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EDN GLOBAL REPORT
July 2005

EDN Global Roundtable
世界各地で活動しているEDNのエキスパートが一堂に会し、それぞれの担当地域において最も重要となる技術と動向について話し合いました。

 
司  会:  EDN Worldwide Editor at Large Maury Wright
出席者:  Maury Wright, Editor at Large, EDN Worldwide
Graham Prophet, Editor, EDN Europe
Kirtimaya Varma, Editor in Chief, EDN Asia
Tsuguyuki Watanabe, RBIJ Editor at Large, EDN Japan
John Mu, Executive Editor, EDN China
Pradeep Chakraborty, Correspondent, EDN Asia/India
Mike Pan, EDN Asia/Taiwan
Kwon Yong Wook, EDN Asia/Korea

 
民生・家電編

Wright:
 多くのアナリストの考えでは、家電製品分野は、音声と映像のデジタル化で特に活性化され、ゆくゆくは世界経済において最大の牽引力になるものと見られています。みなさんはどうお考えでしょうか。みなさんの地域においては、家電製品が最も重要な市場であると思われますか。

Watanabe:
 そうだと思います。

Prophet:
 このトピックの冒頭で触れたように、欧州の家電製品は大規模な小売市場となっていますが、欧州内で製造されている製品はごく少数に限られています。設計業務についてはそのかなりの割合が欧州内で実施されているものの、そこからも部分的に東に移行しつつあることを、いくつかの兆候から読み取れます。家電製品は、産業の牽引役というよりも、欧州の経済状態を示すバロメータと考えるべきだと思います。

Pan:
 台湾では、現在もなおパソコン関連製品が主力の輸出アイテムとなっています。例えば、ノートパソコン、マザーボード、LCDモニタなどがそうですね。いずれの製品の場合も、台湾企業が世界市場において最も大きな割合を占めています。ただ、携帯電話ビジネスは、台湾企業にとって未だにハードルが高いものとなっています。というのは、その主力となる企業があまり外部委託を行ってくれないからです。一方で、中国からの注文は減少しています。台湾のMarket Intelligence Center社によれば、2005年第1四半期における台湾の携帯電話成長率は前年比−1.8%、これに対し、世界的な前年比成長率は20.6%となっています。

Chakraborty:
 確かに、インド国内における家電製品部門は無視できない勢力として着実に頭角を現しつつあります。デジタル・ビデオカメラ以外に、プロジェクションテレビ、プラズマテレビ、DVDプレーヤ、MP3プレーヤなどが人気商品と考えられています。一部の携帯電話機にカメラが組み込まれたことも手伝って、携帯電話機の売り上げが伸びています。インドの電子部品産業協会ELCINAによれば、現時点で成長の牽引役となっている部門は、通信装置、携帯電話/インターネット利用関連、コンピュータおよび周辺機器、家電製品などの各部門です。VCD/DVDプレーヤ、テレビ、オーディオ機器などは、家電製品に含まれます。現在成長の真っただ中で、しかも近い将来重要な意味を持ってくると思われるもう1つの部門は、車載エレクトロニクスです。
 電子部品は、インドから輸出されるエレクトロニクス製品のうち最も大きな割合を占めています。また多くの企業が輸出に頼っています。主力となる輸出アイテムは、コンデンサや抵抗器などの受動素子、コイル部品、CD-ROMドライブ、コネクタ、カラーブラウン管、コンピュータ部品/アセンブリなどです。また、コンピュータ部品/アセンブリには、ヘッド・スタック、メモリー・モジュール、RFID製品が含まれます。インドの主な輸出先は、EU、ASEAN諸国、米国となっています。

Varma:
 家電製品部門は、アジア太平洋地域で最も重要な市場の1つです。家電製品部門にはテレビ、DVD、VCR(Video Cassette Recorder)、デジタル・スチルカメラ、ビデオカメラ、テレビゲーム、セットトップ・ボックス、家庭用電気器具、玩具、そのほかの個人向け/家庭用エレクトロニクス・アイテム(モバイル機器を除く)などがあります。携帯電話機は、まだ民生製品として十分に発展していません。携帯電話機を民生部門に含めなければ、家電製品をアジア経済最大の牽引役と見なすことはできません。エレクトロニクス産業の生産高を部門別に見ると、東南アジアにおける民生部門の2003年から2006年にかけての成長予測はCAGR 6.4%、これに対してコンピュータは11.3%、通信は8.3%となっています(香港Fusion Consulting社調べ)。2007年から2010年の期間については、民生部門のCAGR 5.2%に対し、コンピュータは7.7%、通信は6.3%という成長予測になっています。アジア太平洋地域では家電製品よりも、むしろコンピュータが経済の主な牽引役となっています。
 成長を支える柱となっている家電製品はデジタルテレビ、MP3プレーヤ、DVDレコーダ、デジタル・スチルカメラなどです。台湾と中国によるODM(Original Design Manufacture)およびEMS(Electronics Manufacturing Service)の重要性が高まる一方、これまで縦の統合が図られてきた日本のOEM(Original Equipment Manufacture)勢力が衰えたことで、家電製品の成長がODM/EMS部門にまで広がっています。台湾は世界で最も重要なODM国であるとともに、中国、シンガポール、インドと並ぶ注目のEMS国となっています。家電製品部門は、これらの国々における重要な市場となっています。

Wright:
 携帯電話機は、相変わらず、世界中の最終製品の中で最も大きな売り上げを誇っています。これは、みなさんの地域にも当てはまることですか。また、みなさんの地域で携帯電話機は民生製品として扱われていますか。もし、そうでない場合は、何に分類されているのでしょうか。さらに、近々、携帯電話機の需要が低下するとお考えですか。

Watanabe:
 世界的な販売量という観点では、依然として携帯電話機の右に出るものはないと思います。ただ、日本の場合、携帯電話機の需要はすっかり飽和状態となっています。そのため機種変更や上位機種への乗り換えのための買い替え需要が中心です。

Varma:
 そうですね、携帯電話機は今もなおアジア太平洋で一番良く売れている製品です。また通信製品から民生製品への移行は徐々に始まっています。ただ、その移行はまだ完全とはいえません。携帯電話機の需要が低下しているとは思えません。
 アジア太平洋地域は、大規模な通信インフラ開発のターゲットとなっており、その携帯電話普及率は、100%に達する地域もあれば、5%以下の地域もあります。2004年のアジア全体の無線関連収益は1527億3400万米ドル(米iSuppli社調べ)でしたが、2005年には成長率14.4%の1746億7200万米ドルに達するものと思われます。また2003年から2009年にかけては、アジアの無線関連収益がCAGRで8.11%の伸びを見せると予想されます。
 通信部門において、アジア太平洋で最も急速に伸びているは無線技術に関連しているものです。特に、携帯電話事業が伸びています。アジアは携帯電話の「10年続く強いマーケット」として知られています。アジア太平洋市場は、「成熟」した国と「発展途上」の国から成り立っています。台湾、香港、シンガポール、韓国は「成熟」した国という位置付けです。台湾では、携帯電話加入者数が2510万人に達し、普及率も100%(香港APRG社調べ)に到達しています。香港は、人口680万人で、2005年度第1四半期における携帯電話加入者数が810万人を超えています。シンガポールの携帯電話加入者数は390万人で、普及率は91%となっています。韓国の携帯電話人口は3700万人、これに対し人口は4800万人です。
 「発展途上」国の中心となるのは、インド、フィリピン、マレーシア、インドネシアです。インドは11億の人口を抱えていますが、携帯電話加入者数はわずか5300万人にしか過ぎません。フィリピンは、人口8600万人で、携帯電話加入者数は3200万人を超えています。マレーシアの携帯電話普及率は58%、人口2500万人中1460万人が加入しています。インドネシアでは、2億3300万の人口のうち、2900万人が携帯電話に加入しています。
 「成熟」した国には、VAS(Value-Added Services:付加価値サービス)のチャンスが豊富にころがっている一方で、「発展途上」の国には基本サービスのチャンスが存在しています。このため、アジアは世界で最もダイナミックかつ急激な成長を遂げている通信経済圏となっています。「成熟」した国々のうち主要な国では、データ処理を中心とした3G技術のネットワークへの移行と、新しいデータ/ビデオサービスの開発が進行中です。これによる収益の増加を狙っています。
 アジアは、携帯電話機にとって最大の消費国であると同時に、最大の生産国でもあります。推定では、携帯電話機の60〜65%がアジアで製造されています。
 また、アジアは無線関連インフラにとっても最大の市場であり、その投資額は2004年の場合で106億9800万ドル(出典:iSuppli社)、2005年には117億7300万ドルに達する見込みです。この先もアジアは最大の無線関連インフラ市場であり続け、2003年から2009年にかけてはCAGR 5.4%と予想されています。
 さらに、アジアは以前から次世代無線技術の導入面において第一線に立っています。日本が世界に先駆けて3Gへと移行するなかで、韓国が日本のすぐ後ろを追いかけています。韓国の大手通信事業者は揃って、2001年に2.5Gネットワークを立ち上げ、現在は3Gへの移行を進めています。アジアの大半の通信事業者は、現在、既存の2Gネットワークに、GSM規格を採用しています。ただし、2003年からGPRSへのアップグレードに着手した通信事業者も数多く存在します。インド、香港、台湾では、一部の通信事業者が、現在、2.5Gネットワーク技術としてCDMA 2000の導入を進めています。

Prophet:
 携帯電話機は、欧州では間違いなく民生分野製品の1つであり、ファッション・アイテムとして取り引きされています。市場を活性化させたのが予想だにしない(予想不可能な?)要素という点に、携帯電話市場は依然として戸惑いを隠せません。ダウンロードする着メロが携帯電話機の大きな魅力になるなんて、一体誰が予想したでしょう。私が思うに、成熟した西欧市場における携帯電話機の買い替え率は、アップグレード・ビジネスとわずかな成長率を足したあたりで安定することでしょう。ただし、サービス・プロバイダ各社が消費者を3Gの料金体系へと移行させるために「アップグレード・パック」作戦を展開した場合は、買い替え率が再び跳ね上がるかもしれません。

Chakraborty:
 そうですね、インドでも、携帯電話機は相変わらず最も売上高が多い製品となっています。そして、少なくとも今後2、3年はその傾向が続くものと思われます。インドにおける携帯電話機の需要は、驚くほどの速さで伸びており、現在のところ、毎月約200万台ものペースで増加しています。先頃、大手携帯電話機メーカー各社がこぞってインドでの設備立ち上げを発表したことは、彼らがインドの潜在的購買力に過度の期待を寄せていることの現れです。インドのハードウエア産業でさえも、そうした携帯電話機に部品を供給しようと懸命になっています。ゆっくりですが確実に全体的な基盤が構築されることにより、携帯電話機が主力製品に押し上げられ、結果的に、今後数年間にわたり成長が続くでしょう。

Wright:
 携帯電話機における次の先端分野は映像のようです。北米では既に、米Sprint社や米Cingular社などの大手通信事業者が、携帯電話ネットワークを介して映像プログラムを配信しています。ただし、その品質には、毎秒数フレームから10または12フレームまでバラつきがあります。まもなく、新たなネットワークサービスが始まり、高画質ビデオがサポートされるようになります。事実、DVB-H(Digital Video Broadcasting for Handheld)の試験が既に始まっています。みなさんの地域において携帯電話に映像を取り入れそうな企業はどこですか。

Kwon:
 韓国TU Media社ですね。この会社は韓国SKT社の子会社なのですが、最近になって、東芝の技術をベースに衛星DMB(Digital Multimedia Broadcasting)サービスを開始しました。これにより、衛星DMB電話の加入者は、サービス利用料として約15米ドルを支払えば、韓国のどこにいてもテレビ番組や映画を楽しめるようになりました。また、韓国KETIが開発した地上DMBサービスも、2005年の末までにはスタートする予定となっています。一方、米Qualcomm社やフィンランドNokia社も、FLOやDVD-Hなどの技術開発を進めています。最終的にアジア市場で勝利を収める企業がどの企業なのか現時点では予想できません。

Wright:
 パソコン市場の好調ぶりは世界的に変わっておらず、パソコンはますます民生製品として取り扱われるようになっています。みなさんの地域においてパソコンは民生製品としての扱いですか。もしそうでなければ、一体何に分類されているのでしょうか。また、メディア・パソコン、これはテレビ番組の録画やホームネットワークによるビデオ配信を可能とするものですが、このパソコンはみなさんの地域で販売されていますか。各地域の消費者が購入するのは、相変わらず、Intel社とMicrosoft社の技術を搭載したフル機能パソコンなのでしょうか。一方で、ワープロ機能と、電子メール機能、それにインターネット機能が付いただけの、一段と低価格のコンピュータに対する需要はありませんか。

Prophet:
 ビジネスツールとしてのパソコンや、娯楽センターとしてのパソコンは、急激な進化によりほぼ完全に独立した部門となりつつあります。PVR(Personal Video Recorder)機能付きのメディア・パソコンは既に販売されていますが、まだ主力の消費者製品とはいえません。現時点では、パソコンで映像を録画しようとすると、まだ「変人」扱いされてしまいます。高スペックのパソコンが超安値でスーパーマーケットの棚に並ぶようになった現在、本当に基本機能しか持たないマシンに入り込む余地があるとは考えられません。

Watanabe:
 パソコン市場は未だに巨大なマーケットです。日本で毎月生産されるパソコンは約74万台です。しかし、成長率は頭打ちとなっています。日本ではパソコンは民生製品として扱われません。どちらかといえば、産業エレクトロニクス装置として扱われます。現在日本で販売されているパソコンには、その多くにテレビ放送を録画する機能が備わっています。

Chakraborty:
 そうですね、インドの場合、パソコンは民生製品として扱われており、家庭用パソコンは急激に増えています。テレビチューナカードも販売されていて、これを取り付ければ最新のテレビ放送も観ることができます。ビデオ・オン・デマンド方式はまだ始まったばかりで、DVR(Digital Video Recorder)の概念は徐々に受け入れられつつあります。インドにとってメディア・パソコンは時期尚早です。
 インドの消費者は、概ね、フル機能のパソコンを好む傾向にあります。それも、IntelプロセッサとWindows 98/2000/XP搭載のものです。最近、Kolkata(カルカッタ)を拠点とするインドXenitis社がパソコンを発売しました。その名も「Apna PC」(私だけのパソコン)、価格は9999ルピー(227.50米ドル)です。

Wright:
 みなさんの地域で、民生製品部門に最も多くのICを提供している半導体ベンダーはどこですか。また、どのようなチップが良く売れていますか。プロセッサあるいはネットワーク・チップ、ASSP、それともアナログ製品ですか。

Prophet:
 世界の半導体ベンダー上位10社に常にランクインする企業です。それ以外はないですね。部門によっては地元のサプライヤ(STMicroelectronics社など)が優位に立つこともありますが、全体的に見ると、欧州は世界の半導体市場の一部として機能しています。

Watanabe:
 ほとんどの半導体企業は、大手民生製品メーカーに直接ICを販売しています。ただし、少量取り引きの場合については、代理店(卸売業者)を介して販売しています。製品の売上高という観点からすると、日本ではマイクロコントローラが民生製品市場、工業製品市場の両方で最大の売り上げを記録しているのではないでしょうか。

Chakraborty:
 ここインドには、大手多国籍企業がすべて集まっています。例を挙げると、TI社、Infineon社、Samsung社、Intel社などです。また、DSPの販売が行われているのと同様に、プロセッサやASICも販売されています。また米Analog Devices社も、アジアでGSMチップの販売を行っています。同社は、DSPとメディア・プロセッサも販売しています。なお、同社のShark DSPは軍用機器のデファクト・スタンダードとなっています。
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