールを作る。第1階層(Tier1)のサプライヤは、モジュールを特別な密閉ハウジングに納めるだけでなく、配線や接続部分も絶縁保護コーティングやシリコンゲルなどを利用して保護している。米Visteon社、独Bosch社および米TRWなどの主要な第1階層のサプライヤはそれぞれ、これらのモジュールの設計に独自の手法を用いている。
複数の冗長センサーを用いることにより、冗長性を高めるシステムレベルでの容易なソリューションがあると思うかもしれないが、かならずしもそうとは限らない。明らかにコストが高くなるだけでなく、センサー増加に伴う故障も増えることになる。弱いリンクをなくすために、信号チェーン内にあるいずれかのセンサーを冗長する必要が生じるなど、古典的なシステム・ジレンマにぶつかる。