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EDN GLOBAL REPORT
July 2005

進化のエンジンはマイコン
マイクロコントローラは、車載エレクトロニクスのさまざまな課題に対して、性能や周辺機能、搭載メモリーなどを強化して進化している。
 
 
David Marsh, EDN Europe, Contributing Technical Editor
 
 全世界の自動車産業は、家電の景気の波を受けることなく、半導体メーカー、半導体装置メーカーの販売先として力強く成長している。市場調査会社である米IC Insights社によれば、2004年の自動車メーカーの車載用半導体の使用量は115億米ドルで、その需要は10%の総合年間成長率で今後も拡大する見込みである。
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 半導体メーカーにとって、車載向け応用機器の多様化は、設計者の長年の課題であったマイクロコントローラ、DSPおよび、この両方の要素を組み合わせたハイブリッド構成の中から、「最良の選択」を考えさせる好機を生み出している。こうした状況は、プログラムコードや開発ツールといった過去の財産を持っていない新しい応用の場合に顕著に当てはまる。同時に、 車載電子機器の設計者は、車載電子制御ユニット(ECU)の急増から、構造的に悪夢になる可能性のある新しいサブシステムの追加を単純に続けるだけではなく、自動車のアーキテクチャ全体を意識する必要が出てきた。 
 自動車市場はコストを非常に重視するという事実にもかかわらず、8ビット、16ビットおよび32ビットのアーキテクチャの選択が明確な問題となっている。アプリケーションに対して計算能力が十分で、かつ周辺機能との組合せが適切であれば、プロセッサの選択は大抵、開発ツールに対する設計者の好みとメーカーが提供するサポートレベルといった類の問題に帰着する。その上、自動車業界は当然のことながら保守的であり、十分説得できる理由がなければ、確立されたサプライチェーンから逸脱することはあり得ない。 
 米Analog Devices社の欧州におけるDSPおよびシステム部門の組み込みメディア・プロセッサ担当マーケティングディレクターであるStefan Steyerl氏は、同僚たちと異口同音に、各メーカーは特定のアプリケーションに絞り込む必要があることを認めている。「当社のBlackfinアーキテクチャについては、Sharc DSPの経験を生かして、エンターテインメント・システム、セーフティ・システムおよびテレマティクス・システムに焦点を合わせている」と語り、同氏が市場で「ディスロケーション(転位)」と呼んでいることをメーカーが認識することが不可欠であるとも付け加えた。「BlackfinはARMとはコード密度が互換であり、車載用温度範囲で最高の600MHzで動作するが、大量のコード資産を持っているユーザーは、新たな問題を解決するなどの、新しいアーキテクチャへ移行するための説得力のある議論を今まさに必要としている」と述べている。
 実際に、Blackfinはエンジン管理などの役割に対処する技術的能力を備えているので、インフォテインメントとテレマティクスのアプリケーションにターゲットを合わせて企業は、純粋に戦略的な決定をしている。エアバッグの展開などのアプリケーションにおいて今DSPと制御機能的な役割を兼ね備えたBlackfinファミリーの処理性能といった点からも、Steyerl氏はかなりの将来性を見込んでいる。現在開発中のシステムには、車の乗員の身長、体重、位置を動的に判断し、衝突時に最も安全に乗員を保護するための圧力センサーとカメラを搭載することになる。 
 内蔵CAN(controller area network)コントローラを含む各種周辺機能が用意されているので、オプションのCCIR-656インターフェース経由でビデオストリームを処理するBlackfinは、現在、映像によるドライバ・アシスタンス・システムのほかに、後部シートでのエンターテインメント・アプリケーションとしての用途が考えられている。各種の高速シリアルポートは、オーディオ・コンバータなどの周辺機器に接続しており、サラウンドやDABなどの音声処理を、プロセッサにソフトウエアで適切に処理させる。
 「自動車システムの設計は生産の2、3年前に準備をするのが普通だが、再プログラミングが可能になることから、第1段階(Tier 1)サプライヤは、設計の後半で新しい機能を追加するなどのより優れた柔軟性が得られる。従って、リスクの削減と製品化までの時間短縮が可能になる」と氏は語っている。
 
抽象的な概念
 
 こうした洞察の根拠には、ますますプラットフォームの共通化が進む製品に付加価値を与えるために、電子機器メーカーと並行して生産を行いたいという自動車メーカーの要求が増大していることが挙げられる。
 独Infineon Technologies社、オートモーティブ・アプリケーション担当シニアプリンシパルのPatrick Leteinturier氏は、さまざまな異なる自動車およびプラットフォームについて、スケーラブルで標準的なアプローチを提供して、車載向け電気・電子機器用インターフェースの標準化を目指しているAutosar(atuomotive open-system architecture)パートナーシップについて言及している。さらに氏は、このイニシアチブの主目的は、ハードウエアとソフトウエアの再利用による持続的なコスト削減にあると述べ、「今日の最大の開発コスト要因はソフトウエアであり、今後、再利用がきわめて重要である」と語った。
 開発者は、もはやビットおよびバイトレベルで仕事を進めることを望んでなく、コード品質を保てるツールの重要性を、強調している(別記事「ソフトウエアの信頼性の見直し」参照)。応用機器の使い方の複雑さが増すとともに、ソフトウエア階層のオーバーヘッドが内蔵メモリーサイズの増大を促進させるため、Infineon社では、2010年までには32Mバイト程度のフラッシュ需要があることを予測している。
 当初より、Autosarはオペレーティングシステム、バス技術、通信レイヤ、ハードウエア抽象化レイヤ、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)、標準ライブラリ関数などの構成要素を統合化して、基本システム機能の標準化を検討している。これらの要素を結び付ける役割が、サービスおよび基盤となるハードウエアへの標準ソフトウエア・インターフェースを管理するソフトウエアレイヤAutosar RTE(runtime environment)である。これらのソフトウエア・インターフェースは、素子固有のソフトウエア・コンポーネントの一部分でもある。
 RTEは、概念的には、ECU間のすべての情報交換のためのコミュニケーション・センターとして機能する仮想関数バスである。RTEは、オペレーティング・システムおよびネットワーク通信などのサービスを提供する基本ソフトウエアレイヤをベースに構築される。このレイヤは、マイクロコントローラ、メモリー、I/Oインターフェースのための標準ドライバを構成する標準ペリフェラル・コントローラ抽象化レイヤ(SPAL)を通して、ハードウエアを抽象化する。SPALは、外部素子用ドライバを内蔵して素子とその周辺機器にアクセスするAPIを提供する素子固有抽象化レイヤを通して、基盤となるECUと交信する。周辺制御プロセッサやタイマー・プロセッサ・ユニットなどのマイクロコントローラ・リソースに直接アクセスする複合ドライバは、電子燃料噴射装置などの時間制御が難しい要素を含むセンサー評価、およびアクチュエータの制御を行う。
 自動車メーカーが抱えている重要な課題の一つとして、分散型マイクロコントローラの数量削減がある。Analog Devices社のSteyerl氏によれば、現在のBMW-5シリーズは、アクセサリーをすべて装備した場合、約95個のECUを搭載し、これらの各ECUには、少なくとも1個のマイクロコントローラを内蔵することになる。そのため、統合化アーキテクチャの適用と優れた半導体製品の採用により、システム全体の簡素化と搭載プロセッサ・ノードの数の大幅な削減が可能となり、コスト削減と信頼性の向上が図れる。

Autosarイニシアチブは、共通のアーキテクチャの範囲内で、車載電気機器および電子機器のインターフェースのリモデリングを目指す。

 
32ビット化への動き
 
 車載向アプリケーションの成長の拡大に合わせて、世界の車載用マイクロコントローラ売り上げの約75%を占める米Freescale Semiconductor社、ルネサス テクノロジ、NECエレクトロニクス、独Infineon社、米Texas Instruments社などの企業は、自分たちのプロセッサ製品ラインの強化を続けている。Freescale社グローバル・オートモーティブ・グループ、ストラテジック・マーケティング・マネジャーStephan Lehmann氏は、従来の8/16/32ビットという区分は単純過ぎると結論付けた上で、「この区分はもはや重要な識別方法ではない」と述べている。
 ただし、多くの場合、アプリケーション・ソフトウエアの複雑性が、設計者に32ビットマシンの使用を余儀なくしている。「ディーゼル・エンジンからの排ガス規制を強化するために、燃料噴射サイクルをシリンダー当たり2〜3回から5〜7回にすでに変更した」とLehmann氏は語った。メモリー管理ユニットのような機能は、パーティション・ソフトウエアがOSEK(車載電子機器向けのオープンシステムとそれに対応したインターフェースと訳されるドイツ自動車業界の取り組み)やAutosarなどのアプローチにかなうために重要であり、これによりソフトウエアレイヤのオーバーヘッドが増加し、計算能力に対する要求が増大する。従って、共通の開発環境の使用は、ユーザーによる価格・性能の選択を可能にして、さらには、共通のコード基盤の維持を可能にする幅広い半導体製品を供給することが望ましいということになる 
 結果的に、Freescale社は4種類の車載向けの32ビット・プラットフォームを提供している。1つは、主としてシャーシおよび、安全性を目的とした「7100 ARM」ベースファミリである。ほかの2つは、ハイエンドのタスクを想定して連続的に処理する「MPC500」および「MPC5500」 PowerPCベースファミリである。4番目のPowerPCベースのMPC5200は、インフォテインメント・ソリューション用として最高700MIPSの性能がある。Freescale社はサードパーティのツールセットをサポートするほかに、米Metrowerks社のCodeWarrior開発プラットフォームでもそのプロセッサを開発できる。ARM7ベースの「MAC7116」は、上位自動車メーカーが独占的に利用可能な最初のピン互換プロセッサファミリである。MAC7116には、1Mバイトのプログラムフラッシュ、32Kバイトのデータフラッシュ、48KバイトのRAMを内蔵した32ビット、50MHzのRISCコアが組み込まれている。またこの素子は、チャンネル・マルチプレクサと16ビット外部バス・インターフェースを持つ拡張DMAコントローラも内蔵し、208ピンBGAパッケージを使用し、通常の数のA-Dコンバータ、タイマー、シリアルポート・ペリフェラルが収納されている。これには、Nexusクラス2のデバッガ・インターフェースのほか、4個のCAN 2.0ポートが含まれている。
 「MPC565」は、56MHzのPowerPCコアに、浮動小数点ユニットと1Mバイトのフラッシュおよび50KバイトのSRAMを保護するメモリー保護ユニットを組み合わせたミッドレンジの32ビットRISCマシンである。この素子は388ボールのBGAパッケージを使用し、周辺機能の特色としては、タイムプロセッサユニット2個、キュー付きA-Dコンバータモジュール2個、CAN 2.0Bコントローラモジュール2個、キュー付きシリアル通信コントローラ1個、タイムドI/Oチャンネル70本などを備えていることだ。 
 Freescale社の最高性能の車載部品は、現在のところ、「MPC5554」で、これは80MHz〜150MHzで動作し、メモリー管理ユニットと32Kバイトキャッシュを内蔵したMPC500ファミリーを発展させたものである。このコアは、固定小数点データまたは浮動小数点データの疑似DSP計算に応じたSIMD(single-instruction, multiple-data)演算が可能で、メモリーを補完するものとして、2Mバイトのエラー訂正符号付きフラッシュと64Kバイトのレベル2のSRAMから構成されている。また、CPUキャッシュをRAMとして設定することもできる。 
 マルチコア・アーキテクチャには、2個のタイマー・プロセッサ・エンジン、64チャンネルDMAコントローラ、286のプライオリティ選択が可能なソースを処理できる割り込みコントローラを内蔵している。周辺機能のサポートは、12ビットA-Dコンバータ、24チャンネルモジュール型I/Oシステム、3つのCAN 2.0Bチャンネルで構成されたシリアルI/Oポートである。最低88チャンネルの汎用タイムドI/Oが利用可能で、素子にはクラス3のNexusデバッガポートが含まれている。 
 Infineon社の最上位仕様のマイクロコントローラ・ファミリは、自社の「TriCoreアーキテクチャ」を使用している。このアーキテクチャは、2000年の40MHzの「TC1775」から150MHzの新しい「TC1796」へと発展させたものである。この2品種の間に、自動車用および産業用制御のさまざまな目的に最適化されたファミリが存在する。これらのすべては、コアプロセッサ、周辺制御プロセッサ、DSPマルチコアを採用している。 
 Infineon社は、ソフトウエア品質技術を支え、応用機器の応答性を改善するコード分離とタスク分割の動向を意識して、16ビットの「C166ファミリ」からの論理的な発展としてこの高度の分割アーキテクチャ(highly partitioned architecture)を選択した。Leteinturier氏によれば、電子安定制御プログラムや電気式パワー・ステアリングなどのアプリケーションには、DSP機能を持つ32ビット・マイクロコントローラが必須であり、「電気式パワー・ステアリングについては、ベクトル制御またはフィールド制御のいずれの方式でも、速度ゼロで正しいトルクを与えることは非常に難しい」と語っている。 
 TC1796は、TriCoreを、新しいトリプルバス構造、単精度浮動小数点ユニット、エラー訂正コード付き最大2Mバイト内蔵型フラッシュを備えたものに拡張している。スーパースカラーコアは1クロック当たり最大3命令、平均1.3命令を実行し、150MHzでは約200MIPSの処理能力を持っていると、Leteinturier氏は言っている。フラッシュからのコードを実行しながら、このパフォーマンスを維持するために、先読みロジックが一度に128ビットまたは256ビットをフェッチし、結果を4段パイプライン内のワード境界に配置されるように再調整する。さらに、周辺制御プロセッサとDMAユニットは、約300MIPSのスループットを維持するために75MHzで動作する。 
 ただし、Leteinturier氏は、この素子の新しい周辺機能は、従来の素子のそれとは別ものであることを強調している。つまり氏が着目した点は、シリアルリンクを通して32仮想出力/μsの更新能力を持つ「マイクロセカンドバス」であり、この性能が分散型のスマートパワー素子の直接制御を可能にすることである。マイクロリンク・インターフェースと呼ぶ別のペアの新しいシリアルバスがプロセッサ間の交信を可能にし、Infineon社が近く発表するFlexRay用ICとプロセッサとの間のリンク形成を可能にする。
 既存の2個の16チャンネルA-Dコンバータを拡張した、新しい4チャンネルの高速A-Dコンバータ(FA-DC)ユニットが最大3.5Mサンプル/秒、10ビット分解能で変換を実行し、内蔵した2段のデシメーション・フィルタによってオーバー・サンプリングに対応する。「設計者は、FA-DCの使用により、単純なRCフィルタをフロントエンドの前に取り付けるだけで、ノックの検出などをすべてのソフトウエアで実現できる」とLeteinturier氏は語っている。
 

 ルネサスのWolfgang Stenzl氏(オートモーティブ・パワートレイン・アプリケーション担当マーケティング・マネジャー)は、「SH7058」をこの分野での自社の最新のハイエンド・コントローラとして注目している。この素子は、ルネサスの前身である日立製作所の「SuperHアーキテクチャ」を基に構築している。「SH-2E」コアを中心に組み立てられた32ビットRISC素子のSH7058は、単精度浮動小数点ユニットとMAC(積和演算)ユニットを内蔵し、80MHzクロックレートで100MIPSを超える性能を実現している。 
 周辺機能として、4チャンネルDMAコントローラ1個、65のI/Oプロセスを処理可能なアドバンスド・タイマー・ユニット1個、デュアル・チャンネルのコンペア/マッチ・タイマー・モジュール1個、32チャンネル・マルチプレクサ内蔵10ビットA-Dコンバータ1個、CAN 2.0Bポート2個を備えている。また、256ピンQFPパッケージには、1Mバイトのフラッシュと48KバイトのRAMも内蔵している。非常に興味深いことに、このチップは80MHzの最大クロックレートで直接、フラッシュからコードの実行が可能である(現状は、エラー訂正機能を備えていない)。 
 エラー訂正機能内蔵に対する顧客の要求があることを認めながら、ルネサスにはまだフラッシュのデータ保持障害に関するクレームはきていない。「当社は300万個を超えるSH7058を納入したが、その初期不良率は2.5ppm未満で、その不良はいずれもフラッシュ・メモリーが不良の原因ではなかった」とStenzl氏は語った。しかし、市場の期待に応えるために、ルネサスの次世代プロセッサは新しいSH-2Aコアにデータを供給する約2Mバイトのエラー訂正付きフラッシュを内蔵する予定である。同社は開発の進展に応じて、2Mバイトを超えるものも提供する見込みである。
 「自動車関係の顧客からは、現在のところ、さらなる性能の向上、より一層統合化したメモリー、そして何よりも欠陥のない品質の3点が例外なく求められている」と氏は語る。「成功の条件は、今後も増大する要求にかなうかどうかにかかっている」。さらに、氏は2009年までには4Mバイト以上の容量のフラッシュが要求され、ソフトウエアの負荷が増大することを予測している。 
 NECエレクトロニクスの最新の32ビットマシンは、自社のV850アーキテクチャを基にしている。V850は1996年発表当時、世界で最初のワンチップ32ビットRISCマイクロコントローラであった。新製品はV850E/RS1と呼ばれ、6つの種類がある。128Kまたは256Kバイトのいずれかのエラー訂正コード付きのフラッシュと、10Kバイトまたは16KバイトのSRAMを内蔵している。クロック速度は24MHz〜40MHzで、改良版のV850E1 ハーバード・アーキテクチャコアは、最大54MIPSを実現している。このコアは、ノンブロッキングロード/ストアを5段パイプラインで具体化し、オンチップメモリから命令の取り出しと並行して、命令を実行できる。また、16ビット×16ビットおよび32ビット×32ビット符号付乗算を、1または2クロックサイクルで実行し、アンダーフローとオーバーフローを検出する。 
 100ピンのLQFPには、69個の汎用I/Oピンのほかに、6チャンネルのDMAユニット、PWM機能を内蔵した3個のマルチチャンネル・タイマー/カウンタ、10ビット16チャンネルA-Dコンバータ、デュアルチャンネルCAN 2.0Bコントローラを含むシリアルポートが格納されている。CANコントローラは32メッセージ・バッファを内蔵し、ISO-11898とISO-16845に準拠している。このチップのリソースは、安全制御と一般的な自動車制御を対象とし、その機能には、エアバッグ用モジュール内のASICなどの外部システムとの堅牢なリンクとなるバッファ内蔵の同期シリアル・インターフェース(CSI)が含まれている。このRCU1(run control unit 1)オンチップ・デバッガ・ハードウエアは、NEC製N-Wireインターフェースを通して、パソコンベースの開発環境に対応している。このデバッガ・システムでは、Nexus規格クラス1と同様の容易さでランタイム制御が可能である。
 
8ビット/16ビットオプション
 
 ソフトウエアが複雑なものになり、多くの設計者が32ビット・プラットフォームを採用せざるを得なくなっている。とはいえ、まだ膨大な8ビットおよび16ビットの活動領域も存在している。例えばTexas Instruments社は最近、低電力アプリケーション用アナログ・デジタル混載IC「MSP430」の車載用バージョン「TMS430」を発表した。この16ビットRISCコアは、16階層のレジスタファイルをサポートする別々のMAB(メモリー・アドレスバス)構造とMDB(メモリー・データバス)構造を使用して、従来のノイマン・アーキテクチャでメモリーと周辺回路を接続している。TI社のMatthias Poppel氏(アドバンスド・エンベッデド・コントロール部門、マーケティング・マネジャー)は、この素子は、アナログ統合能力があるので、特にLINノードなどのアプリケーションに適している、と語っている。このアーキテクチャは、ARM7TDMIコアを使用するTIの16/32ビット「TMS470」と、車載用として供給されて32ビット「C28xx DSP」/マイクロコントローラ・ファミリを補完している。
 Poppel氏は、より高いパフォーマンスへの全体的な移行が32ビット素子の発展を促すということに同意する一方で、これまでは8ビットマシンを使用していた多くの新しいシステムが、現在は16ビットマシンの使用を開始していることに注目している。「車に搭載される非常に多くのマイクロコントローラの数を減らすには、アプリケーションを複数のECUに分散化するのではなく、より多くの機能を1つのパッケージに詰め込み、アプリケーションを一体化することが重要である」と氏は語る。Poppel氏は、TIは2005年後半に、TMS470プラットフォームにMAC(メディアアクセス制御)レイヤを搭載した最初のFlexRay素子の生産を実施することを付け加えた。

厳しい基準

 車載用途の部品は外部温度(例えば、ホイール搭載センサーは、ブレーキ・ディスクからの発熱により250℃ほどの温度に上昇することがある)のほかに、数kHzの帯域にわたる20G以上の物理的な衝撃と振動に対応しなければならない。さらに、自動車部品は、100万個当たりの不良が10未満という初期不良率を実現し、寿命は15〜20年間の範囲の目標を満たす必要がある。
 該当する標準規格には、Automotive Electronics Council(www.aecouncil.com)のICストレス試験と認定手続きを規定したAEC-Q100が含まれている。AEC-Q100 は2003年に更新され、現在は自動車業界の事実上の標準規格となり、ワイヤボンドおよびソルダーボンドのせん断抵抗、耐静電放電特性、耐ラッチアップ特性、温度に関連する寄生リーク、高温での初期故障率の試験が含まれている。内蔵メモリーの場合には、この規格は書き込み消去耐久性(write and erase endurance)、データ保持、稼動寿命試験(operational life test)を規定している。 個別半導体(Q101)と受動部品(Q200)については、補足的な試験手順が用意されている。
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