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EDN GLOBAL REPORT
July 2005

車載電子機器にも標準化の波が
―トヨタ、日産、ホンダなどが主導
 
 
渡辺 二之, EDN Japan, RBIJ 編集委員
 
 かつて自動車は、スタータモータやワイパー、各種ランプ類など一部の電気系制御を除き、ほとんど機械部品の集合体であった。しかし、エンジンの燃費改善や排ガス制御などのため、初期に燃料噴射制御の電子化が行われた。その後マイコンの登場により、細やかな制御が可能となって、エンジン制御のみならず、アンチスキッドブレーキ制御やステアリング制御、サスペンション制御などが電子化されている。今や、自動車は電子機器の固まりである、といっても過言ではない。さらに、カーラジオから始まった車内の情報化も、TVの受信やGPSナビゲーションシステムによる自車位置の把握、さらには携帯電話システムによる情報の受信と発信へと進んできた。
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 一方、電子化が進むにつれて搭載するECU(electronic control unit)の数も増えてきている。エンジン制御、ブレーキ制御、ボディー制御、ステアリング制御などである。これらは独立して動作するのではなく、相互に関連して動作する。また、それぞれには制御のためのマイコンが搭載されており動作をつかさどるのはハードウエアではなくソフトウエアとなってきている。 
 一方で、ECU相互間の通信手段も、並列配線による伝達では、配線数が膨大になり車重にも影響がおよぶため、配線数を減らすシリアル信号による情報伝達に移行してきた。いわゆる車内LANである。通信速度や接続ノード数などによって以下のような複数の規格が存在する。
 ■LIN(Local Interconnect Network)は、ドアミラー制御、エアコンやシート制御など主にボディー系の制御に用いる低速LAN規格
 ■CAN(Controller Area Network)は、エアバッグなどの安全系、エンジンやブレーキ制御などのパワートレイン系、ナビゲーションシステムなどの情報系など広く用いられている規格
 ■MOST(Media Oriented System Transport)は、欧州車でカーAVなどに採用が始まった規格
 などである。現在はCANを主ネットワークとして用い、LINをサブネットワークとして使っている場合が多い。さらに今後は高速なLANであるFlexRayがパワートレイン系に搭載されていく動きである。これらのネットワークは標準化されてはいるが、実際には他社製品とはうまく接続できないことが多いという。つまり、真の標準化を確実に行う必要があるわけだ。
 日本の自動車業界は、企業間競争と独自性の維持のため、自社技術を優先することが多かった。そのため系列化した企業からの部品の調達などが行われていたが、電子化の急速な進展により電装装置の調達も範囲を広げざるを得なくなりつつある。ECU間同士での確実な通信が必要になり、その手段としての車内LANの真の標準化が求められている。 
 自動車メーカーの独自性は、前述のようにもはやハードウエアではなくソフトウエアにあると言っても過言ではない。ECUの数が増大することにより、ソフトウエア開発コストも膨大になってきている。そのため、メーカーとしては可能な限りソフトウエアの再利用を進める必要が生じ、独自性にかかわらない部分において、自動車メーカーおよび部品メーカー、あるいはソフトウエアメーカー各社が協調して開発することで、開発コストの削減および技術開発の促進を図る必要が出てきた。そこで、ECUに搭載するソフトウエアのAPIやミドルウエア、車内LAN要素技術などの標準化を行うことで、お互いが所有している知的資産の再利用を行うことを日本の自動車業界は始めだした。
 2004年9月に、JasPar(Japan Automotive Software Platform and Architecture)が発足した。現在会員数は49社である(2005年4月8日時点)。幹事会員はトヨタ自動車、日産自動車、豊通エレクトロニクス、本田技術研究所の4社。APIやミドルウエアの標準化や車内LAN規格の標準化を図ることを目的としている。また、欧州の標準化団体AUTOSARなど、他地域の標準化団体との日本側の窓口にもなる。下部組織に複数のワーキンググループを持ち、そこで実際の技術仕様の検討が行われる。具体的には、車載LAN、FlexRay配索、FlexRay回路、FlexRayコンフォーマンス、標準化、知的財産権の各ワーキンググループが設置された。ワーキンググループが行う事項は、FlexRayを含む車載LANの設計ツールの仕様策定やプロトタイプツールの開発、FlexRay配索規定の仕様やハーネス設計のガイドライン作成、FlexRayコントローラ/トランシーバの推奨回路開発、FlexRay通信ソフトウエア仕様策定などである。また、FlexRayに関する事項の国内のまとめとFlexRay コンソーシアムへの新規格の提案などもあり、FlexRay関連事項が当面の活動となる見込みである。 
 会員資格は、日本国内に本社または支社を置く法人・団体で、自動車ソフトウエア、関連機器の研究・開発などに従事する企業・団体である。
 過去、バラバラに進めてきた自動車の電子化が、いよいよ日本として非競争領域でまとまり始めてきた。ハイブリッドカーや燃料電池車、衝突防止システム、ITSシステムなどますます電子制御が進む中、今後の活動が注目される。
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